アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

 明日行きたくなる美術展情報をあなたに

星星星(3ツ星)
NEWゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち  宇都宮美術館(~6/21)
  ・特別展「百万石!加賀前田家」  東京国立博物館(~6/7)
  ・ジョルジュ・ルオー アトリエの記憶  パナソニック汐留美術館(~6/21)
  ・超危険生物展 科学で挑む生き物の本気  国立科学博物館(~6/14)
  ・クロード・モネ ―風景への問いかけ  アーティゾン美術館(~5/24)
  ・SPRING わきあがる鼓動  ポーラ美術館(~5/31)
  
星星(2ツ星)
NEW生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫  茅ヶ崎市美術館(~6/7)
NEW建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸  東京都庭園美術館(~6/14)
  ・エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし  東京都現代美術館(~7/26)
  ・大江戸礼賛  東京都江戸東京博物館(~5/24)
  ・ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界  サントリー美術館(~6/21)
  ・Unique Collection  彫刻の森美術館(会期未定)
  ・スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー  東京ステーションギャラリー(~6/21)
  ・生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ  国立新美術館(~7/6)
  ・美を味わう―懐石のうつわと茶の湯  静嘉堂文庫美術館(~6/14)
  ・拡大するシュルレアリスム  東京オペラシティアートギャラリー(~6/24)
  ・ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求  SOMPO美術館(~6/21)
  ・NHK日曜美術館50年展  東京藝術大学大学美術館(~6/21)
🔜・モノたちの眼  慶應義塾ミュージアム・コモンズ(~5/15)
  ・北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより  国立西洋美術館(~6/14)
  ・チュルリョーニス展 内なる星図  国立西洋美術館(~6/14)
  ・太刀掛秀子展 ~『りぼん』70’sおとめチック☆エポック~  弥生美術館(~6/28)
🔜・Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ  中村キース・へリング美術館(~5/17)
  ・トワイライト、新版画  三菱一号館美術館(~5/24)
  ・ジャッド|マーファ展  ワタリウム美術館(~6/7)
  ・Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁  クヴェレ美術館(~7/5)
  ・ピカソ・ミロ・バルセロのセラミック  ヨックモックミュージアム(~12/20)
  ・笑い滴る 春と夏の日本画名品選  松岡美術館(~5/31)
🔜・ニッポン再発見-異邦人のまなざし-  東洋文庫ミュージアム(~5/17)

星(1ツ星)
NEW波板と珊瑚礁  WHAT MUSEUM(~9/13)
  ・ティーカップ・メリーゴーラウンド  三井記念美術館(~6/21)
  ・佐内正史 雷写  岡本太郎記念館(~7/12)
  ・“YOU MADE ME LEAVE HOME...  エスパス ルイ·ヴィトン東京(~9/13)
  ・スープはいのち  21_21 DESIGN SIGHT(~8/9)
  ・道はあとからついてくる  平山郁夫シルクロード美術館(~6/15)
  ・SORAYAMA 光・透明・反射 ―TOKYO―  CREATIVE MUSEUM TOKYO(~5/31)
  ・Obol  銀座メゾンエルメス ル・フォーラム(~5/31)
  ・うたう仲條 おどる仲條-文字と画と、資生堂と-  資生堂ギャラリー(~6/28)
  ・明朝体  市谷の杜 本と活字館(~5/31)
  ・ミリアム・ハスケルをご存じ?  アクセサリーミュージアム(~7/25)
  ・カタリウム  アーティゾン美術館(~5/24)
🔜・画布に描くまなざし―ホキ美術館風景画展  ホキ美術館(~5/13)

オーストラリアに生まれ、イギリスで活動する現代美術家ロン・ミュエク。

本物の人体と見紛うほどにリアルな彫刻作品で知られるアーティストです。

もしその名を知らずとも、十和田市現代美術館に常設されている彼の作品、

《スタンディング・ウーマン》は、何かで目にしたことがあるのではないでしょうか。

 

ロン・ミュエク《杖を持つ女》彫刻:リアルな女性像

(参考画像。本展には出展されていません)

 

 

さて、2023年、そんなミュエクの大規模展覧会が、

パリのカルティエ現代美術財団にて開催されました。

その後、ミラノ、ソウルと世界を巡回し、今年2026年ついに日本上陸!

国内では18年ぶり2度目となる“ロン・ミュエク”展が共催の森美術館で開催されています。

 

ロン・ミュエク展 森美術館 2026年4月29日~9月23日

 


本展の冒頭を飾るのは、日本初公開作品となる《杖を持つ女》

 

ロン・ミュエク《杖を持つ女》展初公開の彫刻

ロン・ミュエク《杖を持つ女》 2009年 ミクストメディア 170×183×120cm 所蔵:カルティエ現代美術財団

展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 

無数の大きな木の束を懸命に抱える女性がモチーフとなっています。

枝の質感だけでなく、女性の髪の毛、肌、たるんだ質感など、

360度どこから観ても、さらに細部にわたってもリアルに再現されていました。

 

ロン・ミュエク《杖を持つ女》彫刻

 

 

ただ、よくよく考えてみると、女性はなぜ枝を抱えているのでしょうか?

そもそも、何で裸なのか??

シチュエーションそのものは、アンリアルです。

・・・・・リアルって何かね?

 

 

続いて展示されていたのは、《イン・ベッド》

2006年に東京都現代美術館で開催された展覧会、

“カルティエ現代美術財団コレクション展”にも出展されていた作品です。

 

ロン・ミュエク《イン・ベッド》彫刻:リアルな描写
ロン・ミュエク《イン・ベッド》 2005年 ミクストメディア 162×650×395cm 所蔵:カルティエ現代美術財団
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 

中年女性がベッドに横たわり、心ここにあらずの表情でどこか一点を見つめています。

先ほどの《杖を持つ女》と比べれば、

日常的にありえるシチュエーションなので、

違和感を覚えない気がするかもしれません。

しかし、実際に作品を目の当たりにしたら、むしろ違和感しか覚えないはず。

 

ロン・ミュエク《イン・ベッド》彫刻
 
 
というのも、この作品は長さ6.5m、幅約4mの超巨大作品。
『進撃の巨人』に遭遇したかのような、
あるいは、自分自身が縮小化してしまったかのような、
強烈なインパクトに襲われること請け合いです。
 
 
さてさて、本展には、上記の2点に加えて、
全部で11点のロン・ミュエク作品が来日しています。
そう聞いて、“え?少なくない?”と思われた方もいらっしゃることでしょう。
実は、ロンはこれら細部にまでこだわった彫刻を、
基本的にはすべて、自身の手だけで制作しています。
それゆえ、1つの作品が完成するまでに、数か月から数年かかるのがデフォルト。
約30年間に及ぶ作家人生において、制作された作品総数は現時点で49点にとどまります。
49点のうちの11点。
つまり、ロン・ミュエク全作品の約2割が集結しているのです!
 
ロン・ミュエク「杖を持つ女」彫刻 リアル
ロン・ミュエク《ゴースト》 1998/2014年 ミクストメディア 202×65×99 cm 所蔵:ヤゲオ財団コレクション(台湾)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年
 

ロン・ミュエクの彫刻、男性と鶏

ロン・ミュエク《チキン/マン》 2019年 ミクストメディア 86×140×80cm

所蔵:クライストチャーチ・アートギャラリー / テ・プナ・オ・ワイウェトゥ(ニュージーランド)

展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 
それらの中で特に見逃し厳禁なのが、初期の代表作 《エンジェル》

 

ロン・ミュエク《エンジェル》 翼を持つ彫刻

《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81cm
個人蔵 画像提供:アンソニー・ドフェイ(ロンドン)

 

 

1999年から2000年にかけて、NYのブルックリン美術館で開催された、

“センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アート展”に出展されたもので、

その展覧会を機に、ロン・ミュエクの名が世に知られるようになったそう。

いうなれば彼の出世作ではあるものの、

個人蔵のため、目にできる機会は相当に希少です。

 

ロン・ミュエク《エンジェル》彫刻、翼のある天使

 《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81cm 個人蔵

展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 

それからもう一点見逃し厳禁なのが、

日本初公開となる近作《ダーク・プレイス》です。

その作品があるのは、この壁にぽっかり空いた暗闇の奥。

 

ロン・ミュエク《ダーク・プレイス》への入口
 
 
真っ暗なので何もないように思えますが、
その奥に一歩、足を踏み入れてみると・・・・・

 

ロン・ミュエクの彫刻「ダーク・プレイス」の顔
ロン・ミュエク《ダーク・プレイス》 2018年 ミクストメディア 140×90×75cm 所蔵:ZAMU(アムステルダム)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 

暗闇の中に巨大なおじさんの顔が浮かんでいました。
人体がリアルなのはいわずもがな。
本作は、その人体を包む暗闇もまた作品の要素として取り込んでいるそうです。
 
他にもインパクトのある作品は多々ありましたが。
 
image
ロン・ミュエク《若いカップル》 2013年 ミクストメディア 89×43×23㎝ 所蔵:ヤゲオ財団コレクション(台湾)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年
 

image

ロン・ミュエク《買い物中の女》 2013年 ミクストメディア 113×46×30cm 

所蔵:タデウス・ロパック(ロンドン・パリ・ザルツブルク・ミラノ・ソウル)

展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)

 

 

本展のハイライトといえるのが、

ロン・ミュエク最大のインスタレーション作品《マス》です。

展示空間に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、1体の頭蓋骨。

 

ロン・ミュエク《マス》巨大頭蓋骨彫刻

 

 

本物そっくりですが、もちろんロン・ミュエクによる作品。

そして、実際の頭蓋骨よりも遥かに大きいです。

この1体だけでも十分にインパクトがありますが、

展示室全体に目を向けると、その100倍衝撃的な光景がありました!!

 

ロン・ミュエク《マス》巨大頭蓋骨インスタレーション
ロン・ミュエク《マス》展、巨大な頭蓋骨100体

 

 

会場を埋め尽くしていたのは、100体の巨大な頭蓋骨!

それらが無造作に、打ち捨てられるように置かれていました。

(↑もちろん実際はこだわって設置されているのでしょうが)

 

image

 ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラスサイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈

展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

 

 

本物そっくりとはいえども、これらはロン・ミュエクによる作品。
そのことは頭では重々理解しているのですが、
実際にこの空間内に入り、この光景を目の当たりにすると、
戦争や大量虐殺、天変地異といったキーワードが頭をよぎり、脅迫的に「死」を想わされました。
現代の“メメント・モリ”です。
星 星 星
あまりにも圧倒的で強烈だったので、
この光景は死ぬまで記憶にこびり付いて離れないことでしょう。
 
 
ちなみに。

《マス》はメルボルンでのNGVトリエンナーレ2017で初公開され、

以来、フランスやイタリアなど世界各国で公開されるたびに話題となっています。

100体の巨大な頭蓋骨は共通していますが、会場によって並べ方が異なるそうで。

韓国の美術館で公開された際には・・・・・

 

ロン・ミュエク、大量の頭蓋骨インスタレーション

ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラスサイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年
撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

 
 

巨大な頭蓋骨が壁のようにそそり立っていたようです。

これはこれで強烈なインパクトがありますね!

 

 

 ┃会期:2026年4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝)

 ┃会場:森美術館

 ┃https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck/

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ