上位12大学の紹介が終わったのですが、あと何校か紹介した方が良いだろうと思う重要な大学が残っていますので紹介していきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はヨーク大学をとりあげます。
ヨーク大学 (University of Manchester, Manchester)
(撮影者DS Pugh/Wikipediaより)
グラフで見たYork大学の主な特徴
ヨーク大学は創立48年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるヨーク市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。ただし、新しい大学の中では珍しく、伝統的な大学と同じカレッジ制を導入しています。州立高校卒業生比率が81.0%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.5人で上位大学の中ではやや多めです。学生数は学部・大学院を合わせて約15,000人で平均的です。在学生の男女比は46:54と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで16番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位3.7%の学生が集まっています。法学、英文学、数学などが人気が高く難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ9倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.2%、学部生の成績優等率は平均して74.3%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは8番目です。英文学、社会学、教育学などが強く、それぞれ英国1位、英国5位、英国7位の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で24番目に多い5124万ポンド(約77億円)を獲得しています(参照元)。高額な研究予算が必要な医学部が無いため配分額は少なめになっています。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下で難易度に対してあまり良くありません。これは立地の不利さによる理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は11.7%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で14位、世界全体で211位という結果になっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大及び上智大、理科大あたりです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は2012年のARWUのデータで見ると理系は慶応大学や金沢大学、文系は東京大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで東北大学と大阪大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からロチェスター大学などの全米総合大で選抜度上位40~55位水準です。一方、研究力及び研究者育成力ではデラウェア大学が近い水準です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内11位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内13位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで100位、QS社のランキングで124位、ARWUのランキングで201-300位となっています。ランキングは創立年度の新しさによる知名度の低さや医薬系が無く文系主体の大学である事などからやや苦戦しています。
(11) 著名なOB
著名なOBは経済学者のダロン・アシモグル、ポルトガル首相のアニーバル・カヴァコ・シルヴァなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2012~2013年のデータでマイノリティ学生が21.0%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの学生が平均より多めの大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の25%が留学生です。
総合的に見ますと英国で13~14番目の大学と言ってよいと思います。
今回はヨーク大学をとりあげます。
ヨーク大学 (University of Manchester, Manchester)
(撮影者DS Pugh/Wikipediaより)
グラフで見たYork大学の主な特徴
大学名 | University of York | |||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | |||
創立 | 1963年 | |||
立地 | York市 (Londonから電車で約2時間) | |||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均3,717人 /全学年 11,150人 | |
大学院 | 2012 | 4,260人 | ||
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 86.1% | |
欧州留学生 | 2012 | 5.5% | ||
他留学生 | 2012 | 8.4% | ||
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 51.1% | |
欧州留学生 | 2012 | 7.4% | ||
他留学生 | 2012 | 41.4% | ||
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 19.0% : 81.0% (公立高卒) | |||
男女比 (2013) | (男) 46% : 54% (女) | |||
人種の多様性 (2013) | 非白人学生率 21.0% | |||
学部入学難易度 (2013) | 16位 | UCAS 454 / 換算偏差値 62 | ||
学部入学難易度 (過去8年平均) | 12位 | 平均偏差値 64 | ||
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位6.7% (過去8年の平均) 上位3.7% | |||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 95.2% 学部成績優等率 74.3% | ||
教員一人当たり学生数 (2013) | 29位 | 15.5人 | ||
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 27位 | £1,247 (約19万円) | ||
学生一人当たり施設支出 (2013) | 14位 | £589 (約9万円) | ||
研究力 (2008) | 8位 | RAE 2.78 / 換算偏差値 63 | ||
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 24位 | £51,242,000 (約77億円) | ||
ノーベル賞 | 0人 | |||
就職/進学率 (2012) | 43位 | 69.6% | ||
卒業生の初任給平均 (2009) | (31位以降) N/A | |||
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | (国内15位以降、世界151位以降) N/A | |||
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | (国内43位以降、世界501位以降) N/A | |||
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 14位 | 世界211位 | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:慶応大学 文系:東京大学 教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学 | |||
採用評価 | 不明 | |||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位40位~55位水準 | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: University of Delaware 教員当たり平均研究実績: Boston University | |||
採用評価 | 不明 | |||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 12位 (過去7年の平均) 11位 | ||
Guardian社 | (2014) 16位 (過去7年の平均) 13位 | |||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 100位 | |
QS社 | 2013 | 124位 | ||
上海交通大 | 2013 | 201-300位 | ||
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 62 | 66 | 64 | 64 | 56 | -- | 66 | 64 | 69 | -- | 69 | -- | 60 | 56 |
研究力 | 63 | N/A | 51 | 65 | 54 | -- | 58 | 59 | 62 | -- | 72 | -- | 63 | 59 |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 69 | 61 | 67 | 65 | 55 | -- | -- | -- | 64 | -- | -- | -- | -- | |
研究力 | 56 | 58 | 66 | 62 | 57 | -- | -- | -- | 67 | -- | -- | -- | -- |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | 151-200位 | -- | -- | -- | -- | -- | -- | -- | 151-200位 | -- |
ヨーク大学は創立48年でイギリスでは最も新しい大学の一つとなります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるヨーク市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは現代的で、緑に囲まれた広いキャンパスと現代的な建物で構成されています。ただし、新しい大学の中では珍しく、伝統的な大学と同じカレッジ制を導入しています。州立高校卒業生比率が81.0%と上位大学の中では例外的に高く、庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.5人で上位大学の中ではやや多めです。学生数は学部・大学院を合わせて約15,000人で平均的です。在学生の男女比は46:54と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで16番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位3.7%の学生が集まっています。法学、英文学、数学などが人気が高く難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ9倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.2%、学部生の成績優等率は平均して74.3%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者はまだ出ていませんが、創立年度を考えると最初のノーベル賞が出るまでまだ暫くはかかると見るべきでしょう。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは8番目です。英文学、社会学、教育学などが強く、それぞれ英国1位、英国5位、英国7位の研究水準を誇ります。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で24番目に多い5124万ポンド(約77億円)を獲得しています(参照元)。高額な研究予算が必要な医学部が無いため配分額は少なめになっています。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下で難易度に対してあまり良くありません。これは立地の不利さによる理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は11.7%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で14位、世界全体で211位という結果になっています(参照元)。
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大及び上智大、理科大あたりです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は2012年のARWUのデータで見ると理系は慶応大学や金沢大学、文系は東京大学です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで東北大学と大阪大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からロチェスター大学などの全米総合大で選抜度上位40~55位水準です。一方、研究力及び研究者育成力ではデラウェア大学が近い水準です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内11位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内13位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで100位、QS社のランキングで124位、ARWUのランキングで201-300位となっています。ランキングは創立年度の新しさによる知名度の低さや医薬系が無く文系主体の大学である事などからやや苦戦しています。
(11) 著名なOB
著名なOBは経済学者のダロン・アシモグル、ポルトガル首相のアニーバル・カヴァコ・シルヴァなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2012~2013年のデータでマイノリティ学生が21.0%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの学生が平均より多めの大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の25%が留学生です。
総合的に見ますと英国で13~14番目の大学と言ってよいと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |