上位12大学の紹介が終わったのですが、あと何校か紹介した方が良いだろうと思う重要な大学が残っていますので紹介していきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回は東洋アフリカ研究学院(SOAS)をとりあげます。
東洋アフリカ研究学院 (School of Oriental and African Studies, SOAS)
(撮影者John Winfield/Wikipediaより)
グラフで見たSOASの主な特徴
東洋アフリカ研究学院は創立95年でイギリスでは比較的新しい大学です。アジア、中東、アフリカの比較文化、語学専攻を中心とした社会科学、人文科学のみの文系の大学です。ロンドン大学のカレッジの一つですが独立した大学として扱われます。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンの中心から徒歩で30分ほどの距離にあるブルームズベリーに位置しています。キャンパスはUCLの真横に位置し、立地的には英国の大学の中で最も恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは都会型で緑地はほぼ存在せず敷地の大半が宗教色の無い近代・現代的な建物で占められています。またキャンパスはイギリスの大学の中では最も小さいうちの一つです。州立高校卒業生比率が75.4%と割と高く、比較的に庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は11.8人でイギリスの大学の中ではトップクラスです。学生数は学部・大学院を合わせて約5,000人人でイギリス屈指の小規模大学です。在学生の男女比は49:51とほぼ半々となっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高めで、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は58でイギリスで27番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位11.5%の学生が集まっています。政治学や経済学は人気が集まり難易度が高くなっています。また東アジア・南アジア研究、中東アフリカ研究、言語学も他大学に比べ相対的に人気が高い専攻となっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ8倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して84.6%、学部生の成績優等率は平均して72.8%です。学生の学力水準に対し、成績評価はイギリスの中で標準的ですが卒業難易度ではイギリスの中で厳しい大学グループに属します。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は1人で英国では23番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア州立大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは29番目となっています。東アジア・南アジア研究、社会学、中東アフリカ研究が強く、それぞれ英国2位、2位、6位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で84番目に多い437ポンド(約7億円)を獲得しています(参照元)。配分額が少ないのは機材や実験設備を必要としない人文・社会科学分野のためです。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国29位で難易度に対してあまり良くありません。これは大学の専攻が特殊な事に起因していると考えられます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は12.0%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでロンドンビジネススクールを除いたロンドン大学全体としてイギリス国内で8位、世界全体で92位という結果になっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと中堅国公立大及び上位私立大です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学はARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。教員一人あたりの平均研究実績もARWUの総合順位上位500位圏外のため不明です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からニューヨーク州立大学ストーニブルック校などの全米総合大で選抜度上位100~130位水準です。研究力及び研究者育成力ではARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。教員一人あたりの平均研究実績もARWUの総合順位上位500位圏外のため不明です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内20位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内14位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではQS社のランキングで337位となっています。世界大学ランキングのポジションはよくありませんが、文系の大学である事が理由です。人文科学ではTHE社のランキングで世界26位、QS社のランキングで世界79位と高いポジションとなっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル平和賞受賞のアウンサンスーチー、トルコの元首相のビュレント・エジェヴィト、ノルウェー王太子妃のメッテ=マリットなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率はやや古いデータですが2003-2004年では非白人学生率が47.74%となっており、イギリスの全大学の非白人の人口平均の16%(参照元)を大幅に上回り、イギリスで最もマイノリティが多い大学の一つとなっています(参照元)。また留学生の割合は同時期で36%(内EU外から18.5%)となっており、国際色の豊かな大学となっています。
総合的に見ますと英国で25~33番目の大学と言ってよいと思います。ただし多くの学生が専攻しているアジア、中東、アフリカ地域の比較文化専攻に関しては英国内で2~4番目の大学と言えると思います。
今回は東洋アフリカ研究学院(SOAS)をとりあげます。
東洋アフリカ研究学院 (School of Oriental and African Studies, SOAS)
(撮影者John Winfield/Wikipediaより)
グラフで見たSOASの主な特徴
大学名 | School of Oriental and African Studies | ||
主要な所属大学連合 | ロンドン大学 | ||
創立 | 1916年 | ||
立地 | London市 (London中心から徒歩30分) | ||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均978人 /全学年 2,935人 |
大学院 | 2012 | 1,885人 | |
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 60.8% |
欧州留学生 | 2012 | 14.1% | |
他留学生 | 2012 | 25.3% | |
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 44.7% |
欧州留学生 | 2012 | 18.5% | |
他留学生 | 2012 | 36.8% | |
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 24.6% : 75.4% (公立高卒) | ||
男女比 (2013) | (男) 41% : 59% (女) | ||
人種の多様性 (2004) | 非白人学生率 47.7% | ||
学部入学難易度 (2013) | 27位 | UCAS 418 / 換算偏差値 58 | |
学部入学難易度 (過去8年平均) | 26位 | 平均偏差値 58 | |
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位13.3% (過去8年の平均) 上位11.5% | ||
卒業難易度 | やや厳しい | 学部最終卒業率 84.6% 学部成績優等率 72.8% | |
教員一人当たり学生数 (2013) | 8位 | 11.8人 | |
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 9位 | £1,589 (約24万円) | |
学生一人当たり施設支出 (2013) | 115位 | £217 (約3万円) | |
研究力 (2008) | 29位 | RAE 2.60 / 換算偏差値 58 | |
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 84位 | £4,369,000 (約7億円) | |
ノーベル賞 | 23位 | 1人(OB 1人 教員 0人) | |
就職/進学率 (2012) | 39位 | 70.1% | |
卒業生の初任給平均 (2009) | 26位 | £20,839 (約313万円) | |
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | (国内15位以降、世界151位以降) N/A | ||
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | (国内43位以降、世界501位以降) N/A | ||
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 8位 | 世界92位 (ロンドン大学全体) | |
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 中堅国公立大及び上位私立大 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 文系:不明 教員当たり平均研究実績: 不明 | ||
採用評価 | 不明 | ||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位100位~130位水準 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 不明 教員当たり平均研究実績: 不明 | ||
採用評価 | 不明 | ||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 33位 (過去7年の平均) 20位 | |
Guardian社 | (2014) 22位 (過去7年の平均) 14位 | ||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | N/A |
QS社 | 2013 | 337位 | |
上海交通大 | 2013 | N/A | |
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 58 | 59 | 65 | 65 | 59 | -- | -- | -- | 57 | -- | -- | -- | 56 | -- |
研究力 | 58 | 52 | 59 | N/A | 52 | -- | -- | -- | 63 | -- | -- | -- | 44 | -- |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | |
研究力 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- |
東洋アフリカ研究学院は創立95年でイギリスでは比較的新しい大学です。アジア、中東、アフリカの比較文化、語学専攻を中心とした社会科学、人文科学のみの文系の大学です。ロンドン大学のカレッジの一つですが独立した大学として扱われます。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンの中心から徒歩で30分ほどの距離にあるブルームズベリーに位置しています。キャンパスはUCLの真横に位置し、立地的には英国の大学の中で最も恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは都会型で緑地はほぼ存在せず敷地の大半が宗教色の無い近代・現代的な建物で占められています。またキャンパスはイギリスの大学の中では最も小さいうちの一つです。州立高校卒業生比率が75.4%と割と高く、比較的に庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は11.8人でイギリスの大学の中ではトップクラスです。学生数は学部・大学院を合わせて約5,000人人でイギリス屈指の小規模大学です。在学生の男女比は49:51とほぼ半々となっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高めで、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は58でイギリスで27番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位11.5%の学生が集まっています。政治学や経済学は人気が集まり難易度が高くなっています。また東アジア・南アジア研究、中東アフリカ研究、言語学も他大学に比べ相対的に人気が高い専攻となっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ8倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して84.6%、学部生の成績優等率は平均して72.8%です。学生の学力水準に対し、成績評価はイギリスの中で標準的ですが卒業難易度ではイギリスの中で厳しい大学グループに属します。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は1人で英国では23番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア州立大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは29番目となっています。東アジア・南アジア研究、社会学、中東アフリカ研究が強く、それぞれ英国2位、2位、6位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で84番目に多い437ポンド(約7億円)を獲得しています(参照元)。配分額が少ないのは機材や実験設備を必要としない人文・社会科学分野のためです。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国29位で難易度に対してあまり良くありません。これは大学の専攻が特殊な事に起因していると考えられます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は12.0%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでロンドンビジネススクールを除いたロンドン大学全体としてイギリス国内で8位、世界全体で92位という結果になっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと中堅国公立大及び上位私立大です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学はARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。教員一人あたりの平均研究実績もARWUの総合順位上位500位圏外のため不明です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からニューヨーク州立大学ストーニブルック校などの全米総合大で選抜度上位100~130位水準です。研究力及び研究者育成力ではARWUの分野別で200位以内にランクインしていないため不明です。教員一人あたりの平均研究実績もARWUの総合順位上位500位圏外のため不明です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内20位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内14位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではQS社のランキングで337位となっています。世界大学ランキングのポジションはよくありませんが、文系の大学である事が理由です。人文科学ではTHE社のランキングで世界26位、QS社のランキングで世界79位と高いポジションとなっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル平和賞受賞のアウンサンスーチー、トルコの元首相のビュレント・エジェヴィト、ノルウェー王太子妃のメッテ=マリットなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率はやや古いデータですが2003-2004年では非白人学生率が47.74%となっており、イギリスの全大学の非白人の人口平均の16%(参照元)を大幅に上回り、イギリスで最もマイノリティが多い大学の一つとなっています(参照元)。また留学生の割合は同時期で36%(内EU外から18.5%)となっており、国際色の豊かな大学となっています。
総合的に見ますと英国で25~33番目の大学と言ってよいと思います。ただし多くの学生が専攻しているアジア、中東、アフリカ地域の比較文化専攻に関しては英国内で2~4番目の大学と言えると思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |