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アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

 

 

■運慶

 漫画:さいとうたかを
 出版社:小学館
 発売日:2017/09/27
 ページ数:258ページ

 

仏像彫刻の革命児・運慶を彫り起こす!!

奈良仏師・康慶の息子として生まれ、
1223年に亡くなるまで、幾多の彫刻を世に残した運慶。
源頼朝、北條時政の知己を得て
毘沙門天、阿弥陀如来像、不動明王、制叱伽童子像を作り、
快慶らとともに東大寺南大門の仁王像を世に生み出した
運慶という偉大な人物の個人史を、知られざる若き日々に焦点を当てて描き出しています。

(小学館HPより)

 

 

「先日、紀伊國屋書店新宿本店にて、

 『国宝クラス仏をさがせ!』の関連トークイベントのMCを務めまして。

 おかげさまで、評判も上々で、

 1時間半では足りなくなるほどに、トークも盛り上がりました。

 それゆえ、自然と登壇メンバーと関係者で、打ち上げという流れになりまして。

 仏像に関するトークがいろいろ飛び交う中で、
 かつて、さいとうたかをが運慶をテーマに漫画を描いていたという話題が出ました。

 調べてみると、しばらく絶版の状態が続いていたものの、

 2017年にトーハクで大々的な運慶展が開催されたタイミングで、

 小学館より、さいとうたかをの『運慶』が復刻されているのを発見。

 早速、Amazonでポチって読んでみることにしました。

 

 その率直な感想としては、

 さすがと言いましょうか、やはりと言いましょうか、
 「なるほど、さいとうたかをが運慶を描くとこうなるのか!」という感じ。
 さいとうたかを版の運慶は、本能のままに生き、

 野性味が溢れ、時にバイオレンスな人物として描かれています。
 その子供時代に、印地打ち(※)が得意だったというシーンがあるのですが。

(※大勢が二手に分かれ、川を挟んだりして石を投げ合う合戦。中世に盛んだった)

 石を相手に命中させる姿は、完全にスナイパーでした。


 たった1巻の中で、子ども時代や興福寺での修行時代、

 平家による南都焼き討ち、鎌倉地方に赴いての数々の仕事、
 さらには、結婚やライバル快慶との関係など、さまざまなエピソードが登場。

 ストーリーがギュウギュウに詰め込まれていた感は否めません。
 全5巻くらいで、じっくりと読みたかったです。
 例えば、興福寺時代に、気に入らない学侶たちに対して、

 とんでもない方法で仕返ししたシーンは、マジでいらなかったような。


 なお、クライマックスに登場するのは、

 快慶と合作した東大寺南大門の《金剛力士像》
 “質実剛健”な作風の運慶に対して、

 一般的に快慶の作風は、たおやかで優美とされています。

 しかし、東大寺の《金剛力士像》は、良くも悪くも、快慶らしさはありません。
 今まで特に意識したことが無かったですが、
 いわれてみれば確かに、不思議な気がします。
 それに対するさいとうたかをなりのアンサーは、漫画のラストに。

 

 正直なところ、この漫画を読んだからといって、
 運慶の仏像を観に行きたくなったりはしないでしょうが。

 久しぶりに『ゴルゴ13』は読みたくなりました。

 『ゴルゴ13』が置いてありそうな喫茶店に行ってみようと思います。

スター スター ほし ほし ほし(星2つ)」

 

 

~漫画に登場する名仏~

《金剛力士像》

 

 

 

 

 

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