大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はウォーリック大学をとりあげます。
ウォーリック大学 (University of Warwick)
(撮影者Kyrosho/Wikipediaより)
グラフで見たWarwick大学の主な特徴
ウォーリック大学は創立46年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるコヴェントリー市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的に比較的恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が76.0%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が比較的多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.3人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学生数は学部・大学院を合わせて約16,000人とイギリスの上位大学の中ではやや少なめです。在学生の男女比は50:50と半々になっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は68でイギリスで8番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位1.9%の学生が集まっています。経済学、経営学、会計学、数学が人気があり、特に経済学と数学はオックスブリッジに準ずる難易度です。またアメリカ研究では英国最難関の入学難易度となっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ9倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して96.0%、学部生の成績優等率は平均して78.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは7番目です。経営学と経済学が強く、経営学では英国2位、経済学で英国3位の研究水準を誇ります。2013年のARWUの評価では存在している主要学部は概ね世界200位以内の研究力評価を受けています。特に社会科学、経済学/経営学、数学は世界75位以内の研究力となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で17番目に多い8820万ポンド(約132億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国9位となっています。立地が理由で入学難易度に対して就職は若干不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は10.8%です(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国13位、世界135位となっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと地方旧帝大、神戸大、慶應大、早稲田大の上位水準です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は筑波大学ですが文系の研究力及び研究者育成力では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで大阪大学と東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で大阪大学(日本6位/世界127位)と一橋大学(日本7位/世界145位)の間という結果(世界135位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の理由からバージニア大学などの全米総合大で選抜度上位22~26位水準です。研究力及び研究者育成力ではダートマス大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで同じくダートマス大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でヴァンダービルト大学(全米45位/世界134位)とフロリダ大学(全米46位/世界137位)の間という結果(世界135位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内7位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内6位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで141位、QS社のランキングで64位、ARWUのランキングで151-200位となっています。ランキングは創立年度の新しさによる知名度の低さや医薬系の分野が小さく文系に偏っている事があって苦戦しています。ただし社会科学はTHE社のランキングで42位、QS社のランキングで26位、ARWUのランキングで36位と英国で4番目に高い水準を保っています。
(11) 著名なOB
著名なOBはインドのタタ・グループの企業経営者のラタン・タタ、世界銀行理事のマフムード・モヒエルディンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が14.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からだいたい平均的水準です。全体の20%がEU圏外からの学生となっています(参照元)。
総合的に見ますと英国で6~8番目の大学だと思います。
今回はウォーリック大学をとりあげます。
ウォーリック大学 (University of Warwick)
(撮影者Kyrosho/Wikipediaより)
グラフで見たWarwick大学の主な特徴
大学名 | University of Warwick | ||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | ||
創立 | 1965年 | ||
立地 | Coventry市 (Londonから電車で約1時間半) | ||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均4,163人 /全学年 12,490人 |
大学院 | 2012 | 5,695人 | |
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 77.0% |
欧州留学生 | 2012 | 6.6% | |
他留学生 | 2012 | 16.3% | |
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 53.1% |
欧州留学生 | 2012 | 10.1% | |
他留学生 | 2012 | 36.6% | |
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 24.0% : 76.0% (公立高卒) | ||
男女比 (2013) | (男) 50% : 50% (女) | ||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 14.5% | ||
学部入学難易度 (2013) | 8位 | UCAS 504 / 換算偏差値 68 | |
学部入学難易度 (過去8年平均) | 6位 | 平均偏差値 68 | |
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位2.4% (過去8年の平均) 上位1.9% | ||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 96.0% 学部成績優等率 78.9% | |
教員一人当たり学生数 (2013) | 20位 | 14.3人 | |
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 11位 | £1,566 (約23万円) | |
学生一人当たり施設支出 (2013) | 28位 | £494 (約7万円) | |
研究力 (2008) | 7位 | RAE 2.80 / 換算偏差値 63 | |
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 17位 | £88,200,000 (約132億円) | |
ノーベル賞 | 0人 | ||
就職/進学率 (2012) | 17位 | 77.1% | |
卒業生の初任給平均 (2009) | 9位 | £23,238 (約349万円) | |
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | 13位 | 世界135位 | |
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 15位 | 世界181位 | |
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 輩出無し | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 地方旧帝大、神戸大、及び早慶水準の上位 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:筑波大学 文系:該当無し 教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学 | ||
採用評価 | 大阪大学~一橋大学 | ||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位22位~26位水準 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: Dartmouth College 教員当たり平均研究実績: Dartmouth College | ||
採用評価 | 全米総合大学採用評価上位45位~46位水準 | ||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 8位 (過去7年の平均) 7位 | |
Guardian社 | (2014) 10位 (過去7年の平均) 6位 | ||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 141位 |
QS社 | 2013 | 64位 | |
上海交通大 | 2013 | 151-200位 | |
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 68 | 68 | 69 | 77 | 69 | 69 | 63 | 71 | 71 | 65 | 70 | -- | -- | 53 |
研究力 | 63 | 53 | 59 | 77 | 67 | 67 | 59 | 59 | 68 | 64 | 67 | -- | -- | 59 |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 78 | 73 | 64 | 62 | -- | -- | -- | -- | 67 | -- | -- | -- | -- | |
研究力 | 68 | 58 | 66 | 54 | -- | -- | -- | -- | 62 | -- | 56 | -- | -- |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | 36位 | 30位 | 101-150位 | 51-75位 | 151-200位 | 151-200位 | -- | 151-200位 | -- | -- |
ウォーリック大学は創立46年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるコヴェントリー市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的に比較的恵まれている大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が76.0%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が比較的多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.3人でイギリスの上位大学の中ではやや多めです。学生数は学部・大学院を合わせて約16,000人とイギリスの上位大学の中ではやや少なめです。在学生の男女比は50:50と半々になっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は68でイギリスで8番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位1.9%の学生が集まっています。経済学、経営学、会計学、数学が人気があり、特に経済学と数学はオックスブリッジに準ずる難易度です。またアメリカ研究では英国最難関の入学難易度となっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ9倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して96.0%、学部生の成績優等率は平均して78.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは7番目です。経営学と経済学が強く、経営学では英国2位、経済学で英国3位の研究水準を誇ります。2013年のARWUの評価では存在している主要学部は概ね世界200位以内の研究力評価を受けています。特に社会科学、経済学/経営学、数学は世界75位以内の研究力となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で17番目に多い8820万ポンド(約132億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国9位となっています。立地が理由で入学難易度に対して就職は若干不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は10.8%です(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国13位、世界135位となっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと地方旧帝大、神戸大、慶應大、早稲田大の上位水準です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は筑波大学ですが文系の研究力及び研究者育成力では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで大阪大学と東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で大阪大学(日本6位/世界127位)と一橋大学(日本7位/世界145位)の間という結果(世界135位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の理由からバージニア大学などの全米総合大で選抜度上位22~26位水準です。研究力及び研究者育成力ではダートマス大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで同じくダートマス大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でヴァンダービルト大学(全米45位/世界134位)とフロリダ大学(全米46位/世界137位)の間という結果(世界135位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内7位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内6位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで141位、QS社のランキングで64位、ARWUのランキングで151-200位となっています。ランキングは創立年度の新しさによる知名度の低さや医薬系の分野が小さく文系に偏っている事があって苦戦しています。ただし社会科学はTHE社のランキングで42位、QS社のランキングで26位、ARWUのランキングで36位と英国で4番目に高い水準を保っています。
(11) 著名なOB
著名なOBはインドのタタ・グループの企業経営者のラタン・タタ、世界銀行理事のマフムード・モヒエルディンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が14.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からだいたい平均的水準です。全体の20%がEU圏外からの学生となっています(参照元)。
総合的に見ますと英国で6~8番目の大学だと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |