上位12大学の紹介が終わったのですが、あと何校か紹介した方が良いだろうと思う重要な大学が残っていますので紹介していきます。大学の一般的な情報はWikipediaなどの繰り返しになりますので、今までこのブログで紹介してきましたデータを中心に書きます。それぞれのデータの根拠はページの最後の方の一覧に載せました過去の記事を参考にしてください。
今回はノッティンガム大学をとりあげます。
ノッティンガム大学 (University of Nottingham, Nottingham)
(撮影者Barry Mangham/Wikipediaより)
グラフで見たNottingham大学の主な特徴
ノッティンガム大学は創立130年の大学です。もともとはロンドン大学のカレッジとして設立されましたが1948年に独立しました。特徴を箇条書きにしますと次のようになります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるノッティンガム市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは郊外の広いキャンパスに近代・現代的な建物が分散しています。州立高校卒業生比率が69.3%と低く裕福な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.0人でこのランクの大学としては平均的です。学生数は学部・大学院を合わせて3万人以上でイギリス屈指の大規模大学です。在学生の男女比は51:49とほぼ男女半々です(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は60でイギリスで21番目です。ここ数年間は以前と比べると全体的に他大学と比べた相対的な難易度は低迷しています。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位4.9%の学生が集まっています。法学、建築、薬学、医学が特に人気が高く難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.4%、学部生の成績優等率は平均して74.5%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は3人で18番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にジョージワシントン大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは21番目となっています。ARWUのデータで見ますと医学の研究力が英国6位、世界30位、生命科学、社会科学の研究力が世界51-75位と高い水準となっています。一方RAEのデータでは化学と薬学、物理学が強く、それぞれ英国2位、2位、4位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で14番目に多い1億30万ポンド(約150億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国22位で難易度に対してやや悪いです。これは立地の不利さが理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は6.8%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で2位、世界全体で13位と大変良い結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国9位、世界70位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大及び上智大、理科大あたりですが、ここ数年は人気が低迷しており1ランク下の選抜度になっています。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系では東北大学ですが、文系では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.5ポイントで大阪大学や東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からロチェスター大学などの全米総合大で選抜度上位40~55位水準ですが、ここ数年は人気が低迷しており1ランク下の選抜度になっています。一方、研究力及び研究者育成力ではストーニーブルック大学がほぼ同水準です。教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.5ポイントで南カリフォルニア大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョージタウン大学(全米19位/世界68位)と南カリフォルニア大学(全米20位/世界72位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内18位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内20位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで157位、QS社のランキングで75位、ARWUのランキングで83位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル経済学賞受賞の経済学者のクライヴ・グレンジャー、マレーシアの首相のナジブ・ラザクなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が14.9%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的かややマイノリティが少なめです。2011~2012年のデータでは全体の学生の25%が留学生です。
総合的に見ますと英国で13~14番目の大学と言ってよいと思います。
今回はノッティンガム大学をとりあげます。
ノッティンガム大学 (University of Nottingham, Nottingham)
(撮影者Barry Mangham/Wikipediaより)
グラフで見たNottingham大学の主な特徴
大学名 | University of Nottingham | |||
主要な所属大学連合 | ラッセルグループ | |||
創立 | 1881年 | |||
立地 | Nottingham市 (Londonから電車で約2時間) | |||
学生数(正規のみ) | 学部 | 2012 | 1学年 平均7,838人 /全学年 23,515人 | |
大学院 | 2012 | 7,715人 | ||
学生の割合(学部) | 英国人 | 2012 | 83.6% | |
欧州留学生 | 2012 | 3.7% | ||
他留学生 | 2012 | 12.7% | ||
学生の割合(大学院) | 英国人 | 2012 | 53.6% | |
欧州留学生 | 2012 | 9.2% | ||
他留学生 | 2012 | 37.2% | ||
学部学生の出身高校 (2009) | (私立高卒) 30.3% : 69.3% (公立高卒) | |||
男女比 (2013) | (男) 51% : 49% (女) | |||
人種の多様性 (2008) | 非白人学生率 14.9% | |||
学部入学難易度 (2013) | 21位 | UCAS 437 / 換算偏差値 60 | ||
学部入学難易度 (過去8年平均) | 13位 | 平均偏差値 63 | ||
同世代人口比で見た選抜水準(学部) | (2013) 上位11.0% (過去8年の平均) 上位4.9% | |||
卒業難易度 | 標準的 | 学部最終卒業率 95.4% 学部成績優等率 74.5% | ||
教員一人当たり学生数 (2013) | 17位 | 14.0人 | ||
学生一人当たり教育支援支出 (2013) | 29位 | £1,214 (約18万円) | ||
学生一人当たり施設支出 (2013) | 42位 | £429 (約6万円) | ||
研究力 (2008) | 21位 | RAE 2.67 / 換算偏差値 60 | ||
研究費予算配分 (2011 / 人件費込) | 14位 | £100,300,000 (約150億円) | ||
ノーベル賞 | 18位 | 3人(OB 1人 教員 2人) | ||
就職/進学率 (2012) | 33位 | 72.5% | ||
卒業生の初任給平均 (2009) | 22位 | £20,967 (約315万円) | ||
NYTimes トップ企業の採用評価 (2012) | 9位 | 世界70位 | ||
Spear's 富裕層の輩出人数 (2013) | 18位 | 世界217位 | ||
時価総額世界上位500社のCEO輩出力 | 2011 | イギリス国内2位 世界13位 | ||
日本の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 上位国立大学及び上智大学、東京理科大学など | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: 理系:東北大学 文系:該当無し 教員当たり平均研究実績: 大阪大学、東北大学 | |||
採用評価 | 京都大学~早稲田大学 | |||
米国の大学ライバル校 | 総合選抜度 | 全米総合大学選抜度上位40位~55位水準 | ||
平均研究力 | 分野別順位平均: Stony Brook University 教員当たり平均研究実績: USC | |||
採用評価 | 全米総合大学採用評価上位19位~20位水準 | |||
国内大学ランキング | Independent社 | (2014) 24位 (過去7年の平均) 18位 | ||
Guardian社 | (2014) 28位 (過去7年の平均) 20位 | |||
世界大学ランキング | Times社 | 2014 | 157位 | |
QS社 | 2013 | 75位 | ||
上海交通大 | 2013 | 83位 | ||
Times名声調査世界ランキング | 2013 | N/A |
学問分野 | 全平均 | 法律 | 政治 | 経済 | 経営 | 会計 | 心理 | 哲学 | 歴史 | 古典 | 英文 | 芸術 | 言語 | 教育 |
難易度(学部) | 60 | 70 | 60 | 66 | 56 | 55 | 60 | 58 | 64 | 60 | 64 | -- | -- | -- |
研究力 | 60 | 66 | 56 | 72 | 64 | 64 | 59 | 63 | 58 | 57 | 68 | -- | -- | -- |
学問分野 | 数学 | 物理 | 化学 | 生物 | 電子 | 機械 | 材料 | 土木 | 情報 | 建築 | 医学 | 歯学 | 薬学 | |
難易度(学部) | 68 | 64 | 62 | 58 | 53 | 60 | -- | 57 | 51 | 65 | 72 | -- | 64 | |
研究力 | 62 | 64 | 72 | 59 | 61 | 67 | 67 | 71 | 71 | 52 | 50 | -- | 71 |
学問分野 | 社会科学 | 自然科学 | 工学 | 生命科学 | 医学&薬学 | |||||
経済学&経営学 | 数学 | 物理学 | 化学 | 情報工学 | ||||||
順位 | 101-150位 | 101-150位 | 151-200位 | -- | 101-150位 | 151-200位 | 151-200位 | -- | 48位 | 26位 |
ノッティンガム大学は創立130年の大学です。もともとはロンドン大学のカレッジとして設立されましたが1948年に独立しました。特徴を箇条書きにしますと次のようになります。英国の研究型上位大学連合であるラッセルグループに属しています。
(1) 立地・大学の雰囲気
ロンドンから電車で2時間ほどの距離にあるノッティンガム市に位置しています。立地的には若干不利なロケーションとなっています。大学構内の雰囲気や大学のシステムは郊外の広いキャンパスに近代・現代的な建物が分散しています。州立高校卒業生比率が69.3%と低く裕福な学生が多く集まる大学です。
(2) 学生数・教員数
教員一人当たりの学生数は14.0人でこのランクの大学としては平均的です。学生数は学部・大学院を合わせて3万人以上でイギリス屈指の大規模大学です。在学生の男女比は51:49とほぼ男女半々です(参照元)。
(3) 入学難易度
学部入学難易度は比較的高く、UCASの入学者平均スコアから計算した2013年度入学者の偏差値は60でイギリスで21番目です。ここ数年間は以前と比べると全体的に他大学と比べた相対的な難易度は低迷しています。専攻や年によって上下しますが、毎年同世代人口でだいたい英国の上位4.9%の学生が集まっています。法学、建築、薬学、医学が特に人気が高く難関です。なお学部入試の平均倍率はおよそ6倍です(参照元)。
(4) 成績評価・卒業難易度
最終的な卒業率は平均して95.4%、学部生の成績優等率は平均して74.5%です。学生の学力水準に対し、卒業難易度、成績評価はイギリスの中では標準的です。
(5) ノーベル賞受賞者数・研究力
ノーベル賞受賞者総数は3人で18番目です。米国の大学と比較すると総数、卒業生の受賞者数共にジョージワシントン大学と互角です。RAEで見ました大学の総合研究力はイギリスでは21番目となっています。ARWUのデータで見ますと医学の研究力が英国6位、世界30位、生命科学、社会科学の研究力が世界51-75位と高い水準となっています。一方RAEのデータでは化学と薬学、物理学が強く、それぞれ英国2位、2位、4位の研究水準を誇っています。なお、研究人件費を含んだ2011年の研究費予算配分では英国で14番目に多い1億30万ポンド(約150億円)を獲得しています(参照元)。
(6) 就職力・経済界での活躍度
卒業生の収入は初任給平均では英国22位で難易度に対してやや悪いです。これは立地の不利さが理由だと推測されます。卒業6ヶ月後時点の未就職者数は6.8%です(参照元)。一方、時価総額で世界上位500社の経営者の輩出力のランキングでは2011年のランキングでイギリス国内で2位、世界全体で13位と大変良い結果になっています(参照元)。また、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価では英国9位、世界70位となっています(参照元)
(7) 日本のライバル
日本で同水準の大学は選抜度に関しては、以前掲載しました英国上位12大の選抜度国際比較データの傾向から推測しますと上位国立大及び上智大、理科大あたりですが、ここ数年は人気が低迷しており1ランク下の選抜度になっています。研究力及び研究者育成力で同水準の大学は、ARWU分野別の研究力世界200位のデータから推測しますと理系では東北大学ですが、文系では日本の全大学を上回っています。一方、教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.5ポイントで大阪大学や東北大学がほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価で京都大学(日本3位/世界47位)と早稲田大学(日本4位/世界101位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(8) アメリカのライバル
米国で同水準の大学は選抜度では、上記同様の推測からロチェスター大学などの全米総合大で選抜度上位40~55位水準ですが、ここ数年は人気が低迷しており1ランク下の選抜度になっています。一方、研究力及び研究者育成力ではストーニーブルック大学がほぼ同水準です。教員一人あたりの平均研究実績はARWUのPer Capita Performanceのスコアで見ますと20.5ポイントで南カリフォルニア大学などがほぼ同水準です。また企業の採用評価に関しては、2012年にNewYorkTimesが世界20カ国のトップ企業に聞き取り調査しました卒業生の採用評価でジョージタウン大学(全米19位/世界68位)と南カリフォルニア大学(全米20位/世界72位)の間という結果(世界70位)が出ています。
(9) 国内大学ランキング
新聞社が毎年出している国内大学ランキング表を見ますとIndependent社のランキングで2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内18位、Guardian社の2008年~2014年の7年間の平均ランキングで国内20位となっています。(近年授業料の急激な変動や景気変動などの国内情勢を反映し国内の大学ランキングは毎年乱高下しています。特にGuardian社のランキングは変動が激しくなる傾向があります。そのため、変動要素を減らすためにここでは平均で見ています。)
(10) 世界大学ランキング
2013年度版の世界大学ランキングではTHEのランキングで157位、QS社のランキングで75位、ARWUのランキングで83位となっています。
(11) 著名なOB
著名なOBはノーベル経済学賞受賞の経済学者のクライヴ・グレンジャー、マレーシアの首相のナジブ・ラザクなどです。
(12) 人種・国際性
人種別の学生比率は2007~2008年のデータでマイノリティ学生が14.9%となっています(参照元)。イギリスの全大学の非白人の人口平均が16%(参照元)である事から人種構成は平均的かややマイノリティが少なめです。2011~2012年のデータでは全体の学生の25%が留学生です。
総合的に見ますと英国で13~14番目の大学と言ってよいと思います。
イギリスの大学の分類 | ・ イギリスの大学の4つの分類 |
入学難易度(偏差値)と研究力 | ・ イギリスの大学入学難易度と研究力のランキング ・ イギリスの大学の専攻別の入学難易度と研究力 ・ 近年のイギリスの大学の学部入学難易度の変遷 ・ 2013年度の大学入学難易度 ・ 2014年度の大学入学難易度 |
選抜度の国際比較 | ・ 英米大学の選抜度比較一覧表 ・ 選抜度で見たイギリスの大学とその国際比較 ・ ラッセルグループなど主要大学グループの難易度と選抜水準 |
研究力の国際比較 | ・ 英米大学の研究力比較一覧表 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 ・ イギリスの大学の研究力の国際比較 (2013年版) |
ノーベル賞受賞者数 | ・ ノーベル賞受賞者数で見るイギリスの大学 |
卒業生の初任給 | ・ イギリスの大学の初任給ランキング |
富裕層の出身大学 | ・ 富裕層を輩出する英国大学はどこか |
公立高校出身比率 | ・ 公立高校卒業生比率で見るイギリスの大学 |
成績評価と卒業難易度 | ・ イギリスの大学の成績評価と卒業難易度の傾向 |
世界大学ランキング | ・ 世界大学ランキングの問題点と信頼性 |