千葉県でも屈指のヤンキーの多い街、松戸市。
(注:僕が千葉に住んでいた頃の個人のイメージです)
そんな松戸市にある松戸市立博物館に行ってきました。
現在、こちらで開催されているのは、
“異形土器 縄文時代の不思議なうつわ”という展覧会。
縄文時代の後期に出現した謎の土器、
「異形土器」にスポットを当てた展覧会です。
異形の土器と聞いて、パッと頭に浮かんだのは国宝にもなっている火焔型土器。
しかし、あれは異形土器ではないのだそう。
なぜなら、煮炊きに使っていた痕跡があるから。
つまり、ちゃんと用途があったわけです。
しかし、異形土器は、用途があったかどうか、
そもそも何のために作られているのかわかっていません。
だから、異形なのですね。
さて、そんな異形土器には、
大きく分けて4つの種類があるそうです。
まずは、異形台付土器。
基本的な特徴は、下部に台があること。
ラッパ状に突き出た突起物があること。
そして、胴部に穴が開けられていること。
穴が開いているということは、液体を溜めることはできません。
ということは、中で火を焚いて煙を出していたのでは?
そんな説もあるようですが、今のところ、
火を焚いた痕跡が残る異形台付土器は1つも見つかっていないそうです。
2つ目の異形土器は、釣手土器。
アーチ状の把手がついた土器です。
こちらの土器は、用途不明というわけではなく、
油を入れてランプ代わりに使われていたと考えられているそう。
なかには紐で吊り下げられる構造を持つものもあるとか。
続いては、香炉型土器。
香炉型という名前ですが、香炉として使われていたわけではないようで。
内側が煤けた土器もあることから、
釣手土器と同じく、ランプとして使われていたと考えられているそうです。
なので、釣手土器と香炉型土器は同じカテゴリと考える研究者もいるとか。
4つ目は、下部単孔土器。
他の3つの異形土器と違って、
一般的な土器と見た目はほぼ一緒で、
異形というほどではないように思えます。
しかし、その最大の特徴は、底部付近に穴が1つ開いていること。
一体、何のために?
一説によれば。
↑こちらのような注口土器(液体を注ぐための土器)と、
下部単孔土器が1個ずつセットで見つかった例があることから、
注口部が男性器を、穴が女性器を表現していると解釈されているとのこと。
・・・・・・・いや、そうなのか??
穴が開いてるから女性器って。
思春期の中学生が考えた解釈か!
もっと単純に考えて、コルク的なもので穴を塞いでおいて、
中の液体を飲みたくなったら、それを外して注いでいたのでは?
部活で使うウォータージャグみたいな感じで。
さて、そんな異形土器は、東日本各地で出土しているそうで。
一定のルールで作られた異形土器が広範囲で出土している事実から、
縄文後期には関東地方と東北地方の間に交流があったと考えられているそうです。
なお、本展のために、東日本各地の博物館から、
異形土器を含む縄文土器が松戸に集結しています。
その数、実に約170点。
史上最大規模にして、おそらく最後の異形土器の展覧会でしょう。
異形土器の展覧会を開催しようと思ったそのチャレンジ精神に感服。
そして、実現させたことにも感銘を受けました。
まさに偉業達成です。
ちなみに。
個人的にはやはり、意味不明すぎて、
異形台付土器が一番興味深かったです。
中でもとびきり異形だと思ったのが、
松戸市の貝の花遺跡で発見された異形台付土器。
土器のいたるところに、穴が開けられていました。
異形というよりも、異様。
軽く狂気のようなものを感じました。
また、千葉県佐倉市の井野長割遺跡で発見された異形台付土器もインパクト強め。
どことなく寄生獣のような。
今にも飛び掛かってきそうな、妙な生命力がありました。
なお、異形台付土器は東日本全域で見つかっていますが、
なぜか、もっとも多く出土しているのは千葉県なのだそうです。
ヤンキーはバイクとか車をカスタムするのが好きですからね。
もしや、異形台付土器というのは、ヤンキー縄文人(?)が、
普通の土器をカスタムしていった結果、誕生したものだったりして。
そうだとすると、千葉県で異形台付土器が多く見つかるのも納得です。