長谷川町子のデザイン | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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日本で初めての女性漫画家にして、

漫画家で唯一、国民栄誉賞を受賞した長谷川町子。

その生誕100年を記念して開館した長谷川町子記念館では現在、

彼女のイラストレーター、デザイナーの側面にスポットを当てた展覧会が開催されています。

その名も、“長谷川町子のデザイン”です。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。 ©長谷川町子美術館

 

 

一般的に、漫画が書籍化される際には、

ブックデザインは、その専門の方が担当するものですが、

長谷川町子に関しては、ブックデザインも彼女自身が行っていました。

 

 

 

しかも、巻ごとにテイストを変えており、

そのデザインの引き出しの多さには、目を見張るものがあります。

また、巻ごとに『サザエさん』というタイトルのフォントも変えていたようで。

 

 

 

中には、ローマ字表記の『SAZAESAN』もありました。

サザエさんはお洒落だな。

星星

 

タイトルと言えば、単行本だけでなく、

新聞連載時のタイトルもバリエーションが豊富なのだそうです。

 

 

 

これらのタイトルは本に掲載される際には、すべてカットされているとのこと。

ということで、本展ではその一部が、

壁一面のパネルを使って紹介されています。

さまざまなロゴで埋め尽くされたさまは、

ビックカメラの袋を彷彿とさせるものがありました(←?)。

 

 

 

なお、長谷川町子がデザインしたものは、

ブックデザインやタイトルのロゴだけに留まらず。

単行本販売のポスターや、

 

 

 

書店向けのノベルティグッズなどもデザインしています。

 

 

 

さらに、一般向けに発売された、

サザエさんグッズのデザインも行っていたそうです。

生涯で数多くのグッズを担当したそうですが、

姉妹社から初めて発行されたサザエさんかるたは、

30万個以上売り上げた大ヒット商品だったとか。

 

 

 

個人的に気になったのは、その『い』の絵札。

もしかしたら、アニメのエンディングのラストシーンは、

この絵のイメージをオマージュしたものなのかもしれません。

 

そうそう、かるたといえば、

『意地悪ばあさん』のかるたも紹介されていました。

 

 

 

もちろん意地悪な札がたくさんありましたが(笑)、

中でも、特に印象的だったのが、『ふ』の札でした。

 

 

 

その読み札は、「ふじさん みせない」です。

外国人に富士山を見せない。

富士山ローソンの撮影を防ぐために、

黒い目隠し布が張られることになったという、

最近話題のニュースを予見していたかのような絵札です。

 

 

また、本展では特別に、おもちゃメーカーのタカラから、

発売されていたというサザエさんグッズの数々も展示されていました。

 

 

 

実は長谷川町子は、『サザエさん』のキャラクターが、

グッズ化されることや、CMに出演させられることに反対だったようで、

そういった要望をかたくなに断り続けていたのだそうです。

それでもタカラ(当時)は何度も熱心に交渉を行い、

「キャラクターを絶対に傷つけない」という条件のもと、

ようやく長谷川町子から許可を得ることに成功したのだとか。

それはとてもエポックメーキングなことだったらしく、

なんと、当時の新聞でそのことが報じられたほどでした。

 

 

 

なお、そんなタカラの数あるサザエさんグッズの中で、

もっとも目玉商品だったのが、サザエさんの着せ替え人形。

なるほど。リカちゃん人形を生んだタカラ(当時)だけはあります。

 

 

 

とはいえ、人形遊びをする女の子にとっては、

サザエさんは、だいぶ大人な存在に当たるわけで。

実際には、同年代のワカメちゃんやタラちゃんの人形のほうが売れたそうです。

 

 

 

ちなみに。

記念館と併せて楽しめる長谷川町子美術館のほうでは、

現在、収蔵コレクション展“人物を描く”が開催されています。

ピカソやシャガール、藤田嗣治といった巨匠から、

ホキ美術館でも特に人気の高い写実画家・森本草介まで。

美術館のコレクションから選りすぐりの人物画を紹介するものです。

 

 

 

さらに、特別展示として、岸田劉生が娘・麗子をモデルに描いた作品3点を一挙公開。

その隣には、麗子の実の娘である岸田夏子さんの作品も併せて展示されています。

 

 

 

キシダさん一家の競演をどうぞお見逃しなく。

 

 

 

 

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