思えば遠くへ来たもんだ〜船の操縦と うつの回復はそっくりだった〜
心の安全設計室代表 心の安全コンサルタントメンタルコーチ・産業カウンセラー安田伸也です。私は、海上保安庁に35年間在籍し、そのうち約20年間は巡視船の乗組員として勤務してきました。いわば、人生の大半を「船員」として海の上で過ごしてきた人間です。海上保安学校時代には大型船の航海士免状を取得し、一般の方も取得できる一級小型船舶操縦士の免許も持っていました。※今は現役を離れているため失効していますが(笑)船の世界では、「ペーパードライバー」は通用しません。免状を更新するためには、実際に船に乗り、経験を積み続ける必要があります。それだけ、船を操るという行為は、慎重さと継続が求められるものなのです。html,body{scroll-behavior:smooth;}📌 目次 船の操縦で最も大切なこと うつからの回復も、まったく同じ 大きく変わろうとすると不安定になる レジリエンスとは「ゆっくり戻ってこられる力」 心の安定は「階段」ではなく「スロープ」■ 船の操縦で最も大切なことは「大きく舵を切らないこと」初心者ほど、早く目的の針路に合わせようとして、大きく舵を切ってしまいます。すると船は蛇行し、揺れが激しくなり、かえって不安定になる。なぜかというと、舵を切ってから船が実際に反応するまでには、必ずタイムラグがあるからです。大型船が90度針路を変えるときでさえ、舵角はわずか7度程度。それ以上切ると、勢いがついて止まれなくなってしまうのです。■ うつからの回復も、まったく同じです私がこれまで出会ってきた、うつやメンタル不調に苦しむ方の多くは、こう思っているようです。・早く元気にならなければ・すぐに立ち直らなければ・こんな自分ではダメだこの「焦り」こそが、実は回復を妨げる原因になります。メンタルを整える方法、たとえば、私が提供しているメンタル・リセット・プログラムもそうですが、効果は一気に現れるものではありません。どちらかと言えば、漢方薬のようにジワジワ効いてきます。■ 大きく変わろうとすると、心はかえって不安定になる「早く変わりたい」「早く現場復帰したい」その気持ちは、とてもよく分かります。でも、メンタルにおいて大きく舵を切ることは、船と同じで危険です。・数回やって効果が出ないからやめる・すぐに結果が出ないと自分を責めるこうしたことを繰り返すと、「やっぱり自分はダメだ」という思考が強化され、逆に悪化することもあります。ヨガを始めた翌日に体が柔らかくならないのと同じで、心にも準備と時間が必要なのです。■ レジリエンスとは「ゆっくり戻ってこられる力」うつの再発を防ぐために必要なのは、「強くなること」でも「ポジティブになること」でもありません。落ち込んでも、少しずつ戻ってこられる力。それがレジリエンスです。メンタル・リセット・プログラムを習慣化した方々が、口をそろえておっしゃる言葉があります。「気がついたら、最近あまり落ち込まなくなっていました」これは、劇的な変化ではありません。でも、確実な回復のサインです。■ 心の安定は「階段」ではなく「スロープ」メンタルの回復は、目に見えません。昨日より今日、良くなった実感もないかもしれません。それでも、気づいたときには「ずいぶん遠くまで来ていた」と感じる瞬間が訪れます。階段を一段ずつ登るのではなく、ゆるやかなスロープを進んでいる感覚。そして振り返ったとき、こう思うのです。「思えば、遠くへ来たもんだな」この感覚が、うつからの本当の回復なのです。わたしはこう思います。うつは治すモノでは無く、忘れるモノ心を整え、笑顔で生きるためのヒントをメルマガでもお届けしています。🔗 関連記事 👉他人の事で思い悩むあなたへ 人生が楽になる「課題の分離」 👉失敗しても当たり前!? ミスから立ち直るレジリエンスの育て方筆者プロフィール|安田伸也心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント。元海上保安官・潜水士。海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備など、3,000件以上の事件・事故に関わる。一方、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間メンタル不調を繰り返す。現在は「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」を使命に、事故防止、ヒューマンエラー、心理的安全性、職場のコミュニケーション、メンタルヘルスなどをテーマに講演・研修を行っている。👉 詳細なプロフィールはこちら👉 講演実績等はこちら