銀座メゾンエルメス ル・フォーラムで現在開催されているのは、
“アン・ヴェロニカ・ヤンセン「東京、銀座5丁目4-1」”という展覧会。
ベルギー代表として、ヴェネツィア・ビエンナーレに参加した経験もある、
ベルギーの現代アーティスト、アン・ヴェロニカ・ヤンセン(1956~)の日本初個展です。
なお、なんとなく想像は付いているでしょうが、
タイトルの“銀座5丁目4-1”は、銀座メゾンエルメス ル・フォーラムの住所です。
50年を超える長いキャリアの中で、ヤンセンは一貫して、
鑑賞者が空間や時間をどのように認識しているのかを問い続けてきました。
2009年には、科学者のナタリー・エルジーノと共同で、
空間や時間、脳の関係を探る「ブレイン・スペース・ラボラトリー」を設立しています。
・・・・・そう聞いてしまうと、小難しい作品を思い浮かべてしまうかもしれませんが。
彼女の作品は、むしろその逆で、いたってシンプルです。
例えば、床置きされている《IPE 250》という作品。
何の変哲もない工業用の鋼製の梁が、ただ横たわっているだけ。
シンプルにもほどがある作品です。
しかし、よく見ると、その表面が研磨されており、
まるで鏡のように、周囲の景色を映し込んでいます。
たったそれだけのことで、単なる工業用品が、
美しく哲学性のあるオブジェに生まれ変わっていました。
なお、その奥の壁に立てかけられているのは、
《Magic Mirrors(Pink and Green)》という作品。
色の付いたガラスを強化ガラスでサンドイッチし、圧力を加えます。
すると、強化ガラスはもちろん割れず、
挟まれた内側のガラスだけに亀裂が入るというわけです。
スマホの表面もそうですが、割れたガラスなんて、美しくもなんともないはずなのに。
この作品に関しては、プリズムのように美しかったです。
また、同じくらいに美しかったのが、《Untitled(blue glitter)》。
粒子の細かな青いラメを床に撒いただけの作品です。
ただそれだけなのに、角度によって、
ハッと驚くほど美しい姿を見せてくれます。
ちなみに。
展示室の中央には、天井から吊るされた約7メートルのぶらんこもありました。
座面に使われているのは、熱に反応する素材とのこと。
それゆえ、人が座った部分に反応して、色が変化するそうです。
気になる方は是非、座って確かめてみてくださいませ。


他にも、鋳造ガラスによる彫刻作品や、
ガラスの内部に液体を封入した作品など、
(↑液体の表面は着色されており、見る角度によって表情を変える)
シンプルながら美しく哲学的な作品がありましたが、
個人的にもっとも感銘を受けたのは、《Rose》という作品です。
赤く光る星。
その正体は、7基のスポットライトです。
それぞれの光は、空間の中央に向かって照射されています。
なので、一定の位置からは星のように見えますが。
横から見ると、この通り。
なお、《Rose》と同じ空間内にある《Calcium Carbonate》は、本展のための新作。
一見するとどこにあるかわかりませんが、
炭酸カルシウムで覆われたガラス面が、《Calcium Carbonate》とのことです。
ガラス面全てを塗ったのも大変でしょうが、
展覧会が終わって元に戻すのもさぞかし大変なことでしょう。
作品こそシンプルですが、作業は決してシンプルではありません。












