【夕顔92-3】古文単語「女」と書いて…
源氏物語イラスト訳の重要古語です
【古文単語の主なパターン】
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…高校生がほぼ使わない死語?
【今回の源氏物語】
物の情け知らぬ山がつも、花の蔭には、なほやすらはまほしきにや、この御光を見たてまつるあたりは、ほどほどにつけて、我がかなしと思ふ女を、仕うまつらせばやと願ひ、
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今回出てきた古文単語
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■【物の情け知らぬ】…物の情趣を解さない
※【情け】…情趣。風情
※【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【山(やま)がつ】…木こり
■【も】…強意の係助詞
■【花の蔭(かげ)】…花のもと。花のそば
■【に】…場所の格助詞
■【は】…提示の係助詞
■【なほ】…やはり
■【やすらは】…ハ行四段動詞「やすらふ」未然形
※【やすらふ】…休息する
■【まほしき】…希望の助動詞「まほし」連体形
■【にや】…~であろうか
※【に】…断定の助動詞「なり」連用形
※【や】…疑問の係助詞
■【この】…指示連体詞
■【御光(おんひかり)】…光輝くお美しさ
■【を】…対象の格助詞
■【見たてまつる】…拝見する
※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【たてまつる】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【あたり】…人々
■【は】…提示の係助詞
■【ほどほど】…身分身分
■【につけて】…~に応じて
※【に】…結果の格助詞
※【つけ】…カ行下二段動詞「つく」連用形
※【て】…単純接続の接続助詞
■【我】…自分。私
■【が】…主格の格助詞
■【かなし】…愛しい
■【と】…引用の格助詞
■【思ふ】…ハ行四段動詞「思ふ」連体形
■【女(むすめ)】…娘
■【を】…対象の格助詞
■【仕うまつら】…ラ行四段動詞「仕うまつる」未然形
※【仕うまつる】…「仕ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【せ】…使役の助動詞「す」の未然形
■【ばや】…願望の終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【願(ねが)ひ】…ハ行四段動詞「願ふ」連用形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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☆ 本日の古文単語「女」 ☆
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古文で、「女」という漢字は、
かなりの頻度で出てきますよね。
特に、男と女の恋愛風景が描かれる
王朝文学においては。
「女君」「女は」…などと、
明らかに「おんな」を指す場合も多いのですが、
「○○の女」「○○が女」
と、連体修飾がかかってくる場合は、
「むすめ(娘)」の意味が多いんですよ!
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
【女(をんな・め)】
【名詞】
①(男に対して)女(おんな)。女性
②(夫に対して)妻
③メス
【娘(むすめ)】
【名詞】
①(親にとって)自分の女の子
②若い娘。乙女
*小学館『全訳古語例解辞典』より
語源辞典などによると、
「女(をんな)」から
「女(め)」(=女性、メス)の読み・意味が派生し、
「産(む)す―女(め)」=娘
ができたものと考えられます。
で、「産す―子」=息子(むすこ)
とか(;゚;∀;゚;)
では、入試対策問題を一つ☆
物の情け知らぬ山がつも、花の蔭には、なほやすらはまほしきにや、この御光を見たてまつるあたりは、ほどほどにつけて、我がかなしと思ふ女を、仕うまつらせばやと願ひ、
問)傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.光源氏が愛しいと思う女。
2.光源氏の悲しみの種となっている母。
3.光源氏の愛情を注ぐべき妻。
4.自分がかわいいと思っている娘。
5.自分が愛しいと思っている恋人。
文脈読解のポイントは
①「我が」の「が」が、連体修飾格であること
②述部「仕うまつらせばや」が謙譲語であること
の2点でございます。
正解…4
物の情け知らぬ山がつも、花の蔭には、なほやすらはまほしきにや、この御光を見たてまつるあたりは、ほどほどにつけて、我がかなしと思ふ女を、仕うまつらせばやと願ひ、
● 過去記事リンク
■も
■なほ
■やすらふ
■にや
■見る
■かなし
■思ふ
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