【夕顔353-3】古文単語「惑はす」
高校生のみなさん。
古文の大学受験は、情報処理能力がカギ☆
早めの古文目線の習得が不可欠ですよ~♪
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違う)
2.古典特有語(現代死語・使わない)
3.古文常識語(現代にない慣習)
があります。
でも大学入試によく出るのは、今回のような多義語です♪
【今回の源氏物語】
「幼き人惑はしたりと、中将の愁へしは、さる人や」と問ひたまふ。
「しか。一昨年の春ぞ、ものしたまへりし。女にて、いとらうたげになむ」と語る。
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今回出てきた古文単語
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■【幼き】…ク活用形容詞「幼し」連体形
■【人】…ここでは子ども(夕顔の子)の意
■【惑はし】…サ行四段動詞「惑はす」連用形
※【(まど)はす】…行方不明にする
■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【中将(ちゅうじょう)】…頭中将のこと
■【の】…主格の格助詞
■【愁へ】…ハ行下二段動詞「愁ふ」連用形
※【愁(うれ)ふ】…心配している
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【は】…とりたての係助詞
■【さる】…そのような
■【人】…ここでは子どものこと
■【や】…疑問の係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【問ひ】…ハ行四段動詞「問ふ」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【しか】…そう
■【一昨年(をととし)】…おととし
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【ぞ】…強意の係助詞
■【ものしたまへ】…ハ行四段動詞「ものしたまふ」已然形
※【ものしたまふ】…何なさる。ここでは生まれなさるの意
※【ものす】…代動詞。ここでは生まれるの意
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(右近⇒夕顔の子)
■【り】…完了の助動詞「り」連用形
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【女】…女の子
■【にて】…~で。~であって
※【に】…断定の助動詞「なり」連用形
※【て】…単純接続の接続助詞
■【いと】…とても
■【らうたげに】…ナリ活用形容動詞「らうたげなり」連用形
※【らうたげなり】…かわいらしい
■【なむ】…強意の係助詞(結びの省略)
■【と】…引用の格助詞
■【語る】…ラ行四段動詞「語る」終止形
◇ 今回は「にて」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「惑はす」 ☆
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「幼き人惑はしたりと、中将の愁へしは、さる人や」と問ひたまふ。
「しか。一昨年の春ぞ、ものしたまへりし。女にて、いとらうたげになむ」と語る。
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.幼子まで亡くしてしまったと、頭中将が悲しんでいた。
2.幼子が病気になってしまったと、頭中将が心痛めていた。
3.幼子が心乱していたと、頭中将が苦悩していた。
4.幼子を行方不明にしてしまったと、頭中将が心配していた。
5.幼子まで失踪してしまったと、頭中将が嘆いていた。
古文単語は、多くが多義語なので、
意味を全部丸暗記するというよりも、
単語のイメージを持たせて覚えていく方が得策です。
ですが、上のように、
「惑はす」「愁ふ」などは、
選択肢すべてマイナス・イメージで絞りきれません;
こういう場合に、ポイントになるのは、
助動詞などの付属語の用法です。
基本の助動詞「たり」や「し(き)」は、
選択肢どれも一緒ですが、
1.幼子まで亡くしてしまったと、頭中将が悲しんでいた。
2.幼子が病気になってしまったと、頭中将が心痛めていた。
3.幼子が心乱していたと、頭中将が苦悩していた。
4.幼子を行方不明にしてしまったと、頭中将が心配していた。
5.幼子まで失踪してしまったと、頭中将が嘆いていた。
「惑はす」の「す」に着目してみましょう!
【まどはす(惑はす)】
【他動詞:サ行四段活用】
①心を迷わす。乱す。悩ませる
②(道や方向などを)混乱させる。まごつかせる。途方に暮れさせる
③見失う。行方不明にする
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「惑ふ」が、「途方に暮れる」「思い悩む」といった
古文特有の重要語ですが、
「惑はす」というのは、この他動詞形、つまり使役の形です。
1.幼子まで亡くして(×)しまったと、頭中将が悲しんで(△)いた。
2.幼子が病気になって(×)しまったと、頭中将が心痛めていた。
3.幼子が心乱して(△)いたと、頭中将が苦悩していた。
4.幼子を行方不明にして(○)しまったと、頭中将が心配して(○)いた。
5.幼子まで失踪して(△)しまったと、頭中将が嘆いていた。
【解答】…4
「幼き人惑はしたりと、中将の愁へしは、さる人や」と問ひたまふ。
「しか。一昨年の春ぞ、ものしたまへりし。女にて、いとらうたげになむ」と語る。
● 過去記事リンク
■中将
■たまふ
■ぞ・ぞや
■たまへり
■いと
■らうたし
■~げなり
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