2024イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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絵本の夏、板橋の夏。

今年も板橋区立美術館では、毎年恒例の、

“イタリア・ボローニャ国際絵本原画展”が開催されています。

 

 

 

イタリア・ボローニャ国際絵本原画展とは、

毎年春にボローニャで開催される児童書のイラストを対象にした国際コンクール。

子どもの本のために描かれたものであれば、

ベテランも新人も関係なく、誰でも応募可能となっています。

 

58回目となる今年は、81の国と地域から3520名の応募があり、

厳選なる審査の結果、日本人4名を含む32の国と地域の78名が入選しました。

本展では、その入選作すべてが展示されています。

 

 

 

なお、入選作すべてではないですが、例年同様に、

絵本になっているものは、その絵本も併せて紹介されており、

それらは、実際に手に取って楽しめるようになっています。

 

 

 

原画と、印刷されたものとを、見比べてみることができるのも、

イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の醍醐味の一つといえるでしょう。

星

 

 

なお、嬉しいことに、昨年までと違い、

会場内での写真撮影が可能となっていました。

気に入った作品があれば、ルールを守って撮影を楽しみましょう。

 

 

 

さて、ここからは、本年の入賞作品の中で、

個人的に印象に残っているものをいくつかご紹介。

まずは、韓国のパク・ミランによる『みんな音楽』から。

 

 

 

一瞬、“どこに音楽要素が?”と、疑問符が浮かびましたが、

よく観てみると、黄色く塗られた箇所が楽器や音楽に関する記号になっています。

 

 

 

このままポストカードにして欲しいくらいに、

どのイラストも、洒脱なセンスに溢れていました。

 

洒脱なセンスといえば、負けていないのが、

フランスのジュリー・エスコリザの『のび のびのび』です。

 

 

 

発想力は、シュルレアリスムの巨匠・マグリットを彷彿とさせるものがあり、

画風は、ポスターデザインの巨匠・サヴィニャックを彷彿とさせるものがありました。

まさに、2人の巨匠のいいとこどり。

言語がわからずとも、ビジュアルだけで、

ちゃんとユーモアが伝わるのが、素晴らしいです。

 

 

 

逆に、まったく伝わってこなかったのが、

イタリアのジョヴァンニ・コラネーリによる『ブロブ』。

 

 

 

一体、黄色いコイツは何者なのか。

気になって気になって、仕方ありませんでした。

 

 


なかまに なりたそうに こちらをみるな!

 

 

なお、おそらく偶然なのでしょうが。

イタリアのマルゴー・ロマーノの『プール』に、

 

 

 

メキシコのマリアナ・ビリャヌエバの『ライフセーバー』に、

 

 

 

そして、日本の矢部雅子さんの『テイクユアマークス』に、

 

 

 

と、入選作品78点のうち実に3点が、プールに関するものでした。

年々、地球温暖化が進んでいるため、

人々はなんとなく、プールを欲しているのでしょうか。

そんな深層心理の表れなのかもしれません(←?)。

 

 

ちなみに。

ボローニャ国際絵本原画の入選者の中から、

35歳以下を対象に毎年1名が選ばれる「ボローニャSM出版賞」、

その昨年の受賞者であるアンドレア・アンティノーリによる新作絵本、

『ある夜に』の原画も本展では、特別に展示されています。

 

 

 

さらに、本展では、ボローニャ繋がりで、

こちらも著名な絵本賞である「ボローニャ・ラガッツィ賞」において、

2024年に特別部門で受賞した下田昌克さんの『死んだかいぞく』の原画も特別展示。

 

 

 

こちらは、1ページ目で主人公の海賊が殺される、

という絵本史上もっとも衝撃的な展開で始まる一冊。

 

 

 

最初にいきなり主人公が死んでしまうだなんて、

『幽☆遊☆白書』で浦飯幽助が車に轢かれて死んだ以来の衝撃です。

イラストのタッチも、どことなく“福本伸行み”があります。

この絵本を読んで育つ子どもの将来が、ある意味楽しみです。

 

 

ちなみに。

板橋区立美術館の毎年夏の恒例といえば、

イタリア・ボローニャ国際絵本原画展ともう一つ。

毎年このシーズンになると、のぼり旗が新調されます。

最新版ののぼり旗に掲げられていたのは、こんな言葉でした。

 

 

 

「ハコ推し」という言葉を使いこなすなんて。

館内にきっと、熱烈なアイドルファン、

もしくは、アニメファンが一人はいるはずです。

 

 

 

 

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