【夕顔19-3】仏教ワード☆「忌む」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はホボホボ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現在の高校生は全く使わない死語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
「…忌むことのしるしによみがへりてなむ、かく渡りおはしますを、見たまへはべりぬれば、今なむ阿弥陀仏の御光も、心清く待たれはべるべき」
など聞こえて、弱げに泣く。
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今回出てきた古文単語
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■【忌(い)む】…身を清めて慎む
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【しるし】…効果
■【に】…原因の格助詞
■【よみがへり】…ラ行四段動詞「よみがへる」の連用形
※【よみがへる】…生き返る。蘇生する
■【て】…単純接続の接続助詞
■【なむ】…強意の係助詞(結びの流れ)
■【かく】…このように(指示語)
■【渡り】…ラ行四段動詞「渡る」の連用形
※【渡(わた)る】…行く。来る
■【おはします】…尊敬の補助動詞(尼君⇒光源氏)
■【を】…対象の格助詞
■【見たまへはべりぬれば】…見させていただきましたので
※【見】…マ行上一段動詞「見る」の連用形
※【たまふ】…謙譲の補助動詞(尼君⇒光源氏)
※【はべり】…丁寧の補助動詞(尼君⇒光源氏)
※【ぬれ】…完了の助動詞「ぬ」の已然形
※【ば】…順接確定条件(理由)の接続助詞
■【今なむ】…今こそ
※【なむ】…強意の係助詞
■【阿弥陀仏(あみだぶつ)】…西方浄土にいる仏
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御光(おんひかり)】…ご威光
■【も】…強意の係助詞
■【心清く】…ク活用形容詞「心清し」の連用形
※【心清(こころきよ)し】…心清らかである
■【待たれはべるべき】…待つことができましょう
※【待た】…タ行四段動詞「待つ」の未然形
※【れ】…可能の助動詞「る」の連用形
※【はべる】…ラ変動詞「はべり」の連体形
※【はべり】…丁寧の補助動詞(尼君⇒光源氏)
※【べき】…推量の助動詞「べし」の連体形
■【など】…引用の副助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」の連用形
※【聞こゆ】…申し上げる(「言ふ」の謙譲:作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【弱げに】…ナリ活用形容動詞「弱げなり」の連用形
※【弱げなり】…弱々しい
■【泣く】…カ行四段動詞「無く」の終止形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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1.仏教ワード 「阿弥陀仏の御光」 ☆
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さ~て☆
今回は、多くの仏教ワードが出てきましたよん♪
( ゚д゚)ノ
見てすぐにそれと分かるのは…
【名詞】
西方浄土にいる仏。すべての人々を救うために四十八の誓いを立てているとされる。平安時代の中ごろからこの仏の信仰が盛んになり、浄土宗・浄土真宗の本尊となる。この仏の名を唱えれば死後ただちに極楽に往生すると信じられる。弥陀(みだ)。阿弥陀如来(によらい)。阿弥陀仏(あみだぶつ)・あみだほとけ
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
この、西方浄土っていうのが、
お彼岸の「彼の岸」のことなんですねー!
(。´・∀・)ノ゙
以前、『西遊記』を原文で読んだことがあるんですが、
阿弥陀如来、釈迦如来、観音菩薩、弥勒菩薩など、
しっかりちゃっかり使い分けされてて…
めちゃくちゃ勉強になりました☆
(σ・∀・)σ
阿弥陀如来は、人々の苦しみを救うために
西方極楽浄土をつくったと言われます。
光明により、人が亡くなるときに浄土に導く。
「阿弥陀仏の御光」とは、
臨終を迎える際、極楽浄土に導いてくれる
阿弥陀様のご光明のこと。
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2.仏教ワード 「忌むことのしるし」 ☆
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この、「忌むことのしるし」も、
実は、仏教ワードなんですね。。。
。(;°皿°)
【自動詞:マ行四段活用】
…身を清めて慎む
【他動詞:マ行四段活用】
…忌み嫌う。不吉として避ける
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
現代でもなじみのあるのは、
他動詞の方の「忌む(忌み嫌う)」ですよね。
でも、今回は、「忌むことのしるし」とあります。
【名詞】
…仏教の戒め。戒律
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
また、「しるし」とともに用いられてもいます。
(o´・ω・`o)ノ
【名詞】
①前兆。兆し
②霊験。御利益
③効果。かい
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
忌む事、つまり、出家して、
仏教の戒めに従い、身を清めて慎んだ効果により、
尼君は「よみがへ」ったわけですね。
(・∀・)/
【自動詞:ラ行四段活用】
…生き返る。蘇生する
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
「黄泉(よみ)」の国から帰ったわけですね。
ヽ(*'0'*)ツ
「…忌むことのしるしによみがへりてなむ、かく渡りおはしますを、見たまへはべりぬれば、今なむ阿弥陀仏の御光も、心清く待たれはべるべき」
など聞こえて、弱げに泣く。
● 過去記事リンク
■しるし
■見る
■はべり
■も
■~げなり
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