梅津庸一|エキシビション メーカー | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、ワタリウム美術館で開催されているのは、

“梅津庸一|エキシビション メーカー”という展覧会です。

展覧会タイトルにある“エキシビション メーカー”とは、

1990年に、ワタリウム美術館初の美術展をキュレーションしたスイス人美術家、

ハラルド・ゼーマンが、「展覧会を作る人」という意味で使っていた言葉。

この当時、「キュレーター」という言葉は、

世界のアートシーンで使われていなかったのだとか。

本展では、美術家の梅津庸一さんが、

ゲストキュレーターならぬゲストエキシビションメーカーを務めています。

 

展示のメインとなるのは、ワタリウム美術館のコレクションではありません。

その前身であるギャルリー・ワタリ時代に、

前館長である和多利志津子の交流によって集められたもの。

ワタリウム美術館ではほぼ未公開となる、

いうなれば、“知られざるコレクション”です。

 

それらの中には、桂ゆきや宇野亞喜良さん、

 

 

 

中西夏之や篠田桃紅といった、

 

 

 

ワタリウム美術館で観るには珍しい大物芸術家も多く含まれています。

その一方で、ドイツのロルフ・エッシャーや、

イタリアのアリギエロ・ボエッティなど、日本では馴染みのない、

知られざる海外アーティストの作品も紹介されていました。

 

 

 

それらの中でも個人的に印象に残っているのが、

ドクメンタ3に参加したというドイツのパウル・ヴンダーリッヒ。

シュルレアリスムに大きな影響を受けたという、

彼が制作した《足のある魚》には、意表を突かれました。

 

 

 

足が生えた魚のビジュアル史上、一番オモロいかも。

ヒラメ(カレイ?)から、足を生やそうだなんて、

常人では絶対に出てこない発想だと思います。

 

 

また、本展では“知られざるコレクション”の他に、

現在活躍中の若手アーティストから物故作家まで、

14人のゲスト作家の作品も紹介されていました。

それらの中でも特に異彩を放っていたのが、

星川あさこさんによる《患者》と題された作品です。

 

 

 

ベッドの上には、人のようなものが横たわり、

その上には乱雑にプリクラやぬいぐるみなどが置かれています。

ときどき、缶チューハイも。

 

 

 

なんでも、「アルコール中毒の入院患者」を表現しているのだそう。

お酒の怖さを啓蒙する作品です。

ウエストランドの河本さんに見せてあげたい作品でした。

 

 

さてさて。

ワタリウム美術館の“知られざるコレクション”と、

ゲスト作家たちの作品を併せて紹介する本展ですが、

展示の仕方にも、随所にこだわりが見て取れました。

 

 

 

とりわけ圧巻だったのは、

2階展示室の吹き抜け空間でしょうか。

壁の上から、絵の具が滝のように垂らされています。

 

 

 

もちろん、作品には被害はないですが、

この光景が目に飛び込んできた際、一瞬だけ、

“どこぞの環境保護団体の仕業か?!”と思ってしまいました。

 

なお、駒井哲郎の版画作品を中心に構成された4階展示室は、

この吹き抜け空間以上に、もっと大胆な変身を遂げていました。

 

 

 

壁一面にペイントが施されています。

そのペイントのインパクトが強すぎて、

正直なところ、版画作品の印象が入ってこなかったです。。。

この4階展示室に関しては、

エキシビション メーカーというよりも、

エキシビション クラッシャーでした(笑)。

 

 

 

 

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