きのうに続いて、連続更新!

2話続けて重い話を垂れ流しているので

ご容赦いただける方のみ

スクロールお願いいたします><

しかも本文が長文!

さらにあとがきも長文です! ←おい。

(ノ´∀`*;) 

 

 

 

 

 

 

それでは本題へ。

 

 

未来編では

出来過ぎ高校生として登場します、

モリシタくんこと森下賢一くん。

今回は現代設定の

小学4年生編をお送りいたします。

 

 

 

賢一くんが登場する

『ひだまりハウス』のエピソード

↓↓↓↓↓

 

 

『旅行前にもまたひとつ』

(前編後編)

 

『バレンタインの恋模様』

 

『マスクですから!』

 

『18歳』

 

『もうひとつの短冊』

 

『…翔べ!』

 

『笑顔が見たいから』

 

『受難は続くよどこまでも』

 

 

『もうひとつの噓』

 

 

 

2人の先生との

やり取りを綴った妄想を、

思いつくままに垂れ流したいと思います^^

 

 

 

 

 

 

 

image

 

 

 

4年生の秋に

家出をしてしまう賢一くん。

それまでの間、

この子に何があったのかを

主に本人視点で、

いくつかの話を公開予定です。

(父・賢吾さん視点の

『もうひとつの軌跡』

第6話第7話第8話の内容を

賢一くん視点で書きます)

 

 

 

この頃の経験も踏まえて、

サキちゃんや仲間と

青春を謳歌する高校生モリシタくんを

書けたらと思いながら書きますが、

辛い内容も多いと思うので、

読む読まないは無理なさらず、

お時間とお心に余裕のある場合に

お付き合い頂ければ幸いです(^^;

 

(☆第1話第2話第3話

第4話第5話第6話

第7話第8話第9話

第10話第11話第12話

第13話第14話第15話

第16話第17話第18話

第19話第20話第21話

第22話第23話第24話

第25話第26話第27話

第28話第29話第30話はコチラ)

 

 

 

 

今回は第31話。

 

 

「…賢一ごめんね。
健児の咳がひどくて…」
10月1日、運動会当日。

母・麗奈さんから

健児くんの体調不良を知らされても、

信じる事が出来ない賢一くんは、

ついに行動に移します。

 

 

 

 

******************

 

 

オリキャラ妄想

「散らばるココロ 第31話」

 

 

 

「健児…そんなに咳酷いの?」

「ええ。きのうの夜、

肌寒かったせいかしらねえ…」

母さんにそう言われても、

健児が仮病を使ったとしか思えない。

誕生日の次は運動会当日の

朝だなんて、あまりにも

タイミングが良すぎるだろ…。

 

「父さんが、母さんのぶんまで
応援するからな」
「~~~~~ッ」
父さんの言葉を聞きながら、

歯を食いしばる。

これまで頑張ってきた事を思うと、

悔しくてたまらない。

でも俺には、完全に仮病だと

言い切る事が出来ねえ……。

 

「……わかったよ。」
頷き、力なく床を見た。
 

 

 

(くそっ!あの野郎……)

食欲が湧かないなか、

小さめの味ご飯おにぎりをひとつ、

意地で食べきる。
演舞もリレーも、

チームでやり遂げるものだ。

皆で練習を頑張ってきたのに、

俺個人の気分で水を差すわけにはいかない。

 

それでも朝の校庭が、

運動会の風景に

変わっているのを見ると

気持ちも少し晴れる。

 

この日の演目は、中学年、低学年、

高学年という順で進んでいく。

朝の校庭にはちらほらと

3・4年生の家族が集まり始め、

俺が知っている保護者も何人か見かけた。

「ケンちゃんおはよう!

頑張ってね!」

「ありがとうございます!」

ゴロウのお母さんに声を掛けられ

元気よく返事する。

他にも保育園の頃から知っている

保護者の人に声を掛けられ、

多くの人に見てもらうのだと思うと

自然と背筋が伸びる。

 

担任の話が終わり、

リレーのチームカラーのハチマキを

固く締める。

活気づいた教室を見回し、

気持ちは完全に運動会へと向いた。

 

 

開会式は、

中学年と6年生の3学年で行う。

小学校最後の運動会である6年生は

手伝いの仕事を担い、

1日運動会に参加するのだ。

選手宣誓、国旗掲揚、

準備体操を経て退場。

 

校庭に出してある

自分の椅子の前で

ソーラン節用の法被を羽織り、

すぐに入場門へ移動し、息を整えた。

 

 

 

6年生のアナウンスのあと、

担任が鳴らす和太鼓の音が響く。

それを合図に、俺たちは

決められた位置へと移動した。

 

ソーラン節リーダーグループの

代表者として、マイクの前に立つ。

「僕たち3、4年生は

『心』をテーマに、ひとつひとつの

振り付けの意味を考え練習してきました。

荒れた海を進む漁師たちのように、

僕たちも、心をひとつにして踊ります。

ご覧ください」

 

来賓のテントの前で

ひとりで喋るのは緊張したけど、

ちゃんと言えたと思う。

マイクを担任に渡して

自分の位置へ戻り。

「…構え!」

担任の号令を合図に、最初の構えに入る。

 

 

俺の学校では毎年3、4年生が

ソーラン節を踊る事になっている。

でも昨年踊っていたものとは

スピード感も振り付けもまるで違って

短い練習期間で皆必死に覚えてきた。

本当は母さんにも

見て欲しかったけど……。

 

 

(いまは全力で運動会に取り組もう。

悔いが残らないように。)

 

 

 

 

その後のリレーでも、

仲間への応援を含め精一杯頑張った。

途中最下位になる事もあったけど、

どのクラスにも運動が得意な子と

不得意な子はいるから、

終盤にはほぼ横並びに。

アンカーとして1周走るうちに

他の走者と大差をつけてゴールした。

 

 

「賢一、お疲れ様!
すごくかっこよかったよ!
リレーも一周、頑張って走ったな」
「うんっ!
今年はダントツ1位だった!」
教室へ戻る途中
父さんに声を掛けられ。

元気よく返事をする。
「父さんは、このまま
夕方まで大学の仕事に行くけど、
夜ご飯は美味い物食べような」
「うん!」

頭を撫でられ、

笑顔で答えて教室へ戻る。

 

興奮が冷めない様子の

クラスメイトたちも、

担任からの言葉を聞いたあと

通常の授業に入ると静かになった。

計算プリントをいち早く終わらせ

運動会の余韻に

浸りたいところだったけど。

 

 

 

 

(…もし今朝の咳が仮病だったら。

全てを親に話そう)

これは、朝から決めていた事。

そして、もし親が健児の

肩を持った場合は、家を出る事にした。

 

あの家じゃない、

どこか遠いところへ行くんだ。

パソコンを買うためにとっておいた

祖母ちゃんからの小遣いもあるし、

その後の手伝いでもらった分も

合わせればしばらくは食べていける。

仮に野宿になったとしても、

まだ暑さの残る季節だから

凍死をする事はないだろう……。

 

他にも家を出る手段や経路などを

じっくり考えるうちに、

午前中の授業を終えた。

この日は給食もないから、

12時過ぎには家に帰る。

 

 

 

 

 

「ただいま。」

「おかえりなさい、賢一」

玄関ドアを開けると、

母さんが廊下に現れる。

 

「運動会お疲れ様。

ソーラン節もリレーも頑張ってたって

お父さんから聞いたわよ。」

「ありがと。………。

健児、元気になったんだ?」

洗面所へ行くため廊下を歩く途中、

開かれたリビングのドアの向こうに、

健児の姿が見えた。

ソファでくつろいで

ゲームで楽しんでやがる……。

 

「ええ。薬を飲んで眠ったら

落ち着いたみたいでね。」

「そっか。よかった」

洗面所の洗濯機から

服を取り出す母さんの横で、

手洗いうがいを済ませ。

 

(あからさま過ぎンだよ。馬鹿野郎)

リビングを睨みつけたあと、

そっと玄関に立ち寄る。

運動靴の汚れを軽く叩き落とし、

手に持ったまま自室へ向かった。

 

(この先…どうなるんだろう。)

母さんの反応や今後の生活が

全く想像つかず、怖くて、足が震える。

でもこの機会を逃したくなくて、

意を決してタブレットを

充電器から外した。

 

 

 

1階に降りて、リビングに入る。

母さんはサンルームで

洗濯物を干している頃だろうか。

 

「おい。健児」

「――――。」

ソファの前に立ち、

ゲームに没頭する健児に声を掛ける。

「お前また、仮病使っただろ」

無視される事は想定済みで、

核心をついてみせると――――。

 

 

「ホラね!ぼくがせきをすれば、

みんなぼくの言うとおりになるんだ」

口の端を異様に吊り上げ、

健児はほくそ笑んだ。

「…そっか。今回も俺の運動会を

邪魔したって事だな」

「べつにいーじゃん!

お前はおかあさんがいなくても

ほめてくれるひとが

いっぱいいるんだから!」

「なるほど。…な」

 

普段の俺だったら、

ぶん殴ってやりたい衝動を

必死に抑えていたかもしれない。

でも、――――きょうの俺は違う。

 

 

 

「かあさァーーーン!!!」

「はーい!」

「健児が仮病使って、

運動会の邪魔したァー!」

 

大声で用件を伝えると、

ただ事ではないと感じたのか

母さんが戻って来る。

 

 

「一体…どうしたの!?

健児の咳が仮病だなんて、そんな…」

「だって健児本人が言ったもん」

「…健児が?」

「…うえっ。ぼく、ゆってないよォ…」

困惑する母さんを味方につけようと、

健児は可愛く泣きべそをかいてみせる。

 

(――――よし!今だ)

皆が集まったところで、

俺は抱えていたタブレットを

手に取り、操作する。

 

 

 

 

――――ホラね!ぼくがせきをすれば、

みんなぼくの言うとおりになるんだ。

 

――――べつにいーじゃん!

お前はおかあさんがいなくても

ほめてくれるひとが

いっぱいいるんだから!

 

 

 

「これ健児の声…よ、ね?」

いま録音したばかりの音声を再生すると

母さんの顔が白くなる。

「コイツの暴言は

他にもいっぱいあるよ」

ここぞとばかりに、

録音した音声を順番に流していく。

健児も、これまで上手く

隠していたと思っていたのだろう、

口をあんぐりと開けて呆然としている。

 

「健児はさァ!父さん母さんに隠れて、

いままで暴言ばかり吐いてきたんだ!

くす玉壊した犯人もコイツだし、

誕生日にも仮病を使った!

それも、このデータの中で、

健児本人が暴露してる!

……こんなの、おかしくねえ!?」

これまで積もり積もった思いを

母さんにぶちまける。

 

「病気の人は!どんだけ

ひとを踏みにじっても許されるの?!

俺には人権はねえの!!?

俺は!コイツの奴隷になるために

生まれてきたのかよ!!?

冗談じゃねえよ!!!」

「…………ッ」

母さんは返す言葉が見つからないのか

大きな目を開き、わなわなと震えていた。

俺の心からの訴えを聞いたあと、

視線を俺から健児へと移し。

 

 

 

「健児ィッッ!

なんて事をしたの!!!」

「ぃ……ッ」

大きく響く怒鳴り声に、

健児はすくみ上がった。

「お兄ちゃんは間違いなく

うちの子だと、何度も言ったでしょう!?

大事な家族に、どうして

こんな酷い事ばかりするのよ!」

 

(……あ。よかった。

母さんは敵じゃない……)

緊迫した場面だというのに、

何故かひどく安心してしまう。

想像以上に俺は、親の反応を

恐れていたようだ。

 

しかし健児が、折れる事はなかった。

「ぼくはわるくなイ!

コイツは、ぼくのものをうばった

ドロボーだ!」

「お兄ちゃんが何したって言うの!?」

「どこに行っても、

みんなコイツばっかりほめる!

ぼくのともだちも、コイツのせいで

あやとりほめてくれなくなった!

みんなみんな、コイツがうばったから

やりかえしてやったんだ!」

「お兄ちゃんは悪くありません!

褒めてくれるのはお兄ちゃんが、

沢山頑張ってきたから…」

「ぼくはもっとがんばった!

しゅじゅつもがんばった!

せがのびるちゅうしゃもしてる!

なのにコイツは、

なにもしないくせしてのびてる!

ズルイズルイズルイ!」

 

 

(…また出たよ。)

それを言えば、コイツは皆

思い通りに出来ると思っている。

悔しいんだろうなと想像しているし、

だから何も言い返して来れなかったけど。

 

これ以上、

言いなりになってたまるもんか……!

 

 

 

「じゃあ…なんだよ?

お前より大変な子が

どんな意地クソ悪い事してきても、

お前は文句を言わねえんだな?」

好き放題叫ぶ健児を、ぎろりと睨む。

 

「お前の学校には、

お前と違って歩けない人もいる!

ベッドに寝たまま運動会に出た人も

喋る事の出来ねえ人もいたよなァ!?

その人達にお前の大事なゲームを

グチャグチャにされても、

許せるって事だよな!そうなんだろ!?」

「ぇ。それは…」

「外国には、病院に行く事すら

出来ねえ子どももいる!

その子たちが『健児くんは

手術が出来てズルイ』って言って

お前を殴っても蹴っても、

お前に文句を言う資格はねえ!」

「でも…ぼくだって……」

「お前が俺にやってる事は

そういう事だろうがよ!!違うか!!?」

「ぅ。ぅぅ…っ……」

 

こんな事、他人と比較する問題では

ない事は、わかっている。

健児は健児で大変な思いをしているのは

事実なのだ。

ただ、その理屈が通用するのなら

俺にだって同じ事が言えるはず…。

俺が言いたいのは、健児と

他の病気の人との比較し

健児の痛みを否定する事じゃなくて。

自分の大変さを振りかざし、他の人間を

傷つける行為は間違っているという事。

その一点なのだ。

 

健児が言い返せない事を

わかっていながら、

次から次へと言葉をぶつけた。

以前なら、小さい子を相手に…と

母さんが俺に注意しただろう。

それを狙っているのか、

視線で母さんに助けを求めたものの、

母さんが微動だにしないのを見て

涙目に変わっていく。

 

「ぼっ。ぼくのきもちなんか、

わからないくせにッ……」

諦めたのか、

ぶるぶると震えながら言い返す。

 

 

 

「ビョーキじゃない兄ちゃんに、
ぼくのきもちがわかるか!」
「お前こそ、俺の気持ちなんて
わかんねえくせに!」

同じ事しか言えない健児に向かって

とどめのひと言をぶつけたいと

考えた俺は。
「――――お前の病気のせいで!
父さんも母さんも
俺をほったらかしなんだぞ!」

 

カッとなって言い返したあと、

はっと我に返る。

どんなに腹を立てても悲しくても、

絶対に言わないでおこうと決めていた

家族への恨み言を、

声に出してしまった――――。

 

 

「あっ……」

不意を突かれて驚く母さんと

目が合って、

激しく後悔した……そのとき。

 

 

 

「…ぅ。……ウ!

ウギャアァァアァァッッッ!!!」

健児の絶叫が、リビングを支配する。

 

「ぼぐゥ…ッ!

ボグワルグナイィィィイ!」

「ううん。あんたが悪い!

泣いても許しません!」

「アアァァアァァァンンンッッ!!!」

健児がどんなに泣き叫んでも、

母さんに折れるつもりはないらしい。

 

(これで。健児の態度も変わるのかな)

微かな期待を抱いたけど、

 

 

 

「……ッ!…ヒ!……ィ……!」

「健児!?」

健児はかっと目を見開き、

喉を抑えて膝をついた。

「過呼吸だわ!」

苦しむ様子を見て、母さんはすぐに

清潔なタオルを取りに行く。

 

「…健児。息をゆっくり吐きなさい」

「……ッ…」

「そう。その調子」

母さんの対応によって、

徐々に健児の発作は落ち着いていく。

 

 

(治まったん……だよな)

命に関わる事態ではない事に

ホッとしながら、健児の様子を見ると。

 

 

 

「――――ッ!」

母さんの背中越しに目が合い、

健児の目はほくそ笑んでいた。

この場が思い通りになったと、

勝ち誇っているように見えて……。

 

 

 

(もうやだ。こんな家……)

絶望した俺は、

ふらふらとリビングを出て部屋へ戻る。

 

いまの発作が本物だった事は、

俺にでもわかった。

これで味を占めた健児は

今後も何かあるたびに大泣きし続けるか

発作を起こった場合も

それ見たことかと

その場をやり過ごすに違いない。

この家にいる限り、

みんなアイツの奴隷なんだ……。

 

 

財布とメモ帳、筆記用具、

タブレット、充電器を

リュックサックに詰め込む。

飲み物は後から買えるし、

公園の水道水でも飲めばいいから

最低限の荷物で家を出ようと考えた。

本も全部持って行きたい気持ちだけど

図書館にある物を読む事にする。

(あ。ハンカチと

ティッシュも入れねえと)

荷造りを終えて、クローゼットに

目を向けると。

 

 

コン、コン…とノックの音がして、

びくっと硬直する。

 

「…賢一?さっきはごめんね。

健児の調子がもう少し落ち着いたら

謝らせるから…。」

「……ッ。」

「お腹空いたでしょう?

お昼ご飯、ドアの外に

置いておくから食べて頂戴」

コト…と硬い物が置かれる音のあと

母さんの足音は去っていった。

 

 

 

 

――――賢一も、もう10歳になったし。

10年後のこの日に

一緒に酒を飲めるのが楽しみだなァ!

 

――――あらあら。

気が早いわよ賢吾くん。

 

 

父さんの誕生日の会話を思い出し、

ずきっと胸が痛む。

(ごめん。母さん。父さん―――)

一瞬だけ目を瞑り、心の中で謝る。

 

クローゼットへと向かって

引っ張り出したものは、

父さんから使い方を教えてもらった、

災害用の縄梯子。

俺の部屋の窓の真下は浴室で、

最近の風呂掃除は俺が担当しているから

この時間に誰かがいる事はないだろう。

気になるサンルームも、

少し前に洗濯物を干したばかりだから

出て行くならいましかないと確信した。

 

父さんのやり方を思い出しながら、

フックを窓に引っ掛ける。

梯子を下に垂らして地面に

届いた事を確認後、

リュックサックと運動靴を身につけて

窓を乗り越えた。

 

 

 

(うわっ。思った以上に揺れるんだな)

梯子を握る手に力を込めながら、

一段ずつ降りていく最中、

 

「―――――――ッ!?」

フックの掛け方が甘かったのか、

片方外れてしまった。

怖くなるけど、ここでむやみに暴れたら

もう片方も外れてしまうかも……。

 

 

 

(いっその事。

このまま死んだら楽になるのかな)

まだ大人の身長よりも高い地点から

地面を見下ろし、そんな考えがよぎった。

俺さえ死んでしまえば、

健児は親を独り占め出来るし

親だって面倒事が減る。

それが皆にとって、

一番いいのかもしれないな…。

 

 

 

リュックサックの肩紐を外し、

地面に投げ捨て。

転落する前に、自ら手を放す―――。

 

 

 

 

 

しかし身体は勝手に、

ミツキ先生に教わった着地法を

実践しやがる。

着地した瞬間膝を曲げて衝撃を逃すと、

ばねのように前にジャンプ。

跳び込み前転をして立ち上がった俺は

全くの無傷だった。

 

「はは。…ンだよ。

こんな状況でも

死にたくねえのか俺は…」

身体が勝手に反応したというけど、

その身体に信号を送っているのは

脳なワケで。

結局のところ、俺の心が

生きたがっているという事なのだ。

 

(行く当てなんて、無いっていうのに…)

自分の貪欲さに、笑うしかなくて。

しばし立ち尽くしたあと、

ミツキ先生の言葉を思い出す。

 

 

 

 

――――何かあったら、

『ひだまりハウス』へおいで。

俺はいつでも、賢一の味方だから。

 

ミツキ先生は確かに、

そう言っていた。

(行こう。『ひだまりハウス』へ)

少なくともこのまま奴隷でいるより

ましなはずだ――――。

 

 

 

行き先が決まった俺は、

リュックサックを拾い上げる。

 

 

 

 

 

******************

 

 

image

 

久し振りに貼り付けた、

現在4年生なオリキャラ一同。

(このメンバーは高校こそ同じですが

4つの小学校に分かれていて

他校の子とは面識がない状態です)

 

このメンバーの中で

とてつもなくか細い賢一くんですが、

ソーラン節はキレッキレで

踊るんだろうなあと想像(´▽`*)

 

クマくんやマツチヨくんは

力強そうですが、個人的に

ソーラン節が似合うと思う

オリキャラ男子NO.1は、

少年時代の黄藤くんです♡

 

 

 

かれこれ5年前の絵。

あらゆるバランスを直したいですが、

雰囲気だけ感じてください(笑)

実物は薄顔&硬派でカッコイイはず…!

 

 

 

 

 

…って、ソーラン節好きで

もっと語ってしまいそうに(笑)

危ない危ない…( ̄▽ ̄;)

 

 

ここまで長編になってしまった理由は

上記のソーラン節よろしく

秘密基地や夏祭り、店の手伝い等

面白そうなエピソードを

後先考えずに詰め込んでしまったから

なんですけどね(笑)

 

これらのエピソードを通じて

賢一くんの充実度や

周りからの人望がUPする事で、

健児くんが仮病を使うまでに

至ったと思うので

無駄ではないと思うのです。

(開き直りですw)

 

 

特に『ひめじ堂』編では、

無条件で健児くんの味方だと

思われていた母・麗奈さんとの

接点が増え。

お互いに壁を感じていた2人の

雪解けの兆しが見えてきました(*^^*)

 

このシリーズ第一話の、

盲目的に健児くんの肩を持ったように

見える言動も、健児くんの癇癪と

麗奈さん自身の頑なな性格によって

疲れていたせいというか。

それが、勉強担当を賢吾さんと

交代した事で心に余裕が出来て。

さらには麗奈さんが仕事に

大きなやり甲斐を見出した事で、

狭まっていた視野が

修復されたのかなあ…と。

 

健児くんが賢吾さんに

べったりだった理由は賢一くんを

孤立させたいからなのですが、

結果的に麗奈さんと賢一くんの

話す時間を増やしました。

 

 

ただそんな状況は、

健児くんにとって面白くなくて。

さらには『ひめじ堂』の出来事は

健児くん目線では麗奈さんが、

自分を突き放したように見えております。

そこで、ただ可愛い次男を

演じるだけでは麗奈さんを

思い通りに出来ないと思った健児くんは

仮病を使う事で、

自分が森下家の一番になろうと考える。

 

 

……一見寄り道だらけの

このシリーズですが、

結果的にうまい事繋がったのでは?と

開き直っております(笑)

 

32話では、家出後

『ひだまりハウス』に向かう賢一くん。

そこでも事件が勃発するかも

しないかも!?…です(^^ゞ

 

 

 

 

それではお付き合いいただき、

ありがとうございました(^^)