2023年11月3日に、江戸川区の「なぎさ公園」内にオープンした魔法の文学館。
正式名称は、江戸川区角野栄子児童文学館。
江戸川区区民栄誉賞を受賞している児童文学作家、
角野栄子さんの作品と、その功績を広く紹介するとともに、
未来を担う子どもたちが児童文学に親しむことを目指したミュージアムです。
江戸川区としては、初となる公立のミュージアムでもあります。
建物を設計したのは、おそらく日本一、
ミュージアムを設計しているであろう建築家、隈研吾さん。
ただ、魔法の文学館の建築は、
他のどの隈さんのミュージアム建築とも違うテイストで、
いい意味で、隈さんらしからぬ印象を受けました。
個人的には、隈さんのミュージアム建築の中では一番好きかも。
また、内装デザインのアートディレクションを務めているのは、
角野さんの実の娘でアートプロデューサーで、イラストレーターのくぼしまりおさん。
館内は、ミュージアムのコンセプトカラーである“いちご色”で統一されています。
その“いちご色”推しは徹底されており、
消火栓カバーやトイレの蛇口も“いちご色”になっていました。
なお、館内のいたるところに、
角野さん自らが選んだ児童書約1万冊が配架されています。
本を読むための椅子やスペースも、たくさん設けられており、
来館者は好きな場所で、思い思いに児童書を楽しむことができました。
もちろん、約1万冊ある児童書の中には、
角野さんご自身の著書も多数取り揃えられています。
中でも個人的に「懐かしい!」と、
思わず声をあげてしまったのが、『小さなおばけシリーズ』。
コック見習いのおばけのアッチが主人公の絵本シリーズです。
実は高校時代から僕のあだ名は“とに~”なのですが。
本名が「あつし」であるため、
幼稚園から中学生までは、“アッチ”と呼ばれていました。
なので、小学生の頃に何度か、
「おばけのアッチ」とからかわれたことがありましたっけ。
どっちかといえば、イヤな思い出です(笑)。
まさか、おばけのアッチの生みの親が、角野栄子さんだったとは!
30年以上ごしに知る真実でした。
ただ、あの頃は意識的に避けていましたが、
今改めて観てみると、おばけのアッチはなかなかカワイイですね。
館内にいきなり出没するアッチを、つい多めに撮影してしまいました。
そして、何より角野栄子さんといえば、
ジブリで映画化もされた『魔女の宅急便』です。
それにちなんで、館内のシアターは、
「黒猫シアター(Jiji's Theater)」と名付けられていました。
シアターのプログラムは複数あるようで、
自分が観たのは、『おばけのアッチ』に関するもの。
ただ、映像が流れるだけだろうと、
そこまで期待をしていなかったのですが、
なんと、東京ディズニーシーの『タートル・トーク』のように、
アッチと参加者がリアルに会話を楽しめる仕様になっていました。
公立のミュージアムのシアターとは思えないほどのエンタメ性の高さ!
この黒猫シアターを体験できただけでも、
魔法の文学館に足を運んだ甲斐がありました。
なお、館内にあるカフェの名前は、「カフェ・キキ」。
ただし、残念ながら、メニューには、
「ニシンとカボチャのパイ」や「キキのチョコレートケーキ」はなかったです。
さてさて、『魔女の宅急便』関連の展示で、
もっとも印象的だったのが、海外版の『魔女の宅急便』。
そのままの直訳でなく、『Kiki’s Delivery Service』となっていました。
出版される国によって装丁が違っているのが、非常に興味深かったです。
例えば、こちらの中央にあるのは、2020年のアメリカ版。
逆に、日本っぽいと言いましょうか。
細田守監督映画みたいな感じになっています。
なお、左にあるのは、カナダ版。
いかにも海外というタッチの画風です。
このキキは、そもそも落ち込んだりもしないはず。
ちなみに。
一番インパクトがあったのは、スウェーデン版のキキ。
魔女感がハンパじゃありません。
ホウキの乗り方も、なんか行儀悪いし。
そうそう、魔女と言えば・・・・・。
魔法の文学館の館長である角野栄子さんは、
な、な、なんと今年1月に89歳の誕生日を迎えたのだそう。
全然、そんな年齢に見えません!!
数10歳は若く見えます。
キキ以上に、角野館長が魔女でした。