モリサキ編を進める前に

もう少し話を膨らませたくて(^^ゞ

宣言しました高杉氏も

近々書きますので

もうしばらくお待ちくださいm(__)m

 

 

 

 

 

 

それでは本題へ。

 

高校3年生に進級した

もっちー視点の妄想です♪

 

 

 

↓↓↓高校2年生黄藤くん↓↓↓

&もっちーの妄想まとめ

 

 

・長期休校中のやり取りを綴った

『いつだってそばに』

 

・黒執着心と書いて

クロトリツキミちゃんに脅迫された

『守りたいものがあるから』

(☆前編中編後編)

 

・黒執さん問題解決後に誘われた

ドキドキなAV鑑賞会エピソード

『黄藤くん、危機一髪!?』

(タイトル変えましたw)

 

・ブレ黄の交流が再び始まった

修学旅行妄想

『月にねがいを』

(前編後編)

 

・黄藤くんともっちーの♡友達

近藤さんが接近!?な

『縮まって、広がって』

(前編後編)

 

・クリスマス旅行のために

アルバイトを始めるもっちー視点な

『旅行前にもまたひとつ』

(前編後編)

 

・もっちーが誘惑に苛まれるお話

『丸い誘惑』

 

・互いに大事に想っているのに

すれ違うふたりの

『掛け違えるふたり』

 

・ついにクリスマス旅行へ☆

『青いふたりのクリスマス』

(前編後編)

 

 

 

 

↓↓↓高校3年生の妄想はコチラ↓↓↓

 

・マスク越しの○○!?

『マスクですから!』

 

・誕生日だけどモダモダ真っ最中な

『18歳』

 

・恋に失敗した黄藤くんのその後を綴る

『もうひとつの短冊』

 

・ついに黄藤くんが吹っ切れるハナシ

『…翔べ!』

このようにつかず離れずな二人の

様子を綴った妄想を、

思いつくままに垂れ流したいと思います^^

 

 

 

 

 

image

 

 

今回は、ふたりのバイト先

・『ひだまりハウス』からお届け!

大概の事は思惑通りに生きている

もっちーにとって

前途多難だった初バイトでしたが、

約1年が過ぎてうんと成長しました☆

 

 

 

《注意!》

  • 作文クオリティ御免!(笑)
  • 二人はくっついていないので糖度低め!

 

ご容赦いただけるかたのみ、

スクロールをお願いいたしますm(u u )m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

掃除戦隊物語

「笑顔が見たいから」

 

前途多難に思えた
託児施設のバイトを続けて、
まもなく1年。
この日も最後まで残った

2年生のチビにお迎えが来た事で
この日のバイトもそろそろ終わりそうだ。

「…おまたせ。ケンイチ」
「お帰りなさい。母さん」
迎えに来た母親に返事をしてから
所長のいる隣の部屋へと移り、

帰り支度を始める。



「お母さん、ダンス経験者なんですかァ?

ケンイチくんが、ダブルダッチやってるとき

母さんに教わったーって言って

かっこいい動きを見せてくれたんで」
「ええ…。下の子を妊娠するまでは

ジャズダンスと社交ダンスを習ってました」
「お母さんに教わったのが

嬉しかったみたいで、

色々見せてくれましたよー!」
この日の活動を報告すると
母親はほっとした様子で微笑む。

 

「シハル先生、ありがとうございます。

あの子、学童にいた頃派手な喧嘩をして

追い出されるように辞めたので。

他の子に迷惑を掛けず

穏やかに過ごしているようで

ほっとしてるんです…」

「………。」

辞める経緯は、父親からも聞いた事がある。

からかわれた事に腹を立てたチビが、

上級生相手に、馬乗りになって

殴り続けたという内容だ。

でも……。

 

「ケンイチくんは優しいですよー!

世話好きだから、

1年生たちに懐かれていて」

思いを吞み込んで

笑顔で応対していると、

帰り支度を済ませたチビが

所長と一緒に現れる。

「先生、ありがとうございました。

明日から2週間は

夫が迎えに来ますので、

よろしくお願いいたします。」

「所長先生、シハル先生。

ありがとうございました」

上品な雰囲気を纏った母親に倣って

うやうやしく頭を下げ、

母親の後に続き帰っていった。

 



「…僕。あのお母さんキラーイ」
「こーら、紫晴くん!

職場でそんな事言わないの」
「いま、所長センセと2人きりじゃん」
利用者が完全に姿を消したところで
素直な気持ちを漏らす。

「だってさー!

…あそこのお父さんは

『ケンイチが楽しそうで良かった』って、

ケンイチの気持ちに寄り添ってるデショ?

でもお母さんは、迷惑掛けていないか?って

ひとの目ばっか気にしてんだもん」
「周りから我が子が

愛されますようにと願う、

お母さんなりの愛の形なのよ、きっと。

何か問題があったとき、

これだから事情のある家の子はって

後ろ指さされて悲しい思いをするのは

ケンちゃんなんだから」
「わかってるよ、お母さんに

愛がないワケじゃない事くらい。

だから僕だって、本人の前では

ニコニコしてるんじゃんか…」

 

僕の母親よりも年上の所長は、

僕を諭すように意見を言うけど、

あくまでもそれは、

オトナ側の都合なワケで。

 

 

「でも僕は、

ケンイチの気持ちだって大事だもん。

アイツ父親が迎えに来たときは

嬉しそうに飛びつくのに、

母親の前ではあからさまに態度違うし。

絶対顔色窺ってんじゃん。…って。

何笑ってんのさセンセってば」

食い下がる僕を見て、

所長はくすくすと笑いだした。

「紫晴くんも、ここに来て

もうすぐ1年になるのよね。

すっかり先生の顔つきになったなあって

嬉しくなっちゃって」
「そっかぁ。もう1年になるのかあ…」
「最初は、女の子と喋って

お給料もらえるなんて楽勝!っていう

雰囲気だったのにね」

「うわ!バレてた!??」

 

『ひだまりハウス』は学童施設と比べて

利用者の出入りが多い施設だけど、
僕が入った頃のメンバーも多いワケで。
そいつらを取り巻く状況を知ったり、
交流をするうちに、柄にもなく
情が湧いてしまったのだった。

「親にだって事情や考えが

あるんだろうけどさー。

ここに来るガキんちょには

何の罪もないんだからって思うと

柄にもなく肩入れしちゃうんだよねえ…」
「紫晴くんはそのままでいいと思うわよ。

手放しで味方をしてくれる存在も、

あの子たちには必要だから」
会話をしながら閉所後の清掃を済ませ、
この日のバイトが終了。

「それに、柄にもなくって言うけど。

紫晴くんはクリーンレンジャーの

一員らしい、熱い正義の心を

持っていると思うわよ」
「そう?僕って、アイドル要素強いじゃん?」
「それなら、わざわざ遠回りしなくても

紫晴くんならアイドルになれるじゃない。

それを、わざわざ戦隊に加わって

重いヤカンを片手に皆を癒すのは

正義の心があるからだ―――って。

ミツくんも褒めてたわよ」

(――――――エ!?光希が…)
自分を認めてくれる言葉に、
胸を熱くした。






翌日。
この日はバイトが休みなはずの光希が
何故か下校後、僕についてきた。
「なァにみーちゃん?

僕のストーカーになりたいの??」
「違うよ。もっちー、いまから

子どもを迎えに行くんだろ?」
「ちょっと!冗談をさらりと流さないでよッ。

―――まあお察しのとおり、

ケンイチの小学校に行くんだけどさっ」
 

たいてい子どものお迎えは

運転免許を持ったスタッフが行くものの、

シフト等の都合で人手が足りないときは

僕や光希がバスを利用して

小学校まで迎えに行く場合もある。

この日たまたま迎えに行くよう頼まれた事を

バス停にいる僕を見て察したに違いない。

 

「じゃあ、ちょうどよかった。

きょうはケンイチの誕生日だから

当日にお祝いを言いたかったんだよ」
「そうそう、誕生日!

僕も早くアレをあげたいなァー」
子ども達の誕生日になるたび、
僕と光希はちょっとしたプレゼントを
用意していた。
チビのリアクションを楽しみにしながら
小学校に向かうと。

「…あれ?アイツ、

大きいやつらに捕まってる」
「友達同士っていう雰囲気では

なさそうだな…」
不穏な気配を感じた僕たちは
険しくした顔を見合わせる。

 

(まずは様子を見て、場合によっては

穏便に仲裁しよう…)
この日“部外者”である光希を
門の外に残し、僕は中へと進んだ。



「久しぶりだな。ケンイチ」
「俺ら部活あるから、

タイミング全然会わなかったもんな」
「………。」
同学年の中でも背が低いチビは、
おそらく高学年な上級生に挟まれ
さらに小さく見える。

「お前のせいで、俺ら

1年にボコボコにされた弱虫って

バカにされてるんだぞ!?」
「ふーん。事実じゃねえか」
「なんだと!?相変わらず生意気だな。

チビのくせして…」
チビが反論すると、

2人組の大きいほうに胸倉を掴まれた。

爪先でぎりぎりバランスを

保っている状態でも、
チビは目をそらさず睨み続けている。

「去年みたいに

勝てると思うなよ、ケンイチ。

俺らは背が伸びたし、バレー部で

力もついたんだからな」
「それに比べて、お前は相変わらず

チビだなあ。ショウガイシャだから

背が伸びないんだろ」

「うっせえ!下級生や病気の子にしか

いばれねえお前らのほうが

頭オカシイんじゃねえの」
言葉と気の強さだけでいえば
チビはけっして負けていなかった。
でも…。


(僕のがもう限界だ…!)
チビを引き離したあと、
背の高い方の胸倉を掴み、高々と上げる。


「小さいし、軽っるーい!

お前の脳みそみたいだね」
「うわっ!だ…誰だよッ」
チビに向けていた威勢はどこへやら、
血の気が抜けた状態で宙に浮いている。

「僕はァ…正義の味方ってトコかな?

低学年をよってたかってイジメる

悪いやつを、懲らしめにきたんだよ☆」
「せっ…先生に言ってやる!

不審者が胸倉掴んだって…」
「悪いケド、いまのやり取り録音済みだから。

――――そうデショ光希?」
「うん。むしろ先生たちにも来てもらって、

君たちがいじめの常習犯だという事を

知ってもらったほうがいいかもね」
僕の後ろで、当然のように
もう一人の上級生の胸倉を掴んでいる。

 

(ってか、初めから

ついて来る気満々だったし。

…まあ、光希に傍観なんて選択は

初めからないよね…)
一瞬苦笑したあと、
半泣きになった背の高い方を

さっと地面に置く。

「お前らさァ。

ケンイチにボコられたくせして

何で近づいてくんだよ」
威圧的に見下ろして尋ねると、
ガタガタ震えながら言い訳を始める。
「こ!コイツのせいで、

俺たち学童を辞めさせられたんだ!」
「――――――は?」
「ケンイチが辞めて1ヶ月くらい経った頃、

ケンイチの父ちゃんがスーツ姿で

学童に乗り込んできたんだよ!

俺らがこれまでからかったやつらの

証拠とか、ケンイチが暴れたときの

証言者も連れてきて、

ケンイチは悪くないって

クレーム言いやがった!」
「なァんだ。ソレ自業自得じゃんか」
 

(あの父親なら、やりかねないな)

敏腕弁護士のように

学童関係者や加害者側の親を

論破する姿が目に浮かぶ。

 

 

「おれの…父さんが?」

「大人げないんだよ!

俺らちょっとからかっただけなのに、

出るとこ出る気でいるとか言って…」
「あのさァー!

お前らがやってるのはイジメだからね!

んでもってイジメっていうと

軽く聞こえるかもだけど、犯罪だから!」
「は…ハンザイ!?」
重みのある言葉に衝撃を受けるガキを、
僕は鼻で笑う。

「お前ら、学童にいた頃

2人でよってたかって

ケンイチを殴ったんデショ?

んでもって今回は胸倉掴んで脅して、

障がい者呼ばわりまで。

さしずめ、お前らの罪状はァ。

だから、そのォ…」
「傷害罪と恐喝罪と侮辱罪。

少なくとも、この3つに当てはまるね」
「その通りだよ光希くん!

僕がいまこの瞬間言おうとしてた事を

言ってくれてありがとう!!!」
「君たちは証拠が多すぎるから。

かなりまずい状況かもね」
光希の補足のおかげで、
なんとかカッコ良くキメる事が出来た。

「そうだなァ…。

お前らが二度とケンイチに近づかないって

約束するなら、僕からは

先生には言わないケド?」
「わわっ!わかったよ!

二度と話すもんかこんなヤツ!

…ほら行くぞ!」
「う。うんっ!」




「バイバーイ!二度と来るなよーっ」
一目散に逃げだしたガキどもを
見送ったあと、チビに目を遣る。
 

「シハル先生、ありがとう。ミツキ先生も…」

「お前大丈夫?

いつもあいつら、あんな感じなの?」
「いや、会ったの久しぶりだよ。

たまに遠くから睨んでくるけど、

あいつらは部活があるから。

その隙に門まで走って、

『ひだまりハウス』の先生と

合流するようにしてた」
 

学校の外のほうが、

チビも話しやすいはず。

さっそく門を出て、バス停に向かう道中
チビに事情を尋ねる。
「あのさ先生…。

裁判沙汰になったら、俺も傷害罪で

訴えられるのかなあ…」
「ケンイチは大丈夫だよ。

正当防衛だからねっ」
「そうそう。過剰防衛と言われても、

大きい子ふたりに迫られて恐かったから、

必死で抵抗したって言えばいいよ」
「よかった。俺が裁判沙汰になったら、

また母さんに迷惑掛けちゃうから……」

(『また』って。チビのくせして、

虐められてるときまで

大人に気を遣ってんじゃないよ)
深く息をつく小さな子どもを見下ろし、
胸が痛くなる。


「なあケンイチ。

あの子たちが、学童をやめた原因なのか?

他の子の事も虐めてたようだけど…」
「うん。同じ学童の、目の病気の子を

あいつらがショウガイシャって

馬鹿にしてたから、止めたんだ。

そしたらあいつら…。

『お前の家族はショウガイシャだ』って

言いやがった」

「!!!」

真相を聞いた僕たちは、

驚きのあまり硬直した。

 

「あいつらの親が、ケンジが

車いすに乗ってる所を見たんだって。

それであいつら、

家族がショウガイシャだから

病気の子を庇うんだろ…って」

「それが、ケンイチが暴れた理由なのか?」
「うん。」
「でもソレって、悪いのアイツらじゃん。

なんでケンイチが辞めて……。あ……」
ある理由が浮かび、僕は追求をやめた。


「そっかあ…。ケンイチは、

家族にホントの事を言ってないんだね」
「ケンジを馬鹿にされたって知ったら、

ケンジも、父さん母さんも悲しむだろ…」

健気すぎる思いに、胸が詰まる。
饒舌なはずの僕の口が、
どうしても上手く動かないでいると。

「ひとりでよく頑張ったな!ケンイチ。

その小さな手で、家族を守ったんだもんな」
光希が、チビの頭をがしがしと撫でた。

「暴力はいけない、平和に

解決しましょうっていうけどさ。

守りたいもののために、時には

拳を振り上げなきゃいけないときも

あると、俺は思うよ」
「うんうん。僕もそう思う」

仮にも正義の味方なんだから、もっと

平和な方法を選んでほしいものだけど
今回は光希に同感だった。
その事実を、もしさっきの時点で

知っていたら、あのガキどもを

ヤカンで殴ってやってただろう。

「でも…これからはひとりじゃないよ。

家族を頑張って守るケンイチの事を、

俺が守るから。

遠慮しないで頼ってほしい」
「僕もだよ!あんなやつら、

ボコボコのメッコメコにしてやるからねっ」
「ははっ…。メッコメコってなんだよ」
力こぶを作ってみせる僕を見て、
チビはこの日初めての笑顔を
見せてくれた。


あいにくバスは出て行ったばかりらしく。
15分程待つ間に、光希は

昨日の雨で出来た水たまりで傘を濡らし、

舗装された歩道にチビの顔を描いてみせた。
HappyBirthdayという文字の添えられた
作品を見て、チビは目を輝かせる。
「ミツキ先生上手い!

コレ、乾いたらなくなっちゃうの?

勿体ないな…」
「大丈夫。ケンイチと一緒に撮影して

お父さんに送信してあげるから」

(光希…。いつの間にあの父親と

連絡先交換してんだよ)
利用者とプライベートな仲になるなんて

規約違反じゃないのかい?と
突っ込んだところで、
我が道をいく光希には響かないだろう。

やれやれと息をついたあと、

持参した小さなケーキ箱を開ける。
「僕からは…コレ!」
「うわ…!これ、シハル先生の手作り!?」

職員である僕たちは、
子ども達の誕生日に

金品をプレゼントする事は出来ない。
ただ、折り紙細工ならOKだと
許可をもらったため、
子どもの誕生日が来るたびに
折り紙のケーキを作った。
光希のアートも僕の折り紙も、
小学生には物足りないかもしれないけど。
少しでも、お祝いの気持ちが

伝わるといいなあ……。


「将来、僕のお店に持ってきてくれたら

本物のケーキと交換してアゲルよ」

「ほんとに!?

でも、このケーキが勿体ないからいいや。

シハル先生ミツキ先生。ありがとう!」

「8歳の誕生日おめでとう。ケンイチ」

「シハル先生に追いつくように

すくすく育つんだよーっ」

「俺も、先生たちみたいに

でっかくなりたいな…!」

 

お祝いを披露しているうちに、

次の便が到着。

後部座席で3人並んで座っていると、

チビは僕に顔を向ける。

「シハル先生。

折り紙のケーキって、作るの難しい?」

「難易度も色々あるから、

お前でも作れると思うよ」

「俺にも、作り方教えてくれない?

プレゼントしたい人がいるんだ…!」

「いいよ。きょうはケンイチに

付きっきりで教えたげる!」

 

光希とは途中で別れて、

2人で『ひだまりハウス』に到着。

建物に入る直前で、チビを呼び止めた。

 

 

 

「あのさァ。お前にひと言

言っときたいんだけど…」

「ん?」

「ケンジくんが馬鹿にされたら

家族が悲しむって言ってたけど。

僕も光希も、お前が馬鹿にされるのは

すっごく嫌なんだからねっ!

自分が馬鹿にされたときも、

もっと怒らなきゃ駄目だよッ」

 

弟をショウガイシャ呼ばわりされて

キレたというわりに、こいつは

自分がそう呼ばれたときは

動じていなかった。

もしかして、こいつも

家族想いな兄ちゃんを頑張るうちに

自分を蔑ろにしているのかも…。

 

 

 

哀しいくらい健気なチビの姿に、

自分の大事な人の姿が重なって見えて。

お前が大事だという事を

伝えずにはいられなかったのだった。

 

「それに!お前が馬鹿にされたら

悲しむ人は、僕たちよりも

もっと近いところにいるかもよ?」

「――――悲しむ人が?」

「そうだよ!たとえば……」

チビの最も身近な人間の名前を

言おうとする直前、

チビの身体が宙に浮いた。

 

 

 

「ただいま!ケンイチ!!!」

「とっ。父さん!?」

いつも最後に迎えに来ている男が

我が子を抱き上げたのだった。

 

「お父さん!?

きょう早いんじゃナイですか??

ケンイチくん、いま小学校から来たばかり…」

「いやあ。8歳になったケンイチを

一刻も早く見たいと思っていたら

仕事がいつも以上に捗ったんですよー。

…ああ。会えないうちに

すっかり大きくなって…」

「とーさんっ!

抱っこは恥ずかしいからやめろよっ。

身体も、1週間前と変わってねえから」

「…ああ。ごめんごめん」

抱き上げて頬ずりする父親から

ようやく解放されたチビを、帰す前に、

所長のところへ連れて行き、経緯を説明。

所長を通して、

ショウガイシャという言葉は伏せて

父親に小学校の出来事を報告してもらった。

 

(学校にはナニも言わないよ。

“僕からは”。ね…)

忌々しいガキどもも

これで本当に手出ししなくなるはずだと、

目が笑っていない父親を

遠目で見て確信する。

 

 

 

「きょうは誕生日なのに、

大変だったねえ。」

「いいんだ。

父さんが、味方してくれたから…」

「あ。そうだったねえ…」

「あとさ、シハル先生。

あとで父さんに、好きなケーキを聞いて

こっそり俺に教えてくれない?」

 

 

(ああ。ケーキを

渡したい人ってもしかして…)

きっと学童での一件では、

暴れたチビが一方的に

悪者にされたんだと思う。

あの父親の溺愛ぶりは

胸やけしそうなくらい濃いけれど、

そのおかげでチビの心が

救われているのなら、それもまた

愛情のカタチなのかもしれない。

 

「オッケー。聞いとくよ。

作り方も、明日教えてアゲルね」

「うん!」

 

 

父親との会話に顔をほころばせる

チビを見送りながら。

残された記念の時間が

笑顔溢れるものになりますようにと、

心の中でそっと願った。

 

 

 

 

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人懐っこいもっちーは、

対ドクターホワイトのときと同様

所長先生ともすっかり打ち解け、

タメ語で喋っています( ̄▽ ̄)

そのコミュ力が羨ましいZE!

と思うにょへ子です(笑)

 

そんなもっちー、

『ひだまりハウス』のバイトを

続けるうちに、心に秘めた正義の心が

膨らんでいる気が☆

子どもなんて邪魔くさいとさえ

思っていそうだったのに、

利用者の子ども達の気持ちを考え

むきになる姿には、

自分の妄想なのに感動しました

(:∀;)

 

 

余談なのですが、イジメっ子達が

サイバンと言うのに対して

ケンちゃんが裁判と言うところで、

ケンちゃんの頭の良さを

演出してみた?つもりです(´艸`*)

 

 

それではお付き合いいただき、

ありがとうございました(^^)