大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

今回はシェフィールド大学をとりあげます。


シェフィールド大学 (University of Sheffield)


$イギリスの大学徹底分析-Sheffield大学 (撮影者Pomdu/Wikipediaより)
(撮影者Pomdu/Wikipediaより)

イギリスの大学徹底分析-Sheffield大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たSheffield大学の主な特徴


シェフィールド大学のサマリーデータ
大学名University of Sheffield
主要な所属大学連合ラッセルグループ
創立1897年
立地Sheffield市 (Londonから電車で約2時間半)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均5,758人 /全学年  17,275人
大学院20125,425人
学生の割合(学部)英国人201283.9%
欧州留学生20123.8%
他留学生201212.3%
学生の割合(大学院)英国人201252.2%
欧州留学生20126.9%
他留学生201240.9%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 14.3% : 85.7% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 48% : 52% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 12.5%
学部入学難易度 (2013)19位UCAS 440 / 換算偏差値 61
学部入学難易度 (過去8年平均)15位平均偏差値 62
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位8.2%  (過去8年の平均) 上位7.0%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 94.0% 学部成績優等率 73.1%
教員一人当たり学生数 (2013)29位15.5人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)44位£1,084 (約16万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)63位£383 (約6万円)
研究力 (2008)12位RAE 2.72 / 換算偏差値 61
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)13位£101,300,000 (約152億円)
ノーベル賞14位5人 (OB 2人  教員 3人)
就職/進学率 (2012)28位73.2%
卒業生の初任給平均 (2009)(31位以降) N/A
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)(国内15位以降、世界151位以降) N/A
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)25位世界299位
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
4位世界38位
日本の大学ライバル校総合選抜度上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など
平均研究力分野別順位平均: 理系:東北大学 文系:該当無し
教員当たり平均研究実績: 京都大学
採用評価不明
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位60位~70位水準
平均研究力分野別順位平均: Case Western Reserve
教員当たり平均研究実績: Case Western Reserve
採用評価不明
国内大学ランキングIndependent社(2014) 26位  (過去7年の平均) 27位
Guardian社(2014) 40位  (過去7年の平均) 33位
世界大学ランキングTimes社2014112位
QS社201371位
上海交通大2013101-150位
Times名声調査世界ランキング2013N/A


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)615966605563626365--64--6155
研究力615672636161617066--63--6354
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)646563655365566456696868--
研究力586264646268637062685763--


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位101-150位101-150位------101-150位76-100位--76-100位76-100位


シェフィールド大学は創立114年の大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間半ほどの距離にあるシェフィールド市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的には若干不利な場所に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは広いキャンパスと赤いレンガで統一された伝統的・近代的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が85.7%と庶民的な学生が数多く集まる大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.5人でこのランクの大学の中では平均的です。学部・大学院を合わせて学生数は約26,000人とかなり大規模です。在学生の男女比は48:52と女子学生が若干多めになっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は61でイギリスで19番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位7.0%の学生が集まっています。文系では歴史学や政治学、理系では工学や建築学に特に人気が集まり、難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6.8倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して94%、学部生の成績優等率は平均して73.1%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は5人でイギリスの大学の中では14位です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは12番目です。政治学、機械工学、哲学に強く、それぞれ英国1位、3位、4位の研究水準となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で13番目に多い1億130万ポンド(約152億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下となっています。立地が理由で就職はかなり不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は8.8%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で4位、世界全体で38位と大変良い結果になっています(参照元)。

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大、上智大、理科大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は東北大学ですが文系は日本の全ての大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと22.2ポイントで京都大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からフロリダ大学などの全米総合大で選抜度上位60~70位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はケース・ウェスタン・リザーブ大学などが近いレベルと見て取れます。また、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと22.2ポイントで同じくケース・ウェスタン・リザーブ大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内27位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内33位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで112位、QS社のランキングで71位、ARWUのランキングで101-150位となっています。自然科学や医薬系の規模が大きく充実している事もあり世界大学ランキングのポジションは良好です。

(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル化学賞受賞のハロルド・クロトーやバークレー銀行元会長のピーター・ミドルトンなどです。

(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が12.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティが少なめです。2011~2012年のデータでは全体の学生の25%が留学生です。

総合的に見ますと英国で16~24番目の大学と言ってよいと思います。


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