物理ネコ教室19-1運動方程式総合演習 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 ニュートンの運動方程式の教授法は、本当に進化しましたね。

 昔の学生たちは、教授方法が確立していなかったので、混乱の中で教えられ、まともに運動方程式が立てられるようになるのは、受験生になってからとか、大学生になってから、なんてことが普通でした。

 

 今では「物体ごとに、受ける力を描き込んで、式を立てる」という、非常に単純でわかりやすいメソッドがあり、昔とは比べものにならないくらい、誰にでもたやすく運動方程式が立てられるようになりました。

 とはいえ、今でも、運動方程式を立てるとき、メソッドから外れた、魔法のような考え方でミスをする生徒はいます。それについては、今までの記事をご覧ください。

 

 さて、運動方程式の総合演習です。

 オンライン講座の補助ということで、従来アップしてこなかった演習問題も積極的にこのサイトにアップしています。(オンライン講座が終わったら、演習問題のアップは原則としてやめたいと思っています。あしからず)

 

 運動方程式をマスターするときには、余分なことを排除して、とにかく「物体ごとに、受ける力を描き込んで、式を立てる」という演習を重ねる必要があります。

 しかし、物体が加速運動すれば、当然、等加速度運動の式にしたがった動きをします。これらの内容はずいぶん前に学習したので、ひょっとすると記憶から消えてしまっている人もいるかもしれませんね。

 物理に限らず、自然科学は「積み重ね」を重視する学問ですから、昔のことを忘れてしまうと、たいへんです。忘れてしまったら、なんどでも学びなおしましょう。

 

 1は、運動方程式と等加速度運動をまとめた総合問題ですが、動滑車をいれたことで、運動自体が複雑になっている難問です。

 

 この装置の図を見て、同じ時間でAとBの運動が同じではないことがわかるでしょうか?

 ぼくの経験では、図をいくら見ても、AとBの運動の関係が理解できない人が、一定数います。

 Aが仮に10センチ上がれば、動滑車も10センチ上がります。

 動滑車が10センチ上がるためには、動滑車の左右のヒモが、それぞれ10センチ分、Bの方に引っ張られないといけません。

 でも、この発想がピンと来ない人がいるんです。

 そのタイプの人は、AとBの運動に違いがあることが理解できません。

 

 Aが10センチ上がる間に、Bは20センチ(つまり、10センチのヒモ2本分に当たります)下がるのですが、それが感覚的に理解できないのですね。

 

 動滑車が10センチ分上がるということは、その両側のヒモ10センチ分が、動滑車のそばからなくならないといけません。そして、そのなくなったヒモは、当然、定滑車の向こう側に引っ張られて移動しているはずです。

 

 では、のちほど、書き込みを見てください。

 

 

 こちらも総合問題です。まず、運動方程式を立てて物体の加速度を求め、次に等加速度運動の式を使って、その後の物体の運動を調べます。

 こちらも、書き込みを見た方が早いので、そちらを見てみましょうか。

 

 まず、1の問題から。

 

 

 1は、問題を解く前に、物体AとBの運動について、よく理解しておかなくてはいけません。

 動滑車がからんだことで、明らかに、物体Aの運動とBの運動は直接的な連動をしなくなっています。

 

 わかりやすくいうと、物体Aが10センチ動いたとき、Bは10センチ動いてはいない、ということですね。

 

 欄外の書き込みの通りなのですが、AもBも初速ゼロの等加速度運動をするので、Aの変位をxA、Bの変位をxBとし、Aの加速度をα、Bの加速度をβとすれば、xA=1/2αt^2、xB=1/2βt^2(^2は2乗の意味の記号)と表せます。さきほどの議論により、xB=2xAなので、これらの式から、β=2αとなります。

 

 この問題では、AとBの加速度が2倍違うということに気がつかないと、永久に問題が解けません。

 

 さて、この問題では、もうひとつ、ネックがあります。

 

 ヒモの張力を、すべて同じTにすることが出来ない人がいるんですね。

 あれほどなんども「同じ糸は同じ張力」と教えたのに、それを忘れ、違う張力じゃないかなと、違う記号で図に書き込んでしまいます。これも破綻しますので、気をつけてください。

 

 また、Aとその上の動滑車は、面倒くさいので一体化して考えていますが、バカ正直にこういう発想で考えることが出来ない人は、複雑な図を描かなくてはいけないので、気をつけましょう。

 動滑車とAは一体化して動いているので、まとめて考えて良いのです。こうすれば、Aと動滑車が受けている力の矢印はたった3本で済みますね。

 

 間違いやすいこの2つをクリアできたら、描きこみの図と同様な力の矢印が描けているはずです。確認してください。

 

 AとBは加速度が違うので、それぞれα、βを用いて式を立てます。

 しかし、先ほどの議論にあったように、β=2αになりますので、それを追加して、連立方程式を解きます。

 

 こうして、加速度αとβが求められれば、後半の等加速度運動については、昔の復習になります。描きこみを見て、自分の実力をチェックしてください。後半が出来なかった人は、昔の等加速度運動の復習が必要ですね。

 

 

 

 

 こちらも、運動方程式と等加速度運動をあわせた問題。

 

 加速度がマイナスになるケースにして、より複雑な問題にしてありますが、一つ一つの要素は単純なので、落ち着いて1つずつクリアしていけばいいのです。

 

 まだじゅうぶんになれていない三角比も登場します。

 がんばって、解いていきましょう。

 

 

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