今年秋に起こる

賢一くん家出事件に向けて

ちょくちょく話を公開予定です。

 

この頃の経験も踏まえて、

サキちゃんや仲間と

青春を謳歌する高校生モリシタくんを

書けたらと思いながら書きますが、

辛い内容も多いと思うので、

読む読まないは無理なさらず、

お時間とお心に余裕のある場合に

お付き合い頂ければ幸いです(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは本題へ。

 

 

未来編では

出来過ぎ高校生として登場します、

モリシタくんこと森下賢一くん。

今回は現代設定の

小学4年生編をお送りいたします。

 

 

 

賢一くんが登場する

『ひだまりハウス』のエピソード

↓↓↓↓↓

 

 

『旅行前にもまたひとつ』

(前編後編)

 

『バレンタインの恋模様』

 

『マスクですから!』

 

『18歳』

 

『もうひとつの短冊』

 

『…翔べ!』

 

『笑顔が見たいから』

 

『受難は続くよどこまでも』

 

 

『もうひとつの噓』

 

 

 

2人の先生との

やり取りを綴った妄想を、

思いつくままに垂れ流したいと思います^^

 

 

 

 

 

 

 

image

 

 

 

4年生の秋に

家出をしてしまう賢一くん。

それまでの間、

この子に何があったのかを

主に本人視点で、

いくつかの話を公開予定です。

 

 

 

 

 

 

《注意!》

  • このシリーズは暗めです><辛くなった時点でお逃げください!

 

ご容赦いただけるかたのみ、

スクロールをお願いいたしますm(u u )m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******************

 

 

オリキャラ妄想

「散らばるココロ 第1話」

 

 

 

放課後を『ひだまりハウス』で

過ごした俺は、

この日母さんの車に乗って帰宅。

リビングを見ると、

学校のプリントと思われる紙や

筆記具が散乱していた。

 

「…散らかっててごめんね。

健児に宿題やらせようとしたら

癇癪起こしてしまって」

「……しょうがねえって。

健児も入学したばっかで

疲れてんだよ、きっと」

その場に屈み、プリントに手を伸ばす。

代わりに片付けるのは

本人のためにならないと思うから、

通り道を作るだけに留めておいた。

 

健児本人はというと、

ソファで横になり、祖母ちゃんに

買って貰ったゲーム機で遊んでいる。

「ただいま。健児」

「――――。」

ゲームに夢中なんだと思う、

この日も健児の返事はなかった。

(……。まあ俺も、

本に夢中になるとこんなカンジだし)

ランドセルを下ろしたあとは

洗面所に移動し

手洗いうがいを済ませ、

ついでにトイレに立ち寄る。

ささっと用を足して

ドアを開けると――――。

 

 

 

「あ。お待たせ」

ゲーム機を持った健児が、

俺を睨みながら立っていた。

「はやくどけよ。バカ」

「……。はいはい」

酷い言葉に反応していても

きりがないと思い、

さっとどいてやるが。

 

「ぼくのおうちのトイレなんだからな」

「―――あのさァ。

先にこの家に住んでるの、

俺の方なんだけど」

我慢出来なくなって、

健児に言い返す。

 

「お前いつも俺の事を

よその子とか言うけどさァ。

…俺もお前も、ここン家の子で、

父さん母さんの子って事で

いいじゃねえか。

なんで1人だけに決めようとするんだよ」

「お前は、ぼくと似てないもん!

ニセモノのきょうだいにきまってる!」

 

 

 

何年間も入退院を繰り返していた

健児が帰って来て、もう半年が経つ。

家族4人で暮らせば

楽しい事ばかりだと想像していたけど、

現実は俺の想像とは違った。

 

何かにつけて対抗してくるのは、

兄弟あるあるというモン

なのかなあと思っていた。

でも健児が、俺とは違う

学校に行く事になってからは

対抗心が悪化し、

敵意を感じるように。

 

最初は健児は落ち込んでいるんだからと

自分に言い聞かせていたけど、

正直に言うと、最近は

健児の顔を見るだけでイライラする。

殴ってやりたいって、何度も思った。

健児は弱いから、

本当に殴ったりはしないけど……。

 

 

 

(俺の事が嫌いなら、

せめて放っといてくれ)

相手をするのに疲れて、

ランドセルを取りに行こうとすると。

 

「頭だって、お前バカじゃん。

ザコおつーー!」

「――――――は?」

きっと動画かテレビで

覚えたと思われる言葉を聞いて、

堪忍袋の緒が切れる。

 

「…お前さァ」

「!?」

学年1チビな俺でも、

健児にとっては大きな壁に見えるらしい。

片足でドンと壁をついて真顔で見下ろすと

びくりと身構えた。

「いつも俺をバカって言うよなァ」

「だって!小学校なんて、

簡単なベンキョーばかりなんでしょ?」

「そうかもしれねーけど。

…俺がバカだったら、

お前は大バカなんだからな」

年下相手に知恵比べなんて

カッコ悪いと思うが、

このときの俺は黙っていられなかった。

 

「お前なんか1年生になっても

ひらがな読めねーくせに」

「!」

「俺は3歳の頃には

スラスラ読めたんだからな!

いばるんじゃねえよ」

「う。う…ッ……」

 

健児が悔しそうに口ごもるのを見て

気が済んだ俺は、足をおろして

リビングへ行こうとするが。

 

 

 

「う…!

うあああァァぁぁァンッッ!!!」

「…またかよ!

自分が不利になると、すぐ泣く。」

耳をつんざくような泣き声を聞いても

後悔どころかウンザリしてしまう。

 

「そんなに泣きてえなら、

気が済むまで泣けば?

俺知らねえし――――え!

どうした健児!!?」

「――――ゥ!…ヒッ!ッ!」

突然、健児が発作を起こし

気が動転する。

 

「…かあさん!健児がッ!」

「え!?なになに!」

「泣いたあと、

急に苦しそうにし出したんだ!」

健児の様子を見た母さんは、

ポケットからハンカチを取り出すと

健児の口に当てる。

 

「大丈夫健児!?

ほら、息をゆっくり吐いて」

「―ふッ。―ううッ。」

「いい子ね。

今度は大きく息を吸って――」

こうして深呼吸を繰り返すうちに、

健児の顔色は元に戻った。…が。

 

 

 

 

「一体、何があったの」

母さんは静かに質問したけど、

その目は俺を犯人だと

決めつけているように見える。

「それは、健児が…」

すぐさま説明しようとすると。

 

「兄ちゃんが、バカって言ったぁ」

「何ですって?」

「ぼくが、ひらがな読めないからって。

ぅえっ……」

それを聞いた母さんの顔は

真顔に変わる。

 

「――――賢一。

確かに貴方は平仮名も読めるけれど。

それを人に威張るようじゃ、

人として失格よ」

「なんで!?」

「本当に頭が良い子は、

ちゃんと出来ない子の気持ちも

考えられる子だと思うわよ」

 

 

「おかしいよ!そんなの…」

こっちの言い分も聞かずに

俺だけが悪者に悪者にされて、

納得が出来なかった。
「最初にバカとか雑魚って言ったのは

健児なのに!」

「賢一はバカじゃないんだから

相手にしなければいいのよ。」

 

(…ソレって。

暗に健児の事をバカって

言ってるようなモンじゃねえか)

そして当の健児はというと、

言葉の意味にも気づかず

母さんの後ろからべーっと

舌を出している。

それを見た瞬間、再び頭に血が上る。

 

「母さんは健児に泣かれるのが

面倒臭いんだろ!

俺に罪押し付けて、この問題を

早く終わらせる事ばかり考えてんだ!」

「ああもうッ!可愛げがないわねえ!

すぐに屁理屈ばかり言って、困らせて!」

 

 

(なんだよ、ソレ。)

あまりにも酷い言い方をされて、

唇がワナワナと震えた。

そんなに可愛くねえんだったら、

こんな家、俺の方から――――。

 

 

 

 

「ただいまー」

「!」

 

玄関に父さんの声が響き、

その場の空気が変わる。

「みんな集まってどうしたんだ?

…あれ?健児泣いたのか?」

「うん。ぼく泣いちゃったァ」

「賢一が、平仮名を読めない事を

馬鹿にしたんですって。」

「母さん!」

再び悪者扱いされそうな流れを感じて

声を上げると、靴を脱いだ父さんは

俺の顔を見る。

「…賢一。

母さんが言った事は本当なのか?」

「そうだよ。」

父さんの質問に、正直に答える。

「…でも!最初にバカとか

雑魚って言ったのは健児だった!

俺が悪いんだったら、

健児も悪くなきゃおかしいよ!」

「だから、それは貴方が…」

「大人は、出来る子も出来ない子も

差別しちゃ駄目って言うけど!

俺にだけ怒るなんて差別じゃねえか!」

 

 

母さんの言葉を遮り、

この不公平な状況を懸命に説明した。

すると父さんは、俺を見下ろし。

 

 

 

「―――確かに。健児も悪いな」

「ええっ!」

父さんの言葉に、健児は再び涙ぐむ。

「ぼく、いっぱい泣いてるんだよ!?」

「心が痛くても、

涙が出ない人だっているんだよ。

お兄ちゃんに言われて嫌だった言葉は

健児も言ったら駄目だ。」

「ちょっと賢吾くん!」

父さんの反応を見て、母さんが慌てる。

「健児はさっき過呼吸起こしたばかりで…」

「でも、悪いものは悪いからな」

「おとうさんなんて大キライ!」

「はいはい。キライで結構。

―――賢一。ちょっと部屋までおいで」

「うん……」

怒った健児を放ったらかしな事が

気になるが、母さんがついていれば

大丈夫だろう。

この嫌な場所から

抜け出せる事にホッとした俺は

父さんの風呂掃除を手伝い、

一緒に二階へ上がる。

 

 

 

 

「父さん。健児の身体大丈夫かな…」

「ああ。多分賢一が見たのは、

過呼吸というものだ。

健児は苦しい思いをしただろうが、

ゆっくり呼吸をすれば治まる

発作だから。もう大丈夫。」

「俺。カッとなって

酷い事言ったから……」

やっぱり苦しかったよな…と

発作を起こしたときの

健児の様子を思い出す。

悪い事をした罪悪感で

床を見つめる俺の頭に、

父さんの手が置かれる。

 

「健児の体調は大事だけどな。

…父さんは、賢一の事も大事だ。

健児にやりたい放題させて

賢一ばかり我慢する必要はないよ」

「うん……」

温かさが込み上げ、顔がぐっと熱くなる。

 

(父さんはいつも、

平等に見てくれる。)

父さん母さんは、

俺たち2人の親だ。

自分だけが怒られたのが

納得いかなかっただけで、健児だけを

悪者にしたいワケじゃない。

 

その点父さんは、

俺の悪い所は悪いと言い、

健児に対してもそうする。

健児が病弱だからという理由で

俺を一方的に悪者にした事は

一度もなかった。

どんなにイライラしていても、

父さんが帰って来ると

たちまち楽しい気持ちになるんだ…。

 

 

 

「そうそう!

これを、賢一に見せたくてな」

少しホッとしたタイミングで、

父さんは本屋の袋を取り出す。

「ああっ!歴史マンガだッ」

「賢一が借りてるのを見て、

懐かしくなってな。

本屋に寄って1冊だけ買うつもりが

色々買っちゃったよ。

―――賢一も読むか?」

「すげえ読みたいけど…。

ご飯とお風呂終わってからにしよっかな」

最近図書室で見つけて気に入っていた

漫画シリーズの最新刊を前にして、

嫌な気持ちがたちまち吹っ飛ぶ。

 

ソワソワしながら、

明日の時間割も含めた

この日すべての予定を終わらせ、

再び父さんの部屋へと向かう。

父さんの大きなベッドの上で

夢中になって本をめくるうちに、

最後のページまで読み切ってしまった。

 

 

 

読書のあとは、この日の出来事を報告。

「…そうか!賢一は今年も、

学級代表になったのかあ」

「うん!誰も手を上げなかったから

すぐに決まったよ。

明日から楽しみだ!」

「賢一、やる気満々だなあ。

今朝も早起きだったもんなあ」

「うん!4年生は、

楽しい事がいっぱいあるんだ」

これまで上級生がしてきた事を

思い出し、ひとつずつ挙げていく。

 

「部活はないけど、

クラブ活動があるし!

あとソーラン節リーダーとか、

騎馬戦とか!それから社会見学とか

10歳を祝う会とか…」

「ははは!

両手で数えても足りないな」

頭に浮かんだ行事を

矢継ぎ早に並べ立てると、

父さんはぷっと吹き出す。

 

「明日も、思い切り

楽しんで来るんだぞ」

「うん!勉強もいっぱい頑張って、

父さんみたいに頭良くなるんだ」

「賢一は、充分頭いいと思うぞ?」

「俺らが小学生だから、学校側も

易しい問題ばかり出してるんだよー」

沢山喋るうちに、眠気に襲われ。

この日の嫌な出来事も薄れていく……。

 

 

(明日も、楽しい1日だといいな)

目を閉じては開いて…という動作を

繰り返したあと、深い眠りに就いた。

 

 

 

 

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書ききった時点で3時超えてしまった!

(゚Д゚;)

 

また第2話で

あとがき書く予定です(笑)

 

 

 

 

それではお付き合いいただき、

ありがとうございました(^^)