2021年にリニューアルオープンした八戸市美術館に行ってきました。
八戸市美術館といえば、今年3月に、
美術館の館板から『美』の1字が消えてなくなるも、
一級建築士でもある佐藤慎也館長が応急処置し、話題となりました。
さすがに、あれから4か月も経っていたので・・・・・
看板の『美』の字はすっかり元の姿に戻っていました。
ただ、ちょうど今、企画展として、
“tupera tuperaのかおてん.”が開催されているため、
看板の一部には、「かおシール」が貼られています。
看板が常に変化し続ける。
それが、八戸市美術館です(←?)。
なお、「かおシール」は看板だけでなく、
館内のいたるところにも貼られていました。
ところで、話を『美』の字に戻しまして。
あのニュースが話題になったので、
それに、乗っかる形を取ったのでしょう。
館内には、館長が制作した『美』の字の実物が展示されていました。
それだけではなく!
ミュージアムグッズの一つとして、
『美』の字が作れるキットも販売されていました。
『美』の字にしがむにもほどがあります(笑)
さて、そんな愉快な八戸市美術館の最大の特徴が、
入り口と直結した建物中心にある巨大な拭き抜け空間です。
市民の人が憩える場所であり、
あるいは、勉強や作業ができるスペースでもあり、
時には、イベントスペースにもなります。
こういったスペースは、一般的な美術館では、
ロビーやエントランスなどと呼ばれていますが。
八戸市美術館のこのスペースは、「ジャイアントルーム」と名付けられていました。
展示室やスタジオよりも広く、
文字通り、美術館でもっとも巨大な部屋となっています。
何よりも印象的だったのが、多くの人(おそらく八戸市民)が、
ジャイアントルームを訪れ、当たり前のように活用していたこと。
いい意味で、美術館っぽくないと言いましょうか。
決してディスっているわけではなく、
ジャイアントルームに入った時の第一印象は「市役所っぽい!」だったのですが、
まさに、市役所くらいの感覚で、市民の皆様に活用されているように思えました。
これほどまでに、市民との距離が近い美術館は、日本では数えるほどしかないのでは??
さてさて、現在、八戸市美術館のジャイアントルームでは、
“エンジョイ!アートファーム!!”という企画が開催されています。
こちらは、八戸を拠点に活動するアーティストが、
訪れる人たちと共につくり、楽しむプロジェクトを展開するというもの。
40年以上のキャリアを誇る画家の漆畑幸男さんや、
振付家でダンサーの磯島未来さんら、
個性的な5人のアーティストが、本プロジェクトに参加しています。
中でも個人的に強く印象に残ったのが、しばやまいぬさんのプロジェクト。
しばさんは、10年くらい前から、
「死ぬまで女子高生の絵を描き続けたい!」と思うようになり、
女子高生をモチーフにした裏手彩色木版画を主に制作しているそうです。
それだけ聞くと、“アウトな人”のように思えましたが、
本人とお話してみると、それほど“アウトな人”ではありませんでした(笑)。
そんなしばさんが、今回のプロジェクトでは、
女子高生を封印し(?)、虫をテーマに作品を制作。
参加型の作品となっており、子どもたちが考えたオリジナルの虫を、
期間中に、しばさんがいくつか木版画で実際に制作する予定なのだとか。
子どもたちによるオリジナルの虫はどれも、
造形や細かい設定が非常に面白かったのですが、
その中でももっとも感心してしまったのが、こちらの虫です。
その名も、「つきあうとこいするちょうちょ」。
好きになってから付き合うのではなく、
付き合ってから好きになる、という自然界では珍しい性質の生物です。
子どもながらにして、こんな複雑な恋愛観を知っているだなんて。
末は、大石静か北川悦吏子か。