(3)同行者変更
大会本番は5月6日です。ツアー日程は5月4日から8日の3泊5日。それまであまり時間がありませんから、受諾するかキャンセルするかは3日以内に連絡しなければなりませんでした。妻も同行を決めたと判断して翌日に受諾の旨を連絡し、同時に同行者も連れて行きたいということを連絡しました。
それにしても、バンクーバー・・・。よりにもよって、バンクーバー・・・。
海外のマラソンなんて、いずれはホノルルマラソンくらい走ってみたいなと思う程度で、北米大陸まで乗り込むことなどまったく頭にはありませんでした。ホノルルだっていつのことやらわかりませんから、海外旅行に行くという心の準備すらまったくしていませんでした。海外遠征になんて何をどう用意すればいいのか、ただ混乱するばかりです。
それに加えてバンクーバーの知識など、まったくありません。行けるのでしょうか、こんなんで・・・。
海外旅行の準備は何をどうすればいいのかまったくわからないなかでも、これだけはわかっていることがあります。
すぐに、パスポートをとらなきゃ・・・。
25年前、新婚旅行でグアム・サイパンへ行きましたから、このときにパスポートは作りました。でもその後は海外旅行には無縁だったので、そのまま更新もせず失効してしまったままです。速やかに申請しなければなりません。
すぐさま留萌振興局や北海道のホームページを見て、パスポートの申請について調べます。申請に必要なのは、申請書と戸籍謄(抄)本、写真、印鑑、免許証と、面倒なものはなさそうです。まずは留萌市役所へ行って戸籍謄本を・・・と思って、ふと気がつきました。
そういえば私、本籍地は北見市でした。以前も戸籍をとるときは、北見市役所に郵送で請求したように思います。北見市のホームページを見ると・・・やはり遠隔地からは郵送請求となるようです。すぐに取れないというのは大誤算でした。
とはいえ、まだ出発まで2ヶ月あります。郵送で戸籍謄本を請求して手に入れるまでは1週間程度でしょうか。それからパスポートを申請して、交付までは最低2週間・・・まあ、3月中にはなんとか交付されるでしょう。
3月1日に、慌てて北見市役所に戸籍謄本の郵送申請をしました。速達で送り、返信用封筒も速達ということで同封しました。
ところが同じ3月1日に思いもよらぬことが起こってしまいます。妻が退院後最初の外来受診日だったので主治医にバンクーバー行きのことを相談したのですが、退院後約2ヶ月での海外旅行は時期尚早とドクターストップがかかってしまいました。
予想外の展開です。これでまた、せっかく頭の中で作り上げてきたシナリオが、ガタガタと音を立てて崩れてしまい、すべてが白紙に戻ってしまいました。
どうしましょう???もともと当選者は1人ですから、私だけが行くことにすれば成田空港までの往復費用だけで行くことができます。でも1人でバンクーバーへ行くなんて、不安でたまりません。しかも私は大の飛行機嫌いです。国内の遠征も、大好きなマラソンのためなら2時間くらいのフライトは我慢できる、ということで飛行機に乗っています。しかしこんどは9時間もかかるのですから・・・。そんな長時間のフライトなんて想像もつきませんし、想像したくもありません。
いっそ辞退しようか・・・。
でももうそれには遅すぎるでしょう。しかもこんなチャンスを棒に振るなんて、あまりにももったいなさ過ぎます。すでに受諾の返事をしてすべてが動き始めているのですから、今さら辞退するわけにはいきません。あ~、どうしよう・・・。
そんなときにいいことを思いつきました。いるじゃないですか、声をかけたら行きそうな奴がひとり。早速メールをしました。
「お母さんがバンクーバーに行けなくなったんだけど、代わりにお前は行けるか?」
メールの相手はOgakunです。返信は即答でした。
「それは無理やりでも空けるよ」
あっさりと交渉成立です。
今回のツアー内容を考えると、同行者としては妻よりもOgakunの方が適当だったことには間違いありません。3泊5日という、観光としてはけっして余裕があるとはいえない日程です。しかもその中にマラソン出場があり、大会前日には金哲彦さんによる無料セミナーが、そして大会終了後には日本人参加者を対象にしたミニフィニッシャーズパーティー(有料)があるなど、ランナー向けのイベントが多くなっています。走らない妻が同行すると、こうしたイベント参加をどうするか悩むところでしたが、Ogakunが同行するのなら本人に意向を確認せずに申し込めます(笑)。大会そのものも、3月10日まではランネットからエントリーできますから、面倒ではありません。
ということで、同行者の名前としてOgakunを登録しました。そしてランネットからエントリーするよう、Ogakunにも伝えました。(つづく)
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第1部 感激記(当選に 喜びよりも 狼狽し)