「陸のなかまたち/海のなかまたち」をテーマに2期に分けて開催された2010年。
「みんなの生き残り作戦」をテーマに開催された2019年。
それに続き、5年ぶり3回目となる“大哺乳類展”が、
今年2024年も、国立科学博物館で開催されています。
その名も、“大哺乳類展3-わけてつなげて大行進”です。
今回のテーマは「わける(=分類)」と「つなぐ(=系統)」。
つまり、系統にスポットが当てられています。
実は、ここ20年くらいの間で、DNA解析により、
哺乳類の系統が大きく変わってしまったのだそう。
例えば、鯨偶蹄目。
一昔前までは、ウシやシカの仲間を含む偶蹄目と、
クジラやイルカを含む鯨目は別のグループと考えられていました。
しかし、近年のDNA解析によって、
クジラとカバが姉妹関係にあることが判明。
カバは偶蹄目だったので、偶蹄目と鯨目を併せて、
「鯨偶蹄目(げいぐうていもく)」という新たなグループが誕生したのだそうです。
見た目は全然似ていないのに、同じグループにまとめられてしまうことがあるのですね!
かと思えば、その逆のパターンもあるようで。
左から、アマミトゲネズミ、カナダヤマアラシ、
プラントハリネズミ、ヒメハリテンレック、ハリモグラ。
すべて針状の毛を持つ哺乳類です。
しかり、分類はそれぞれ、ネズミ科、アメリカヤマアラシ科、
ハリネズミ科、テンレック科、ハリモグラ科と別の科に分類されているのだそう。
異なるグループの生物でも、似たような生態的地位であれば、姿かたちは似てくるのだとか。
これを、生物学用語で『収斂進化』というそうです。
サメとイルカはまったく違う生物なのに、フォルムは似ていますよね。
あれもまた、収斂進化の一例です。
と、本展では、知ってるようで知らない、
系統について、多数の標本を交えて学ぶことができました。
そこ本展の見どころの一つではあるのですが、
やはりそれ以上に目を引くのは、“大哺乳類展”シリーズの人気企画というべき・・・・・
哺乳類大行進!
国立科学博物館が誇る哺乳類の剝製標本約200点による大行進です。
あまりにもインパクトのある光景すぎて、
ちょっとやそっとのインスタレーション作品では、
このインパクトには太刀打ちできない気がします。
それくらに圧巻でした。
とりわけ圧巻だったのが、ミナミゾウアザラシ。
デカいにもほどがあるだろ!
剝製でこの迫力なのですから、
実物が目の前に現れたら、ひとたまりもない気がします。
もちろん、大行進している剝製の中には、
キュートな哺乳類もたくさん混じっていました。
さらには、竹久夢二美術館の石川桂子学芸員が、
『そろそろ美術館の話を…』にゲスト出演された際に、
激推ししていたキボシイワハイラックスも大行進に加わっていました。
(気になる方はこちらを→https://sorosoro-art.vercel.app/ep/108)
なお、大行進とは別に、
5月21日より一般公開が始まったのが、ニホンオオカミの本剝製です。
こちらは、今年2月にニホンオオカミの剥製であることが発表されたばかり。
(国立科学博物館の収蔵庫で100年近く保存されていたものの、謎のオオ
ニホンオオカミの剥製は少なく、世界に5体しか存在していないそう。
その貴重な6体目となる剝製です。
是非、この機会をお見逃しなく。
ちなみに。
展覧会全体を通じて、もっとも衝撃的だったのが、
現在地球上で最大の動物であるシロナガスクジラの心臓。
その心臓の大きさももちろん最大で、約180キロあるとのこと。
カナダのロイヤルオンタリオ博物館には、
実際のシロナガスクジラの心臓の標本があるそうで、
本展で紹介されているのは、その実物大レプリカです。
高さ約1メートル50㎝もある巨大な心臓にはただただ圧倒されました。
会場ではシロナガスクジラの心臓以外にも、
さまざまな哺乳類の臓器の模型もまぁまぁ紹介されています。
この展示光景を目にして、
『怪獣8号』を連想してしまった人間は、
きっと、僕だけではないでしょう。
なお、本展の意外な臓器推しぶりは、
グッズコーナーにも飛び火していました。
・・・・・・・誰が買うねん!!