オーストラリアに生まれ、イギリスで活動する現代美術家ロン・ミュエク。
本物の人体と見紛うほどにリアルな彫刻作品で知られるアーティストです。
もしその名を知らずとも、十和田市現代美術館に常設されている彼の作品、
《スタンディング・ウーマン》は、何かで目にしたことがあるのではないでしょうか。
(参考画像。本展には出展されていません)
さて、2023年、そんなミュエクの大規模展覧会が、
パリのカルティエ現代美術財団にて開催されました。
その後、ミラノ、ソウルと世界を巡回し、今年2026年ついに日本上陸!
国内では18年ぶり2度目となる“ロン・ミュエク”展が共催の森美術館で開催されています。
本展の冒頭を飾るのは、日本初公開作品となる《杖を持つ女》。
ロン・ミュエク《杖を持つ女》 2009年 ミクストメディア 170×183×120cm 所蔵:カルティエ現代美術財団
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年
無数の大きな木の束を懸命に抱える女性がモチーフとなっています。
枝の質感だけでなく、女性の髪の毛、肌、たるんだ質感など、
360度どこから観ても、さらに細部にわたってもリアルに再現されていました。
ただ、よくよく考えてみると、女性はなぜ枝を抱えているのでしょうか?
そもそも、何で裸なのか??
シチュエーションそのものは、アンリアルです。
・・・・・リアルって何かね?
続いて展示されていたのは、《イン・ベッド》。
2006年に東京都現代美術館で開催された展覧会、
“カルティエ現代美術財団コレクション展”にも出展されていた作品です。
中年女性がベッドに横たわり、心ここにあらずの表情でどこか一点を見つめています。
先ほどの《杖を持つ女》と比べれば、
日常的にありえるシチュエーションなので、
違和感を覚えない気がするかもしれません。
しかし、実際に作品を目の当たりにしたら、むしろ違和感しか覚えないはず。
ロン・ミュエク《チキン/マン》 2019年 ミクストメディア 86×140×80cm
所蔵:クライストチャーチ・アートギャラリー / テ・プナ・オ・ワイウェトゥ(ニュージーランド)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年
《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81cm
個人蔵 画像提供:アンソニー・ドフェイ(ロンドン)
1999年から2000年にかけて、NYのブルックリン美術館で開催された、
“センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アート展”に出展されたもので、
その展覧会を機に、ロン・ミュエクの名が世に知られるようになったそう。
いうなれば彼の出世作ではあるものの、
個人蔵のため、目にできる機会は相当に希少です。
《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81cm 個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年
それからもう一点見逃し厳禁なのが、
日本初公開となる近作《ダーク・プレイス》です。
その作品があるのは、この壁にぽっかり空いた暗闇の奥。
ロン・ミュエク《買い物中の女》 2013年 ミクストメディア 113×46×30cm
所蔵:タデウス・ロパック(ロンドン・パリ・ザルツブルク・ミラノ・ソウル)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)
本展のハイライトといえるのが、
ロン・ミュエク最大のインスタレーション作品《マス》です。
展示空間に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、1体の頭蓋骨。
本物そっくりですが、もちろんロン・ミュエクによる作品。
そして、実際の頭蓋骨よりも遥かに大きいです。
この1体だけでも十分にインパクトがありますが、
展示室全体に目を向けると、その100倍衝撃的な光景がありました!!
会場を埋め尽くしていたのは、100体の巨大な頭蓋骨!
それらが無造作に、打ち捨てられるように置かれていました。
(↑もちろん実際はこだわって設置されているのでしょうが)
ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラスサイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年

《マス》はメルボルンでのNGVトリエンナーレ2017で初公開され、
以来、フランスやイタリアなど世界各国で公開されるたびに話題となっています。
100体の巨大な頭蓋骨は共通していますが、会場によって並べ方が異なるそうで。
韓国の美術館で公開された際には・・・・・
ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラスサイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年
撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館
巨大な頭蓋骨が壁のようにそそり立っていたようです。
これはこれで強烈なインパクトがありますね!


















