大学関連のデータの集計に一区切りがつきましたのでしばらくイギリスの大学の紹介を行っていきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はバーミンガム大学をとりあげます。
バーミンガム大学 (University of Birmingham)
(撮影者GavinWarrins/Wikipediaより)
グラフで見たBirmingham大学の主な特徴
バーミンガム大学は1825年創立されたバーミンガムメディカルスクールにルーツをもつ創立186年の大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるバーミンガム市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的には比較的恵まれたな場所に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは広いキャンパスと赤いレンガで統一された伝統的な建物で構成されています。イギリスで最も美しいキャンパスを持つ大学の一つと言われています(参照元)。州立高校卒業生比率が80.1%と庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.8人でこのランクの大学の中では平均的です。学部・大学院を合わせて学生数は約26,000人とかなり大規模です。在学生の男女比は44:56と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで20番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位8.5%の学生が集まっています。理系の人気が高く、特に物理学、歯学、医学は難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ8.3倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して94%、学部生の成績優等率は平均して72.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は8人でイギリスの大学の中では10位です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは24番目です。心理学と材料工学に強く、それぞれ英国4位と6位の研究水準となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で12番目に多い1億154万ポンド(約152億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国25位となっています。立地が理由で就職はやや不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.4%です(参照元)。一方、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国8位、世界60位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと中堅上位国公立大及び立教大、同志社大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は名古屋大学、文系は全ての大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで大阪大学や東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界60位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からマイアミ大(オハイオ州)などの全米総合大で選抜度上位65~100位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学などが近いレベルと見て取れます。教員一人あたりの平均研究実績ではARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョンズホプキンス大学(全米17位/世界59位)とノースウェスタン大学(全米18位/世界67位)の間という結果(世界60位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内23位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内21位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで153位、QS社のランキングで62位、ARWUのランキングで101-150位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル化学賞受賞のフランシス・アストンやイギリス元首相のネヴィル・チェンバレン、イギリス元首相のスタンリー・ボールドウィンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が19.7%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から平均よりややマイノリティが多い大学です。特にパキスタン系英国人が最も多い大学となっています(参照元)。2011~2012年のデータでは全体の学生の21%が留学生です。
総合的に見ますと英国で16~24番目の大学と言ってよいと思います。
今回はバーミンガム大学をとりあげます。
バーミンガム大学 (University of Birmingham)
(撮影者GavinWarrins/Wikipediaより)
グラフで見たBirmingham大学の主な特徴
大学名 | University of Birmingham | ||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | ||
創立 | 1825年 | ||
立地 | Birmingham市 (Londonから電車で約1時間半) | ||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均5,951人 /全学年 17,855人 |
大学院 | 2012 | 7,095人 | |
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 89.4% |
欧州留学生 | 2012 | 3.2% | |
他留学生 | 2012 | 7.4% | |
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 61.3% |
欧州留学生 | 2012 | 5.8% | |
他留学生 | 2012 | 32.9% | |
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 18.9% : 80.1% (公立高卒) | ||
男女比 (2013) | (男) 44% : 56% (女) | ||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 19.7% | ||
学部入学難易度 (2013) | 18位 | UCAS 443 / 換算偏差値 61 | |
学部入学難易度 (過去8年平均) | 19位 | 平均偏差値 61 | |
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位8.2% (過去8年の平均) 上位8.5% | ||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 94.0% 学部成績優等率 72.9% | |
教員一人当たり学生数 (2013) | 24位 | 14.8人 | |
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 10位 | £1,570 (約24万円) | |
学生一人当たり施設支出 (2013) | 30位 | £490 (約7万円) | |
研究力 (2008) | 24位 | RAE 2.64 / 換算偏差値 59 | |
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 12位 | £101,540,000 (約152億円) | |
ノーベル賞 | 10位 | 8人 (OB 5人 教員 4人) | |
就職/進学率 (2012) | 14位 | 79.1% | |
卒業生の初任給平均 (2009) | 25位 | £20,845 (約313万円) | |
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | 8位 | 世界60位 | |
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 17位 | 世界215位 | |
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 (2011) | 輩出無し | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 中堅上位国公立大及び立教大学、同志社大学など | |
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:名古屋大 文系:該当無し 教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学 | ||
採用評価 | 京都大学~早稲田大学 | ||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位65位~100位水準 | |
平均研究力 | 分野別順位平均: University of Notre Dame 教員当たり平均研究実績: Boston University | ||
採用評価 | 全米総合大学採用評価上位17位~18位水準 | ||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 17位 (過去7年の平均) 23位 | |
Guardian社 | (2014) 15位 (過去7年の平均) 21位 | ||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 153位 |
QS社 | 2013 | 62位 | |
上海交通大 | 2013 | 101-150位 | |
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 61 | 65 | 58 | 64 | 59 | 56 | 63 | 58 | 60 | 57 | 61 | -- | -- | 51 |
研究力 | 59 | 59 | 52 | 62 | 59 | -- | 70 | 52 | 61 | 59 | 64 | -- | -- | 52 |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 66 | 72 | 57 | 61 | 56 | 64 | 55 | 59 | 58 | -- | 73 | 66 | -- | |
研究力 | 54 | 61 | 59 | 54 | 56 | 63 | 66 | 61 | 68 | -- | 59 | 58 | -- |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | 101-150位 | 151-200位 | 151-200位 | -- | 101-150位 | -- | -- | -- | 51-75位 | 101-150位 |
バーミンガム大学は1825年創立されたバーミンガムメディカルスクールにルーツをもつ創立186年の大学です。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
特徴を箇条書きにしますと次のようになります。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で1時間半ほどの距離にあるバーミンガム市に位置しています。ロンドン外に位置する大学の中では立地的には比較的恵まれたな場所に位置しています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは広いキャンパスと赤いレンガで統一された伝統的な建物で構成されています。イギリスで最も美しいキャンパスを持つ大学の一つと言われています(参照元)。州立高校卒業生比率が80.1%と庶民的な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.8人でこのランクの大学の中では平均的です。学部・大学院を合わせて学生数は約26,000人とかなり大規模です。在学生の男女比は44:56と女子学生が若干多めになっています(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は62でイギリスで20番目です。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位8.5%の学生が集まっています。理系の人気が高く、特に物理学、歯学、医学は難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ8.3倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して94%、学部生の成績優等率は平均して72.9%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者数は8人でイギリスの大学の中では10位です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは24番目です。心理学と材料工学に強く、それぞれ英国4位と6位の研究水準となっています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で12番目に多い1億154万ポンド(約152億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国25位となっています。立地が理由で就職はやや不利になっているようです。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は9.4%です(参照元)。一方、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国8位、世界60位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと中堅上位国公立大及び立教大、同志社大などです。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系は名古屋大学、文系は全ての大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントで大阪大学や東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界60位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からマイアミ大(オハイオ州)などの全米総合大で選抜度上位65~100位水準です。一方、研究力及び研究者育成力はノートルダム大学などが近いレベルと見て取れます。教員一人あたりの平均研究実績ではARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと21.0ポイントでボストン大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョンズホプキンス大学(全米17位/世界59位)とノースウェスタン大学(全米18位/世界67位)の間という結果(世界60位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内23位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内21位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで153位、QS社のランキングで62位、ARWUのランキングで101-150位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル化学賞受賞のフランシス・アストンやイギリス元首相のネヴィル・チェンバレン、イギリス元首相のスタンリー・ボールドウィンなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が19.7%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から平均よりややマイノリティが多い大学です。特にパキスタン系英国人が最も多い大学となっています(参照元)。2011~2012年のデータでは全体の学生の21%が留学生です。
総合的に見ますと英国で16~24番目の大学と言ってよいと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |