大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はキングスカレッジロンドンをとりあげます。


キングスカレッジロンドン (Kings College London, KCL)


イギリスの大学徹底分析-KCL (撮影者Flaming Ferrari/Wikipediaより)
(撮影者Flaming Ferrari/Wikipediaより)

$イギリスの大学徹底分析-KCLの入学難易度/大学の特徴
グラフで見たKCLの主な特徴


キングスカレッジロンドンのサマリーデータ
大学名Kings College London
主要な所属大学連合ラッセルグループ / ロンドン大学
創立1829年
立地London市内 (London中心から徒歩20分)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均4,263人 /全学年  12,790人
大学院20126,475人
学生の割合(学部)英国人201281.6%
欧州留学生20127.4%
他留学生201211.1%
学生の割合(大学院)英国人201265.0%
欧州留学生201212.7%
他留学生201222.4%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 27.7% : 72.3% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 41% : 59% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 40.7%
学部入学難易度 (2013)14位UCAS 463 / 換算偏差値 64
学部入学難易度 (過去8年平均)13位平均偏差値 63
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位5.0%  (過去8年の平均) 上位4.9%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 93.0% 学部成績優等率 72.6%
教員一人当たり学生数 (2013)6位11.7人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)17位£1,415 (約21万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)50位£407 (約6万円)
研究力 (2008)20位RAE 2.69 / 換算偏差値 60
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)7位£147,099,000 (約221億円)
ノーベル賞8位12人(OB 5人  教員 9人)
就職/進学率 (2012)4位86.9%
卒業生の初任給平均 (2009)5位£24,440 (約367万円)
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)6位世界38位
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)22位世界282位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
8位世界92位
(ロンドン大学全体)
日本の大学ライバル校総合選抜度上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など
平均研究力分野別順位平均: 理系:東北大学  文系:該当無し
教員当たり平均研究実績: 京都大学
採用評価東京大学~京都大学
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位40位~44位水準
平均研究力分野別順位平均: Uni of Illinois at Chicago
教員当たり平均研究実績: Duke University
採用評価全米総合大学採用評価上位13位~14位水準
国内大学ランキングIndependent社(2014) 19位  (過去7年の平均) 15位
Guardian社(2014) 32位  (過去7年の平均) 23位
世界大学ランキングTimes社201438位
QS社201319位
上海交通大201367位
Times名声調査世界ランキング201361-70位


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)647165--64----66676265------
研究力605751--67----70626463----64
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)6862--62--------54--716860
研究力6257--62--------61--616757


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位101-150位----101-150位------151-200位51-75位29位


キングスカレッジロンドンは創立約180年でイングランドではオックスフォード大ケンブリッジ大に次いで古い大学の一つです。ロンドン大学のカレッジの一つですが独立した大学として扱われます。ロンドン大学のカレッジの中では二番目に古いです。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
キャンパスはロンドンの中にいくつかあって散らばっていますが概して立地は良く、ロンドンの中心から徒歩20分のキャンパスから電車で30分のキャンパスまで様々です。立地的には最も恵まれた大学の一つです。大学構内の雰囲気や大学のシステムは都会型ですが、キャンパスによって近代的から現代的まで雰囲気が変わります。また一部宗教色のある建物も使われており、他のロンドン大学のカレッジとはやや趣が異なります。州立高校卒業生比率が72.3%と低く、裕福な家庭の学生が比較的多く集まる大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は11.7人でイギリスの上位大学の中ではトップレベルです。学生数は学部・大学院を合わせて約19,000人でイギリスの上位大学の中では標準的です。在学生の男女比は41:59と女子学生が多めになっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は64でイギリスで14番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位4.9%の学生が集まっています。医学、歯学、法律学、経営学が特に人気が高く難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して93.0%、学部生の成績優等率は平均して72.6%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は12人でイギリスの中では8番目です。アメリカの大学と比べますと受賞者総数ではデューク大学、卒業生の受賞者数ではノースウェスタン大学とほぼ互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは10番目です。経営学や歯学に強く、それぞれ英国2位、英国3位となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で7番目に多い1億4710万ポンド(約221億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国5位と非常に良いです。地の利により就職はかなり有利のようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は5.4%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでロンドンビジネススクールを除いたロンドン大学全体としてイギリス国内で8位、世界全体で92位という結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国6位、世界38位となっています(参照元)

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大、上智大、理科大あたりです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は東北大~名古屋大学あたり、文系は日本の全ての大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと23.2ポイントで京都大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で東京大学(日本2位/世界23位)と京都大学(日本3位/世界47位)の間という結果(世界38位)が出ています。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では上記同様の理由からロチェスター大学などの全米総合大で選抜度上位40~44位水準です。研究力及び研究者育成力ではイリノイ大学シカゴ校です。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと23.2ポイントでデューク大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でニューヨーク大学(全米13位/世界37位)とペンシルバニア大学(全米14位/世界39位)の間という結果(世界38位)が出ています。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内15位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内23位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで38位、QS社のランキングで19位、ARWUのランキングで67位となっています。医薬系が充実している事もあり世界大学ランキングのポジションは英国の中で6番目に高い結果になっています。

(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル医学賞の医学者のフレデリック・ホプキンスやノーベル平和賞のムピロ・ツツなどです。

(12) 人種・国際性
学部学生の人種構成は白人が60%以下、非白人が40%以上となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事を考えると非常にマイノリティの学生が多いのが伺えます(参照元)。研究型大学の上位20校(ラッセルグループ)の中ではLSEと並んで最もマイノリティが多い大学です。一方、留学生の割合は25%と、ロンドンの他の主要大学に比べると相対的に少なめで英国人が中心の大学です。


総合的に見ますと英国で12番目の大学だと思います。


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