アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タイトル  明日行きたくなる美術展情報をあなたに

星星星(3ツ星)
NEW瀬戸内国際芸術祭2019  瀬戸内エリア各所(~11/4)
  ・バスキア展 メイド・イン・ジャパン  森アーツセンターギャラリー(~11/17)
  ・塩田千春展:魂がふるえる  森美術館(~10/27)

星星(2ツ星)
NEWラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン  パナソニック汐留美術館(~12/15)
NEW齋藤芽生とフローラの神殿  目黒区美術館(~12/1)
NEWカルティエ、時の結晶  国立新美術館(~12/16)
  ・ルノワールとパリに恋した12人の画家たち  横浜美術館(~2020/1/13)
  ・住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」  泉屋博古館分館(~10/27)
  ・竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション  東京国立近代美術館工芸館(~12/8)
  ・北斎没後170年記念 茂木本家美術館の北斎名品展  すみだ北斎美術館(~11/4)
  ・コートールド美術館展 魅惑の印象派  東京都美術館(~12/15)
  ・黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部 -美濃の茶陶  サントリー美術館(~11/10)
  ・大観・春草・玉堂・龍子―日本画のパイオニア―  山種美術館(~10/27)
  ・ハンガリーの写実画家 サンドルフィ展  ホキ美術館(~11/17)
もうすぐ…没後90年記念 岸田劉生展  東京ステーションギャラリー(~10/20)
  ・シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート  ポーラ美術館(~12/1)
  ・生誕100年 藤本能道 生命を描いた陶芸家  菊池寛実記念 智美術館(~12/1)
  ・マンモス展 -その『生命』は蘇るのか-  日本科学未来館(~11/4)

星(1ツ星) 
NEW桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―  大倉集古館(~11/17)
  ・岡山芸術交流2019  岡山市内各所(~11/24)
  ・茶の湯の名碗「高麗茶碗」  三井記念美術館(~12/1)
  ・柳宗悦と古丹波  日本民藝館(~11/24)
  ・美しきいのち 日本・東洋の花鳥表現  根津美術館(~11/4)
  ・描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき  DIC川村記念美術館(~12/8)
  ・士 サムライ―天下太平を支えた人びと―  江戸東京博物館(~11/4)
  ・椅子の神様 宮本茂紀の仕事  LIXILギャラリー(~11/23)
  ・「ちひろさんの子どもたち」 谷川俊太郎×トラフ建築設計事務所  ちひろ美術館・東京(~10/27)
  ・長く生きる。”DNA”を繋ぐ50脚の椅子  ATELIER MUJI GINZA(~11/24)
もうすぐ…見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展  ワタリウム美術館 (~10/20)
  ・加藤泉―LIKE A ROLLING SNOWBALL  原美術館(~2020/1/13)
もうすぐ…MOTサテライト2019 ひろがる地図  東京都現代美術館(~10/20)
もうすぐ…あそびのじかん  東京都現代美術館(~10/20)
  ・5億年後の生命体 河口洋一郎:beyond AI  岡本太郎記念館(~10/27)
  ・虫展 -デザインのお手本-  21_21 DESIGN SIGHT(~11/4) 
日本人は、ラッセンより普通にゴッホが好き。

だからでしょうか。
毎年のように、日本のどこかしらで、
ゴッホを取り上げた展覧会が開催されています。
今年2019年もまた然り。
10月11日。上野の森美術館にて、“ゴッホ展” が開幕しました。




こちらは、“ゴッホがゴッホになるまで” に迫った展覧会。
27歳で画家を目指したゴッホが、37歳で亡くなるまでの約10年間で、
いかにして、ゴッホ風ともいうべき独自のスタイルに辿り着いたのかを紹介するものです。

展覧会は、2部構成。
ゴッホに大きな影響を与えたハーグ派と印象派、
それぞれを代表する巨匠たちの作品計約30点とともに、ゴッホの作品約40点が展示されています。

まず第1部で紹介されていたのが、ハーグ派。
ハーグ派とは、オランダのハーグで活動した画家たちの総称で、
17世紀のオランダ黄金時代の伝統的な絵画のエッセンスを受け継ぎつつ、
当時フランスで一時代を築いたバルビゾン派の影響を大きく受けているのが最大の特徴です。
伝統的なオランダの風景画っぽくもあり、バルビゾン派の絵画っぽくもあり。
まさに両者をイイとこどりしたハイブリッドな作風です。
そんなハーグ派の主要画家の一人で、
ゴッホの親戚であり最初の師匠でもあったのが、アントン・マウフェ。


アントン・マウフェ 《4頭の曳き馬》 制作年不詳 油彩、板 19.5×32cm ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag


マウフェは、ゴッホに画家としての基礎を叩き込みました。
彼がいなかったら、画家ゴッホは誕生していなかったかも。
そういう意味では、ゴッホにとって超重要な人物です。
もし、ゴッホが 『うちくる!?』 のゲストだったら、
確実に、どこかのお店でマウフェが登場することでしょう。

さてさて、そんなマウフェに限らず、
ハーグ派の画家の作品は、全体的にトーンが暗め。
それに合わせて、壁の色も蛭子能収が着る服くらいに地味な色調となっていました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


当然、この頃のゴッホの絵の色合いも、かなり暗めです。
のちに、《ひまわり》《アルルの寝室》 のようなカラフルな絵画を描く人物とは、この段階では到底思えません。




ちなみに、ゴッホの初期の傑作 《ジャガイモを食べる人々》 が描かれたのも、この時代。
さすがにゴッホ美術館が所蔵する油彩画は来日していませんでしたが。
代わりに、ハーグ美術館所蔵のリトグラフ版の 《ジャガイモを食べる人々》 が来日していました。


フィンセント・ファン・ゴッホ 《ジャガイモを食べる人々》 1885年4-5月 リトグラフ(インク・紙) 26.4×32.1cm ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag


こちらの 《ジャガイモを食べる人々》 リトグラフver.は、元となる油彩画と図柄が反転しています。
また、それにくわえて、コントラストや人物の描写が甘くなっているのだそうです。
そんな作品のクオリティの低さに対して、当時ゴッホの友人だった画家ファン・ラッパルトは、

「もっと熱くなれよ!もっと本気出せよ!」

と、松岡修造ばりに (←?) に大激怒したそうな。
それにカチンと来たゴッホは、手紙で反論したのだとか。
その応酬が原因で、5年に及ぶ2人の友情にピリオドが打たれることになったのです。
ハーグ派の画家にまつわるゴッホのエピソードもまた、絵のトーンと同様に暗めでした。


続く第2部では、印象派や新印象派の画家たちの作品が登場します。
それゆえ、第1部とは打って変わって、会場は明るく華やかな雰囲気に。




ピサロやシニャック、ゴーギャンらの作品とともに、
モネやルノワールといった画家たちの作品も紹介されていました。




まさか、“ゴッホ展” の会場で、
モネやルノワールの作品までもが観られるだなんて。
何だか得した気分です。

そんな華やかな印象派の作品と出合ったことで、
ゴッホの作品も明るく華やかな雰囲気に様変わりしていきます。




そのスタイルを経て、やがて色彩や筆致はより大胆に。
そして、いよいよ僕らがイメージするゴッホのスタイルに到達するのです。




展示室のラストで待ち構えていたのは、
メトロポリタン美術館が所蔵する傑作 《糸杉》




2012年の “メトロポリタン美術館展” での日本初公開以来、7年ぶりの再来日です。


フィンセント・ファン・ゴッホ 《糸杉》 1889年6月 油彩、カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.  Image source: Art Resource, NY



この絵に渦巻いているパワーは、それはそれは強烈でした。
空がうねる。雲がうねる。糸杉がうねる。山がうねる。
アニメーションのように、絶えず絵が動いている感じがするのです。
そのため、どう頑張っても、絵をじっと見続けることはできず。。。
あちらに目がいったり、こちらに目がいったり、とにかく目線が定まりませんでした。
ゴッホvs鑑賞者。
そんな真剣勝負を突きつけられているような印象を受けました。
この絵を観るためだけに展覧会を訪れる価値は大いにアリです。


正直なところ、展覧会を訪れるまでは、
“ゴッホ展” という展覧会タイトルが、あまりにシンプルすぎると感じていたのですが。
なるほど、シンプルなのも納得でした。
これぞゴッホ展。これがゴッホ展。
王道にして最強のゴッホ展です。
星星星


ちなみに、今回出展されていたゴッホの作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、《ぼさぼさ頭の娘》 という一枚。




モデルは、若き日のミック・ジャガー、
もしくは、若き日のかまやつひろしかと思いきや、ぼさぼさ頭の娘とのこと。
この展覧会では随所でゴッホの手紙も紹介されているのですが、
こちらの作品にまつわる手紙の一文も、作品横で紹介されていました。
手紙には、こう綴られています。

「さて、手紙を書き続けるかわりに小汚い娘の頭部を書き始めたよ。」

いやいや、お前が言うなよ!




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