事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

「相手に嫌われているかもしれない」
「このままうまくいかなかったらどうしよう」
「また失敗するかもしれない……」
不安なことがあると、頭の中でどんどん悪い方向へ考えてしまうことはありませんか?
そんなときに試してほしいのが、「事実」と「想像」を分けて考えることです。
誰かに悩みを話しただけなのに、気持ちが楽になった経験がある人もいるでしょう。
その理由のひとつは、話すことで頭の中が整理され、自分の置かれている状況を客観的に見られるようになるからです。
この記事では、考えすぎて不安になってしまったときに「事実」と「想像」を分けて、気持ちを立て直す方法についてお伝えします。
この記事の目次
なぜ考えすぎると不安が大きくなるのか?
人は悩んでいるときほど、実際に起きた「事実」と、そこから生まれた「自分の想像」を混同してしまうことがあります。
たとえば、3日ほど雨が続いたとしましょう。
この場合の事実は、
「3日ほど雨が続いている」
ただ、それだけです。
ところが同じ雨でも、
「雨ばかりで憂うつだな……」
と感じる人もいれば、
「今年の夏は雨が少なかったから、恵みの雨だ」
と感じる人もいます。
つまり、起きている出来事と、その出来事をどう受け取るかは別のものなんですよね。
そして、この違いに気づけるようになると、不安や悩みに振り回されにくくなります。
人間関係の悩みも「事実」と「想像」が混ざりやすい
これは人間関係でも同じです。
たとえば職場で、誰かに挨拶をしたのに返事がなかったとします。
このとき実際に起きた事実は、
「挨拶をしたけれど、返事がなかった」
ということだけです。
ところが、私たちはそこから、
「私のことを嫌っているのかな」
「無視された」
「何か悪いことをしたかな……」
と考えてしまうことがあります。
でも、これらは現時点では「事実」ではなく、事実をもとに自分が想像したことです。
もちろん、本当に無視された可能性もあるでしょう。
しかし、
「考え事をしていて気づかなかった」
「単純に声が聞こえなかった」
という可能性もあります。
相手に確認しない限り、本当の理由は分かりません。
それなのに、
「きっと嫌われている」
と決めつけてしまったら、まだ分からないことで自分自身を苦しめることになります。
考えすぎてつらいときは「事実」と「想像」を分ける
不安になったり、考えすぎてつらくなったりしたときは、
「どこまでが事実で、どこからが自分の想像なのか?」
と、一度分けて考えてみてください。
頭の中だけで考えるのが難しい場合は、紙やノートに書き出すのがおすすめです。
【事実】実際に起きたことを書く
まずは、誰が見ても確認できる「実際に起きたこと」だけを書きます。
たとえば、
「挨拶をしたけれど返事がなかった」
「仕事でミスをして上司から注意された」
「送ったメッセージにまだ返信がない」
などです。
ここでは、自分の感情や解釈をできるだけ入れないのがポイントです。
【想像】自分がどう解釈したのかを書く
次に、その出来事に対して自分が考えていることを書きます。
たとえば、
「嫌われているのかもしれない」
「仕事ができない人だと思われたかもしれない」
「怒っているから返信してくれないのかもしれない」
といったものです。
こうして「事実」と「想像」を目に見える形で分けると、
「自分は、まだ起きていないことまで心配していたんだ」
と気づくことがあります。
そして、もう一歩踏み込んで「他の可能性は無いのか?」と考えることです。
挨拶が返ってこない場合は、
前述のように
「考え事をしていて気がつかないかも」
ミスして注意されたのは、
「自分に期待しているから厳しく接したのかも」
メッセージが返ってこないのは、
「忙しくて返信できないのかもしれない」
などです。
「真剣に考える」と「深刻に考える」は違う
悩みがあるときに、考えること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、
真剣に考えても、必要以上に深刻に考えないこと。
問題を解決するために「これからどうしよう?」と考えることは大切です。
しかし、
「きっと悪いことが起こる」
「もう全部ダメだ」
と、まだ起きていない未来まで悪い方向に決めつけてしまうと、自分自身の心を疲れさせてしまいます。
だからこそ、
「今、実際に起きていることは何だろう?」
と自分に問いかけてみてください。
意識を「今ここ」に戻すきっかけになります。
私自身も「まだ起きていない未来」に苦しんでいた
私自身、過去に何をやってもうまくいかないと感じていた時期がありました。
その頃は、まだ起きてもいない未来を心配したり、過去の失敗を何度も思い出したりして、自分で自分を苦しめていました。
でも、
「今、実際に起きていることは何だろう?」
と考えるようになり、「事実」と「想像」を分けられるようになると、少しずつ「今ここ」に意識を戻せるようになりました。
そして、少しずつ前を向けるようになったのです。
気持ちを切り替えられない自分を責めなくていい
とはいえ、頭では、
「考えすぎても仕方ない」
「気持ちを切り替えよう」
と分かっていても、実際にはなかなか切り替えられないこともあります。
そんなときに大切なのは、「落ち込まないようにしよう」とすることではありません。
落ち込むこともある。
不安になることもある。
考えすぎてしまうことだってあります。
大切なのは、そこから少しずつ自分で自分の気持ちを立て直せるようになることです。
そのための方法のひとつが、「事実」と「想像」を分けることなのです。
まとめ|不安になったら「今、起きている事実」に戻ろう
考えすぎて不安になったときは、頭の中で「事実」と「想像」が混ざっていないか確認してみてください。
紙に、
【事実】実際に起きたことは何か?
【想像】そこから自分は何を想像しているのか?
と書き出すだけでも構いません。
そして、
「今、実際に起きていることは何だろう?」
と自分に問いかけてみる。
未来を心配しすぎている自分に気づいたら、もう一度「今ここ」に戻ればいいのです。
落ち込まない人になる必要はありません。
落ち込んだとき、不安になったときに、自分で自分を立て直せる人になる。
そのための小さな習慣として、ぜひ「事実」と「想像を分ける」を試してみてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、考えすぎて不安になったときに「今、実際に起きていること」に目を向け、自分の気持ちを少しずつ立て直していく切っ掛けになれば嬉しく思います。
筆者プロフィール|安田伸也
心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント。元海上保安官・潜水士。
海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備、密漁船や密輸船への対応など、3,000件以上の事件・事故に関わる。
一方、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間、うつやパニック障害などのメンタル不調を繰り返す。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は心の安全コンサルタントとして、事故防止、心理的安全性、職場のコミュニケーション、メンタルヘルス、傾聴などをテーマに企業の安全大会や研修で講演。
「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動しています。
