【夕顔1-3】二方向敬語「まかでたまふ」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔1-3】二方向敬語「まかでたまふ」

源氏物語イラスト訳のあいですラブラブ 

 

古文単語でよく出題されるのは、


チェックボックス1.古典特有語

   …現代にない古語。


チェックボックス2.古今異義語

   …現代と意味の異なる古語。


チェックボックス3.死語的現代ワード

   …日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。



…ですが、今回の古語は、

入試でよく出る二方向敬語☆

 

はい、ではいってみましょぉ~♪

٩(๑•̀∇•́๑)و

 

夕顔1のイラスト訳はこちら

 

【今回の源氏物語】

六条わたり御忍び歩きころ内裏よりまかでたまふ中宿り大弐の乳母いたくわづらひなりけるとぶらは五条なる尋ねおはしたり

 

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今回出てきた古文単語
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■【六条】…京都の六条通り。ここでは六条御息所をさす

※【六条御息所】…六条京極に住む、前東宮(前坊)の妃

■【わたり】…あたり

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【御】…尊敬の接頭語作者⇒光源氏

■【忍び歩(あり)き】…人目を避けて外出すること。お忍び

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【ころ】…時分。ころ。折

■【内裏(うち)】…宮中。内裏(だいり)

■【より】…~から起点の格助詞

■【まかで】…ダ行下二段動詞「まかづ」の連用形

※【まかづ】…退出する「去る」の謙譲作者⇒帝

■【たまふ】…尊敬の補助動詞作者⇒光源氏

■【中宿(なかやど)り】…途中で休憩したり宿泊する所

■【に】…場所の格助詞

■【大弐(だいに)の乳母(めのと)】…光源氏の乳母。惟光の実母

■【の】…主格の格助詞

■【いたく】…ク活用形容詞「いたし」の連用形

※【いたし】…ひどい

■【わづらひ】…ハ行四段動詞「わづらふ」の連用形

※【わづらふ】…病気になる

■【て】…単純接続の接続助詞

■【尼(あま)】…女性の僧侶

■【に】…変化の結果の格助詞

■【なり】…ラ行四段動詞「なる」の連用形

■【に】…完了の助動詞「ぬ」の連用形

■【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形

■【とぶらは】…ハ行四段動詞「とぶらふ」の未然形

※【とぶらふ】…見舞う

■【む】…意志の助動詞「む」の終止形

■【とて】…~と思って。~ということで

※【と】…引用の格助詞

※【て】…単純接続の接続助詞

■【五条】…京都の五条通り

■【なる】…所在の助動詞「なり」の連体形

■【尋(たづ)ね】…ナ行下二段動詞「たづぬ」の連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【おはし】…サ変動詞「おはす」の連用形

※【おはす】…いらっしゃる「行く」の尊敬作者⇒光源氏

■【たり】…完了の助動詞「たり」の終止形

   アップ

単語の意味文法的説明です。

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

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☆ 今回の古文単語 「まかでたまふ」 ☆

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最近、センター古文で敬語が出てませんよね;

(※今年のセンター古文イラスト解説はこちら⇒

 

 

ってことは……

そろそろ出る!

と思って準備しておくほうがよさそうですね~!

─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ

 

 

六条わたりの御忍び歩きのころ、内裏よりまかでたまふ中宿に、大弐の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、とぶらはむとて、五条なる家尋ねておはしたり。

問)傍線部の敬語の説明として最も適当なものをすべて選べ。

1.「まかで」は謙譲語で、光源氏への敬意を表している。

2.「まかで」は謙譲語で、桐壺帝への敬意を表している。

3.「たまふ」は六条御息所への尊敬語である。

4.「たまふ」は光源氏への尊敬語である。

5.「まかで」は光源氏からの、「たまふ」は作者からの敬意表現である。

6.「まかで」「たまふ」のどちらも、作者からの敬意表現である。

   

「まかで」は、

ダ行下二段本動詞「罷(まか)づ」の連用形です。

「退出する」「おいとまする」といった、「行く」の謙譲語ですね。

謙譲語の意味しかないので、きっちり覚えておきまよう♪

(●‘∀‘●)ノ"

 

 

「たまふ」

今回のように四段活用の場合、尊敬語です。

「まかづ」とともに用いられているので、補助動詞ですね。

「~なさる」「お~になる」と訳します。

(。´・∀・)ノ゙

 

 

…こんなふうに、

古文では、謙譲語と尊敬語がセットで用いられる場合が多いです。

 

特に、『源氏物語』のような王朝文学では、

動作の主体も客体も身分が高い

ため、尊敬語と謙譲語が混在するんです。

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

 

なので、

敬語の敬意方向の識別は

きちんと捉えていけるよう準備しておきましょう♪

(♡ >ω< ♡)

 

 

 

 

 

今回のポイントは、

「内裏(うち)」という重要古語です。

─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ

 

 

うち 【内】
【名詞】
①内側。内部。屋内   
②宮中。内裏(だいり)   
③天皇。帝。主上
④心の内。胸の内   
⑤間。うち(ある期間内)   
⑥中(ある範囲内)   
⑦(数詞とともに)以下。以内
⑧家。建物   
⑨夫。妻        
⑩仏教(「儒教(=そと・ほか)」に対して)   

   *「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より

   

  上矢印

「うち」は、古語辞典にこんないっぱい載ってます。

現代でも、よく用いますよね。

 

今回は、「内裏」という漢字に「うち」とルビがふってあるパターンで、

漢字の通り、帝の住む宮中(②)をさします。

 

 

 

…なんて削除しちゃってませんか?!

(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)

 

 

 

 

あっそれと…

 

「すべて選べ」っていう設問条件も、

今後、2020年入試改革に向けて、

いっそう増えてくると思いますよ!

(σ・∀・)σ

 

 

1.「まかで」は謙譲語で、光源氏への敬意(×)を表している。

2.「まかで」は謙譲語で、桐壺帝への敬意を表している。

3.「たまふ」は六条御息所への尊敬語(×)である。

4.「たまふ」は光源氏への尊敬語である。

5.「まかで」は光源氏から(×)の、「たまふ」は作者からの敬意表現である。

6.「まかで」「たまふ」のどちらも、作者からの敬意表現である。

   


しっかり敬語の準備、しておきましょうね♪

(▰˘◡˘▰)

 

 

 

解答…2・4・6

 

 

【空蝉(第3章)】の一気読みはこちら⇒

【源氏物語イラスト訳】の冒頭はこちら⇒

 

【今回の源氏物語】

六条わたり御忍び歩きころ内裏よりまかでたまふ中宿り大弐の乳母いたくわづらひなりけるとぶらは五条なる尋ねおはしたり

 

 

過去記事リンク

おほん(御)

しのぶ

ありく(歩く)

より  より(識別)

まかづ  まかづ②

たまふ  たまふ②

に(助詞)

めのと(乳母)

の(格助詞)

いたく(いたし)

て(接続助詞)

なり(識別)

に(識別)  「に」識別②

ぬ(助動詞)

けり(助動詞)

と(格助詞)

とて

なり(所在・存在)

おはす

たり(助動詞)  たり②

 

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→今回のイラスト訳はこちら

→今回のイラスト解釈はこちら