日本にもいくつかの大学を一括りにしたグループが存在するようにイギリスにもよく使われるいくつかの大学グループがあります。最もよく耳にするのはラッセルグループ(Russell Group)で、24の研究型上位大学が集まった大学グループです。その他では、古代の大学(Ancient university)、ロンドン大学連合(University of London)、赤レンガ大学(Red brick university)、1994グループ、サットン13は割とよく使われます。特にラッセルグループ、サットン13、赤レンガ大学、(特にスコットランド内で)古代の大学は一流大学の象徴としてしばしば使われています。

ただしそれぞれの大学グループが実際にどの程度の難易度、選抜度合(人口に対して上位何%か)なのかがはっきりしなかったので実際に調べて表にまとめてみました。(学生数のデータはイギリスはHESAの2011~2012年度の提供データ(参照元)、日本は弘前大学の公開データ(参照元)及び各大学のホームページを参照しています。イギリスの大学の偏差値はUCASの最新データを偏差値に換算した値です。社会人学生と通信制は除いています。)


イギリスの大学徹底分析-学部入学難易度と大学グループの関係
表1:イギリスの学部入学難易度と大学グループの関係



イギリスの大学徹底分析-日英の大学グループ学部選抜度/人口比率の比較
表2:日英の大学グループ学部選抜度/人口比率の比較



1. ラッセルグループ

ラッセルグループはイギリスで最も有名な大学グループ名です。最近のアンケートではイギリスの大学生の50%が認知しており、そのうち72%がラッセルグループを名門・難関大学/一流大学として認識しているという調査結果が出ています(参照元)。構成大学数は24校に過ぎないですがイギリスの全大学研究費予算の80%以上がこれらの大学に投入されています(参照元)。研究に重点を起き、学力上位層を集めているという意味で日本の国公立大学やアメリカのアメリカ大学協会に似ています。

実際に表1を見ての通り、イギリスの難関大学の大半を網羅しています。難易度はケンブリッジ大学の偏差値81からクイーンズ大学ベルファストの偏差値54までで平均偏差値は64.7、大半の構成大学が偏差値に換算して60以上の高い難易度になっています。学部学生数の人口比率で見ますと11.9%で、日本の国公立大学の人口比率11.5%とほぼ同じですが、選抜水準は人口比上位16.4%で日本の国公立大学(人口比大よそ上位20%)に比べるとやや高くなっています。特にクイーンズ大学ベルファスト以外の構成大学は日本の中堅国公立大学と同水準以上の相対難易度・選抜度(偏差値で58以上、人口比で選抜上位13.3%)となっています。

ただし、ラッセルグループが難関・名門大学の全てではなく、最新のUCAS入学難易度のデータではラッセルグループと同水準の難易度の大学はセントアンドルーズ大学バース大学を筆頭に18校存在しています。


2. 古代の大学

ラッセルグループほどよく使われませんが、古代の大学も一流大学としてしばしば認識されています。古代の大学はイギリスとアイルランドに存在する英語圏で最も古い7大学で、イギリスには6校存在しています。特にスコットランドは古代の大学のうち4校が存在している事もあり認知度は高くなります。

実際に選抜度を見てみるとラッセルグループよりさらに高く、平均偏差値は70、最高はケンブリッジ大学の偏差値81で最低でもアバディーン大学の偏差値61となっています。人口比率で見てみますと2.1%と学生シェアは少なく、日本の旧帝大(1.7%)に似ています。ただし選抜水準は人口比上位8.2%と人口比上位3.7%の旧帝大と比べると低めです。


3. サットン13

かなりマニアックな用語ですがイギリスの大学受験用語として日本の進学校にあたるシックスフォームカレッジが大学進学実績を語る際にしばしば使う大学グループです。またマスメディアが進学校の大学進学実績を比較する際にもよく使用されます(参照元)。元々はサットン・トラストという教育関係のチャリティグループが1999年に当時のランキング上位13大学を選んでグループ化したものです。そのため最難関大学の網羅率が高いのが特徴です。

グループの構成大学の難易度はケンブリッジ大学の偏差値81からノッティンガム大学の偏差値60までとなっており、特徴的なのは偏差値66以上の最難関10大学がグループに全て含まれています(平均難易度は69.1)。学生シェアは人口比で5.2%、選抜水準は人口比上位11%です。ノッティンガム大学、ヨーク大学バーミンガム大学の三大学は近年の人気が停滞しているためグループの選抜水準が下がっていますが、過去8年を平均した選抜水準で見れば人口比で上位8.5%と、日本で似た意味合いでしばしば使われる受験用語の難関国公立大や早慶上理(選抜度は人口比大よそ上位7%)に近い水準と見なせます。

なお2008年のデータでは国内トップ5の進学校で83%、トップ30の進学校で71%、トップ100の進学校で58%、トップ200の進学校で49%、その他の進学校で10%の学生がサットン13のいずれかの大学に進学するという結果になっています(参照元)。


4. 赤レンガ大学

赤レンガ大学(レッドブリックス)という用語もしばしば一流大学を指す言葉として使われます。赤レンガ大学は19世紀後半から20世紀初頭に設立されたレンガ造りの建物を基調とした6大学の俗称で全てラッセルグループに属しています。一般的にはオックスブリッジ、ロンドンの上位大学に次ぐ水準の大学を象徴する大学群として使われる事が多いです。

難易度はブリストル大学の偏差値66からリバプール大学の偏差値58までで平均すると61.2となります。大規模大学が多い事もあり学生シェアは人口の4.0%と大きく、人口に対する選抜度は上位13.3%で、日本で明青立法中や関関同立と括られる上位私立大学群(学生シェア4.6%、人口比大よそ上位15%)に似ていますが、赤レンガ大学の場合は難易度帯の幅や名声にかなり大きなばらつきがあります。


5. ロンドン大学

ロンドン大学はパリ大学やカリフォルニア大学に似た運営の18の大学が集まった大学連合です。各構成大学はそれぞれ独自に入試と学位発行を行っています。全般的には高い評価を受けていますが難易度は最難関大学から中堅大学まで様々で、また単科大学や大学院大学など特殊な大学が多いのが特徴です。

難易度はロンドンスクール・オブ・エコノミクスの偏差値73から王立音楽アカデミーとヘイスロップカレッジの偏差値48まで様々です(平均難易度は58.3)。日本で似たタイプの大学連合を探すのは難しいですが強いて言えば大学コンソーシアム京都が少し似ています。


6. 1994グループ

ラッセルグループが設立された当初、非研究型大学、中小規模大学が対抗して作った大学グループです。一時期はラッセルグループと並ぶ上位大学グループとして認識されていましたが、2012年~2013年に8つの主要大学が相次いで脱退し(一部ラッセルグループが吸収)、現在は活動が大きく停滞しています。

難易度はランカスター大学の偏差値60からエセックス大学の偏差値48まで様々です(平均難易度は55.7)。選抜水準では人口に対して上位22.9%で日本の中堅~下位国公立大学/上位~中堅私立大学に該当すると見なせます。


補足 : アメリカの大学連合と比べたラッセルグループ

ラッセルグループは今はあまり言われなくなりましたが、割と最近まで英国版アイビーリーグとしばしば称されてきました。実態はどうなのか、アメリカのアイビーリーグを含めた大学グループの選抜度を2012年のSATの75percentileランキング順で米国人の学部学生数を調べて学部選抜度を比較してみました。(大学のSATのデータはSTATEUNIVERSITY.comの2012年版SATトップ500ランキングを利用しました。学生数や留学生の割合などのデータはForbesとCappexなどを中心に調べてあります。生データはこのページの最後に載せてあります。)

イギリスの大学徹底分析-米英の大学グループ学部選抜度/人口比率の比較
表3:イギリスの学部入学難易度と大学グループの関係(アメリカとの比較)


まず、表のデータを見ての通り、学部選抜において、ラッセルグループとアメリカのアイビーリーグとの比較はかなりの無理があります。ラッセルグループの学力の選抜水準は人口の上位16.3%ですが、アイビーリーグは人口上位1%です。ラッセルグループの加盟大学でアイビーリーグに似た水準の選抜度を保っている大学はケンブリッジ、オックスフォード、インペリアルカレッジ、LSEの4校のみになります。

ただし、一方で公立大学版アイビーリーグのパブリックアイビーの学力選抜度(人口上位15.4%)と比較するとほとんど同水準と言えます。またアメリカ大学協会の学力選抜度(人口上位17.5%)と比較してもほとんど同水準となります。上で書きました通り、研究型上位大学の大学連合の特徴を考えますとラッセルグループは学力選抜度と研究型大学の集まりという二つの意味で英国版のアメリカ大学協会と見なせると言えます。



イギリスの大学徹底分析-アメリカの上位365大学の学部選抜度
表4:アメリカの大学の学部選抜度 (紫=IVY 緑=Public IVY 橙=その他非LAC)



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バース大学キングス・カレッジ・ロンドン (KCL)ヨーク大学ノッティンガム大学マンチェスター大学
バーミンガム大学シェフィールド大学サウサンプトン大学グラスゴー大学エクセター大学
東洋アフリカ研究学院 (SOAS)カーディフ大学クイーンズ大学ベルファストロンドンビジネススクール (LBS)クランフィールド大学
先月、イギリスの今年秋入学者の大学入試結果(学部)がでたようです。データの分析をしていきましょう。


1.今年の入学難易度と変化

インディペンデント紙などの新聞社で2014年度のイギリスの各大学の学部入学予定者のUCASの成績が公開されています。(参照元)

これを以前のデータで計算したように偏差値のスコアに計算しなおしたのが下表となります。



イギリスの大学徹底分析-2014年度入学者のイギリスの大学の偏差値
2014年度入学者のイギリスの大学の偏差値


学部授業料の大幅な値上げから1年がたち、若干傾向が変化しました。昨年に比べ大学入学出願者数が3.5%上昇と状況が改善しています(参照元)。カテゴリー毎に見ると、英国人が2.8%増、留学生(EU)が4.9%増、留学生(非EU)が9.6%なっており、出願者増加は特に外国人が中心となり牽引しています。

具体的にどのように変化したかを大学をいくつかのグループに分類して調べてみました。この表が以下の表、グラフとなります。

$イギリスの大学徹底分析-2014年度入学者のトレンドの変化
2014年度入学者のトレンドの変化


イギリスの大学徹底分析-2014年度を含めた中長期のトレンド変化

2014年度を含めた中長期のトレンド変化


1-1. 古代の大学

古代の大学は若干伸び悩んだ大学はあるものの、前年に引き続き人気が上がりました。偏差値に換算して平均で1.1の入学難易度の上昇が見られています。特にアバディーン大学は偏差値が昨年比で4近い上昇、一昨年比で10近い上昇をし、2年前と比べると全く別のレベルの大学に変貌しました。近年長い停滞を続けていたエジンバラ大学は偏差値にして66に達し、復活傾向にあります。セントアンドルーズ大学は唯一偏差値が若干下がりましたが、前年に引き続き偏差値70以上をキープし、近年最高水準の難易度を保っています。

1-2. ロンドンの主要大学

ロンドンの主要大学は多くが昨年の停滞傾向に歯止めがかかり、いくつかの大学は人気が回復しました。インペリアル・カレッジ・ロンドンは若干伸びが頭打ちしつつも前年に到達した高い難易度を維持し、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス (LSE)は前年の停滞から回復、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL)はここ10年間で最高の難易度に到達しました。ロンドンのTop3校はオックスブリッジに次ぐ人気を確立しています。一方、キングス・カレッジ・ロンドン (KCL)は2年連続で人気が下落、東洋アフリカ研究学院(SOAS)も人気下落が下げ止まったものの、昨年の大幅な落ち込みから回復せず、人気の停滞状況が続いています。

1-3. イングランドの主要大学(グループA)

オックスブリッジ、ロンドンを除いたイングランド主要大学のうち最上位の4大学の傾向を見ると、昨年の停滞からほぼ下げ止まりました。昨年大幅な易化をしたバース大学は偏差値にして1.5に及ぶ大きな回復をしました。まだ昨年のショックから回復しきれてはいないものの、この4大学は相対的に強いブランド力があり、人気の高さが伺えます。

1-4. イングランドの主要大学(グループB)

上記以外のイングランドの7つの主要大学を見ると人気が回復した、または維持した大学と人気がさらに下落した大学の二つに分かれた形になりました。エクセター大学はここ3年間、一貫した高い人気を保っています。このグループの中では唯一授業料値上げの影響を全く受けていない大学です。これはパブリックスクール(私立高校)出身の富裕層にオックスブリッジの併願校として人気が高く、実際富裕層の学生が多い事が関係していると推測されます。またマンチェスター大学は昨年の大幅な暴落から回復し、授業料値上げ前よりむしろ若干難易度が上がりました。その他は難易度低下が下げ止まったバーミンガム大学を除くと昨年に引き続き下落傾向が続いています。サウサンプトン大学シェフィールド大学が今年は大きく人気を落としています。このグループでは授業料値上げによって減少した学生のパイの奪い合いが起きている事が伺えます。

1-5. スコットランドの主要大学

スコットランドの主要6大学は昨年に引き続き、全般的に人気が上昇しました。昨年に続き、アバディーン大学は二年連続で大きな上昇をしました。カテゴリ別で見ると最も大きな難易度上昇を見せています。これは後述しますがスコットランド人とEUからの留学生に対する実質的な授業料無料の恩恵が大きく影響しています。

1-6. ウェールズの大学

ウェールズの主要2大学はカーディフ大学は若干人気が下がり、スワンジー大学は若干人気が上がるという状況でした。全体的にはやや人気が落ち込んでいますが、事実ウェールズの大学出願者数は前年比2%減という状況です(参照元)。

1-7. 北アイルランドの大学

北アイルランドのクイーンズ大学ベルファストは前年に比べると偏差値が1.2下がり、人気が低下しました。


2.傾向の変動の原因

今年の傾向の原因を簡単にですが追ってみます。

2-1.富裕層の牽引する人気大学

英国人学生は富裕層の好みの影響が大きいです。元々富裕層に人気がある大学は人気を維持または上昇、一方庶民が多い大学は人気が低迷する傾向が見られます。この層の学生は高額の授業料の支払い能力があるためです。

2-2.不況によるますます強まる理高文低の出願傾向

ガーディアン社の記事に前年に比べた今年の出願者の傾向が書かれています(参照元)。分野別の人気を見てみますと、前年に比べて10%の出願増加をしたコンピュータサイエンスを筆頭に、工学、農学、生物学など出願増加をした分野は理系が独占しています。一方文系は法学が5.3%の伸び、経営学が3.2%の伸びを示し、実学系専攻が健闘していますが、全般的に停滞しています。出願が最も減少したのが非欧州の語学系専攻で6.7%の減少となり次いで欧州語の6.1%減、その他、文理混合専攻、教育学、芸術、建築学などが続きます。不況の影響で就職に強い理系や実学に人気が集まっているのが顕著な結果になっています。当然ながら理系の規模が大きい大学は結果として人気が集まり、文系の規模が大きい大学は結果として人気が低下するという傾向が見られます。理系の大学のインペリアル・カレッジ・ロンドンの高い人気や理系規模が大きいマンチェスター大学の大幅な難易度上昇、語学専攻や比較文化が中心の文系大学のSOASの人気低迷はこの影響が大きいと見られます。

2-3.留学生の牽引する人気大学

上述した通り、留学生の存在感が増しています。2013年の出願では留学生の学部の出願数は83311人(7.4%増)となり、ついに8万人を突破しました。エリア毎の出願者数は以下のようになっています。


地域別英国大学学部出願者数2013年(参照元)
地域名人数前年比増減
アフリカ3,861人8.8%増
アメリカ5,691人8.2%増
豪州596人12%増
欧州連合(除アイルランド)32,539人5.7%増
アイルランド5,452人0.3%増
欧州(除欧州連合)4,178人18.1%増
極東アジア(除香港、マレーシア)18,977人8.3%増
香港5,046人1%増
マレーシア3,233人24.8%増
中東3,674人11.4%増
その他地域64人22%減
総計83,311人7.4%増


これらの留学生の動向は大きく分けて二つの影響として現れます。まず、ここ2年間のスコットランドの大学の人気上昇に寄与しています。スコットランドの大学は前述の通り、英国人には9000ポンドの高額な授業料を毎年要求する一方、スコットランド人に対しては学費が無料となっています。EU法の影響でこの無料制度はEUからの留学生にも適応されます。毎年4万人近いEUからの留学生の人気をかなりの程度集められるのは大きなアドバンテージとなっています。ただしスコットランドは現在イギリスから独立すべきかどうかで揺れており、来年の住民投票の結果次第で独立します。その後の授業料の動向は、今のところ有料化する方向で検討されており、スコットランドの大学の高い人気が今後も続くかどうかは、有料化されるかどうか、その際どの程度の学費になるのかというその後の状況次第です(参照元)。いずれにせよ少なくとも同様の状況が続く今後2年程度はスコットランドの大学の難化傾向は継続すると思われます。

二つ目は大学の世界ランキングや世界的な名声の影響です。英国人は国内での名声やランキングを基準に大学を選びますが、留学生は世界的に(特に出身国内で)名が通っている事を考慮します。そうなりますと世界ランキングが高い大学や、世界的な名声が高い大学に留学生の人気が集まります。特に留学生が多い大学ほどこの傾向は顕著になります。例えばユニバーシティカレッジロンドン、エジンバラ大学、マンチェスター大学は国内での名声に比べて相対的に世界ランキングが高く、留学生からの人気が難易度の上昇にある程度寄与している事は考えられます。

ただし、世界的な名声はあまり高くは無いものの国内の名声は非常に高いセントアンドルーズ大学、ウォーリック大学は留学生の割合が多いですが高いレベルを維持している事や世界的な名声が高いキングスカレッジロンドンの人気が低迷していますので世界ランキングの影響は副次的といえます。

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バース大学キングス・カレッジ・ロンドン (KCL)ヨーク大学ノッティンガム大学マンチェスター大学
バーミンガム大学シェフィールド大学サウサンプトン大学グラスゴー大学エクセター大学
東洋アフリカ研究学院 (SOAS)カーディフ大学クイーンズ大学ベルファストロンドンビジネススクール (LBS)クランフィールド大学
様々なイギリスの大学の紹介を行ってきましたがこの記事をもって大学の紹介に関しては一旦終わりにします。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。

この記事ではクイーンズ大学ベルファストをとりあげます。


クイーンズ大学ベルファスト (Queen's University Belfast)


イギリスの大学徹底分析-Belfast大学 (撮影者Fasach Nua/Wikipediaより)
(撮影者Fasach Nua/Wikipediaより)

イギリスの大学徹底分析-Queen's Belfast大学の入学難易度/大学の特徴
グラフで見たQueen's大学 Belfastの主な特徴


クイーンズ大学ベルファストのサマリーデータ
大学名Queen's University Belfast
主要な所属大学連合ラッセルグループ
創立1849年
立地Belfast市 (Londonから飛行機で約1時間半)
学生数(正規のみ)学部20121学年 平均4,588人 /全学年  13,765人
大学院20122,835人
学生の割合(学部)英国人201295.0%
欧州留学生20122.0%
他留学生20123.1%
学生の割合(大学院)英国人201277.4%
欧州留学生201212.6%
他留学生201210.1%
学部学生の出身高校 (2009)(私立高卒) 0.6% : 99.4% (公立高卒)
男女比 (2013)(男) 59% : 41% (女)
人種の多様性 (2008)非白人学生率 1.5%
学部入学難易度 (2013)41位UCAS 384 / 換算偏差値 54
学部入学難易度 (過去8年平均)34位平均偏差値 56
同世代人口比で見た選抜水準(学部)(2013) 上位16.4%  (過去8年の平均) 上位13.9%
卒業難易度標準的学部最終卒業率 85.6% 学部成績優等率 63.9%
教員一人当たり学生数 (2013)31位15.6人
学生一人当たり教育支援支出 (2013)39位£1,159 (約17万円)
学生一人当たり施設支出 (2013)11位£660 (約10万円)
研究力 (2008)36位RAE 2.56 / 換算偏差値 57
研究費予算配分 (2011 / 人件費込)23位£63,069,000 (約95億円)
ノーベル賞23位1人(OB 1人  教員 0人)
就職/進学率 (2012)32位72.7%
卒業生の初任給平均 (2009)(31位以降) N/A
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012)(国内15位以降、世界151位以降) N/A
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013)(国内43位以降、世界501位以降) N/A
時価総額世界上位500社のCEO輩出力
(2011)
16位世界229位
日本の大学ライバル校総合選抜度下位国公立大及び中堅上位私立大
平均研究力分野別順位平均: 理系:不明  文系:不明
教員当たり平均研究実績: 筑波大学
採用評価不明
米国の大学ライバル校総合選抜度全米総合大学選抜度上位130位~160位水準
平均研究力分野別順位平均: 不明
教員当たり平均研究実績: Georgetown University
採用評価不明
国内大学ランキングIndependent社(2014) 29位  (過去7年の平均) 31位
Guardian社(2014) 49位  (過去7年の平均) 45位
世界大学ランキングTimes社2014251-275位
QS社2013172位
上海交通大2013301-400位
Times名声調査世界ランキング2013N/A


主要専攻の学部入学難易度と研究力2014 (UCAS/RAEスコアの偏差値での換算値)
学問分野全平均法律政治経済経営会計心理哲学歴史古典英文芸術言語教育
難易度(学部)546155545058545353--55------
研究力576353--59--475861--66------
学問分野数学物理化学生物電子機械材料土木情報建築医学歯学薬学
難易度(学部)575751555356--515156706560
研究力545654476162--6759--555959


研究力及び研究者育成力の世界順位 (上位200位まで/2013年版ARWUより)
学問分野社会科学自然科学工学生命科学医学&薬学
経済学&経営学数学物理学化学情報工学
順位--------------------


クイーンズ大学ベルファストは創立163年の北アイルランドの大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。

特徴を箇条書きにしますと次のようになります。

(1) 立地・大学の雰囲気
北アイルランド首都のベルファスト市に位置しています。ロンドンからの距離を考えると立地的にはあまり良い方ではありません。大学構内の雰囲気や大学のシステムは緑に囲まれたキャンパスと伝統的な建物で構成されています。州立高校卒業生比率が99.6%と非常に高く、庶民的な家庭の学生で構成される大学です。

(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は15.6人で同難易度帯の大学の中では良好な教育環境です。学部・大学院を合わせて学生数は約23,000人でイギリスの上位大学の中ではやや大規模な大学です。在学生の男女比は59:41と男子学生がやや多めとなっています(参照元)。

(3) 入学難易度
学部入学難易度は、2013年度のUCASの入学者平均スコアから計算した偏差値は54でイギリスで41番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位13.9%の学生が集まっています。法学と医歯薬系の人気が高く難易度が高くなっています。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。

(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して85.6%、学部生の成績優等率は平均して63.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。

(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は1人で英国で23番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にペンシルバニア州立大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは29番目となっています。RAEで見ました大学の総合研究力は偏差値に換算した数値で59でイギリスでは36番目です。研究水準では歯学、薬学、土木工学に強く、英国でそれぞれ9番目、10番目、11番目の研究力です。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で23番目に多い6307万ポンド(約95億円)を獲得しています(参照元)。

(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国31位以下となっています。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は6.6%です(参照元)。

(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度では、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと下位国公立大及び中堅上位私立大学です。研究力及び研究者育成力で同水準の大学はARWUの分野別で100位以内にランクインしていないため不明です。ただし、研究総量で見た場合ではARWUのランキングで301-400位である事から神戸大や広島大、早稲田大などが近いレベルと見て取れます。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで筑波大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からアリゾナ州立大学などの全米総合大で選抜度上位130~160位水準です。一方、研究力及び研究者育成力は上と同様に理由で不明です。ただし、研究総量で見た場合だとARWUのランキングで同じく301-400位であるジョージタウン大学などが近いレベルと見て取れます。また教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと16.3ポイントで同じくジョージタウン大学がほぼ同水準です。企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で世界150位以内にランクインしていないため不明です。

(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内31位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内45位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)

(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで251-275位、QS社のランキングで172位、ARWUのランキングで301-400位となっています。

(11) 著名なOB
著名なOBはアイルランドの前首相のメアリーマッカリース、ノーベル文学賞受賞の作家のシェイマス・ヒーニーなどです。

(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が1.5%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事からマイノリティの学生が非常に少ない大学です。2011~2012年のデータでは全体の学生の9%が留学生です。

総合的に見ますと北アイルランドでトップ、英国で34~40番の大学だと思います。


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