(3)1枚2ドル
私たちの泊まるThe Empire Landmark Hotelに到着すると、そのガイドさんがチェックインの手続きまでしてくれるということです。ただし部屋が用意できているかどうかはわからず、もしも用意できていないようならば、荷物だけ預かってもらい部屋に入れるのは16時以降になるということでした。でも幸いなことに部屋は用意されており、私たちは部屋に入ることができました。
帰りの車がホテルに迎えに来るのは、5月7日の9時50分。それまではすべて、自分たちで対応しなければなりません。
私たちはいったん部屋に入り、それからロビーでおちあってパッケージピックアップに向かうことにしました。
ホテルはDowntownの目抜き通りともいうべきRobson Stに面しています。地図を見ながらRobson Stを歩き、Robson Squareの方に向かいます。Vancouver Art Galleryの前を通過してSeymour Stを左折します。するとマラソンのスタート地点であるQueen Elizabeth Parkに向かうときに利用するSkyTrainのVancouber City Centre駅の前を通ります。よし、これで当日は大丈夫、迷う心配はありません。
そのまままっすぐWaterfront駅に向かいます。すでに13時を過ぎているので、パッケージピックアップに向かう前に昼食をとらねばなりません。Waterfront駅の前にはJapadogの屋台が出ているはずです。記念すべきバンクーバーでの最初の食事は、日本風ホットドッグのJapadogです。
私は以前から気になっていたおろしを注文しました。思っていた以上に大きなサイズで、これ1個で十分なくらいの量でした。もっとも、値段もこれ1個で5ドル25セントしますから、けっして安くはありませんが。
それから受付会場のCanada Placeを目指します。およそ5分ほど歩くと見えてきました。そのまま中へ入り、案内表示に促されるままに会場へ向かいます。途中、外国人選手が提出しなければならない誓約書が置いてあり、それにサインをして用意しておきます。また、選手の名前とBibナンバーが掲示されていて、事前にナンバーを知らなくても、ここでチェックをすればナンバーを確認できるようになっていました。
そのまま私たちはEXPO会場に入りました。
会場内の一角にはパッケージピックアップのコーナーがありました。Bibナンバーごとに窓口が分けられており、このあたりは国内の大会と同じです。ただし、正規にエントリーしているOgakunはメールで登録確認書が送られてきていますが、BC州観光局で代行エントリーをしてもらった私とでこちゃんは何もありません。口頭でBibナンバーを伝えてパッケージを受け取らねぱなりません。私だけナンバーが離れているため窓口も離れており、ドキドキしながら向かいます。
写真付きのIDが必要ということでパスポートを用意して誓約書を提出し、「スリー、シックス、セブン、トゥー」と自分のナンバーを告げると、わかってくれました。そしてナンバーカードに記された名前に間違いないかという確認を、片言の日本語で確かめられます。ホッとしましたが、片言の英語で勝負しようと気合いを入れていたため、いささか拍子抜けしてしまいました。
無事にパッケージピックアップを完了し、あとは2日後にスタートラインにつけばバンクーバーマラソンを走ることができます。あとはEXPOを見て回りました。
外に出ると、水上飛行機が飛ぶところが見えます。その向こうにはノースバンクーバーと結んでいるシーバスも見えます。見るものすべてが新鮮で、気持ちはどんどん高ぶっていきます。
でこちゃんとは、2日目にCapilano Suspension Bridgeに行こうという希望が一致していたので行動をともにしようと出国前に打合せをしていました。この日もとくに観光プランを考えてこなかったようなので、このまま行動をともにすることにしました。
まずはここからすぐに行けるところということで、Gastownに行くことにしました。さきほどのWaterfront駅の前を通り過ぎてGastownに行きます。
バンクーバー発祥の地というGastown。19世紀の趣が残されているということで、Downtownの近代的なビル群とはまた違う街並みが広がっています。
Gastownでお目当てだったのは蒸気時計です。
蒸気によって動いているというこの時計。15分ごとに音を鳴らしています。いわば汽笛が音楽を奏でているといった感じで、なんとも面白い調子の音楽を聴くことができました。
この蒸気時計のまわりには観光客が多くいて、私たちもいろいろな角度から写真を撮っていたのですが、ひとりの男性が「シャッターを押してやろう」というような動きをしながら近づいてきます。カメラを渡してOgakunとともに撮ってもらうことにしました。
しかしこのおじさん、注文がうるさいこと。立つ位置はここ!とピンポイントで指定されます。私たちは言われるがままに立って、写真を撮ってもらいました。
できあがった写真を見ると、なるほど、構図もしっかりしています。どうやらここで写真を撮るのが慣れているようですね。
感心していると、おじさんはポケットから数枚の2ドル硬貨を取り出してなにやら喋っています。通訳担当のOgakunは、「そういうことか」と苦笑いしながら2ドル硬貨を渡しました。
慣れてるはずだよ。ここでこうやって観光客から2ドルずつ巻き上げているんだ~。言葉がわからないふりをして、笑って立ち去ればよかったな。
シャッターを押してもらうと2ドルかかる。私はひとつの学習をしたのでした。(つづく)
バックナンバー
第1部 感激記(当選に 喜びよりも 狼狽し)
第2部 観光記(ハプニング 旅のスパイスと 言うけれど)
第3部 完走記(バンクーバー 自分の足で 観光ラン)