(4)上り坂
4kmの通過ラップは6分34秒です。ランナーストップの時間は30秒以内で済んだのか、ラップタイムだけを見るとランナーストップがあったこともわからないくらいです。
給水所は2マイル地点を皮切りに、1マイルごとに設けられていました。約1.6kmごとですね。間隔的にはあっという間に次の給水所という感じなので、給水が不足するような不安はありませんでした。むしろ、すべての給水所に立ち寄ると水分を取りすぎになりそうなので、選んで立ち寄りました。
給水所の数が多い分、1カ所の給水所の規模はさほど大きくありません。給水所の表示があるとそこの前に設けられているシマで終りです。
水だけの給水所もありましたが、スポーツドリンクを用意されているところもあります。それはテーブルにも文字でも表示されていますし、多くのボランティアの方は「Water」、「Gatorade」と声を張り上げていますから、その人から受け取れば間違いありません。水のつもりで飲んだらスポーツドリンクだったというようなことは、レースを通じて1度しかありませんでした。
やがて5km地点を通過しました。この間の1kmは6分04秒です。最初のスタートからのタイムは41分57秒。しかしこのタイムはもはやほとんど意味がありません。そもそもファンランですし、タイムを気にしながら走るつもりはありません。ただ、ペースだけ確認しながら走りたいと思っていました。ですからどうしても1kmごとのラップは気になります。
とはいえこのラップも、何度も写真撮影のために止まっているロスを含んでいます。これとて正確なペースとは言えません。
タイムを気にする理由はもう一つありました。ファンランといいながら、できれば4時間30分以内で走りたいと思っていました。というのも、レース後、14時からランスマの皆さんの給水会に参加する予定です。その開始時刻が14時です。ゴール後、ホテルに戻りシャワーを浴びて再度の移動となると・・・12時30分がタイムリミットだろうと思っていたのです。でも、Corral3のスタートまで10分近くかかっていますから、それを考えるとネット4時間20分でゴールしなければならないことになってしまいます。それはちょっとハードルが高いかもしれません。とりあえず前半は自然体で走ることを心がけます。
とてもきれいな街並みを楽しみながら、ときおり写真を撮るために足を止めます。そんな走りを繰り返しているのに、6kmのラップは5分42秒を示し、ちょっと焦ります。このあたり、たしかに下りですからスピードは上がります。それにしても5分台というのはファンランというには速すぎます。ちょっとペースを押さえにかかりました。
タイムを狙って走っているときは、意外と景色が目に入りません。どうしても前だけを見ながら走ってしまうからです。その点、ファンランとなると前後左右をキョロキョロしながら走ります。普段の観光では足を踏み入れないようなところを走って観光する。これぞ旅ランの醍醐味です。
バンクーバーのきれいな街並みと温かい声援に癒されながら足は軽快に進みます。
7km地点は6分14秒での通過です。うん、このくらいがちょうどいい。私は相変わらず、キョロキョロしながら落ち着きなく走ります。
このあと8kmを過ぎるとコースは右に曲がります。するとこのコース最大の上りが現れるはずです。留萌のアップダウン豊富な道を走り、上りは苦にならなくなりつつありますが、コース図から受ける上りの迫力はかなりのものです。
8kmのラップも6分07秒。下りながら速すぎないペースをキープしています。このまま無駄に貯金を作らないように走ります。
「タイムの貯金は体の借金。」
前日の講習会で、金哲彦さんがおっしゃった言葉です。何度も何度もこれで失敗しているだけに、実感を伴って理解できる言葉です。
また同じ講習会では、下りの走り方も説明してくれました。大きなストライドで走ると体の負担が大きく、小さなストライドで走ると体の負担は小さくなると。小さなストライドのピッチ走法で走ると通常は心肺への負担は大きくなるそうですが、下りなので大丈夫だろうということでした。
上りの走り方は、一昨年の利尻島一周悠遊覧人Gで、Qちゃんに教わりました。これで上りも下りも完璧です(笑)。
間もなく9km地点になろうかというとき、コースは右に曲がりました。
おお!たしかに上りだ!でも、ここの上りは怖い、と思い続けていたせいでしょうか。思ったほどの急勾配ではありません。
9km地点は6分19秒で通過します。しかしこのあとは、勾配はさほどではないものの、延々と上り坂が続いています。
でもファンランをしているという気持ちの余裕もあるでしょう。レース前に心配していたほど、この坂も苦痛には思えません。体をちょっと前傾して、視線は足のちょっと先に落としてゆっくりと上ります。Qちゃん直伝の上りのフォームです。そして上り疲れたらひと休みをして写真を撮ります(笑)。
やがて10kmに達しようとしたときです。どこかからきれいな音色が聞こえてきました。(つづく)
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第1部 感激記(当選に 喜びよりも 狼狽し)
第2部 観光記(ハプニング 旅のスパイスと 言うけれど)
Coming Soon
第3部 完走記(バンクーバー 自分の足で 観光ラン)