~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -23ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

作曲:モーツァルト

曲名:①クラリネット協奏曲イ長調 K622 (26:42)

   ②フルート協奏曲第2番ニ長調 K314 (18:45)

   ③ファゴット協奏曲変ロ長調 K191 (16:41)

演奏:カルボナーレ(cl)、ズーン(fl)、サンタナ(fg)

   アバド指揮、モーツァルト管弦楽曲

録音:2006年5月 ボローニャ Teatro Manzoni①

   2006年9月 ボルツァーノ Auditorium②

   2009年6月 ボローニャ Teatro Manzoni③

CD:477 9331(レーベル:DG)

 

【曲に関して】

モーツァルトのクラリネット協奏曲は、モーツァルトの最晩年に、友人でクラリネットの名手であったシュタードラーのために書かれました。モーツァルトは、当時はまだ新しい楽器であったクラリネットの、低音域、中音域、高音域で音色の変わる特徴を捉えて効果的に鳴り響かせ、美しい作品に仕上げています。

 

【演奏についての感想】

モーツァルトのクラリネット協奏曲は、晩年の作品ということで、そういった雰囲気を求めてしまいますが、35歳という年齢からは晩年と言えるかどうか…。そして、実際のところモーツアルトの死について決定的な結論に至っていないのが実情のようです。実際この曲を聴いても、そういった事の関連性よりは、高い次元に発展していたモーツァルトの最後の協奏曲という見方かな?という気がしています。

 

アバドのこのCDについて思い出すのは、アバドの死が伝えられてすぐに、残された録音ということで発売になったような記憶があるのですが、それはたまたまリリース時期と重なったという事ですよね、きっと。アバドはベルリン・フィル退任以降は、このモーツアルト管など自身が創設した若手中心のオーケストラを中心にして活動していました。

 

そんなCDなのですが、私はずっと、この演奏に今一つ馴染めないでいます。アバドは協奏曲の指揮に立った時に、名だたる独奏者のパートナーとして数々の名演を残しています。モーツァルトではグルダやピリスがまず思い浮かびます。クラリネットではマイヤーですね。そのオーケストラの序奏は、これから始まる音楽に対する期待を最高潮に引き上げるような、颯爽として覇気のある演奏だったと記憶しています。このアバドの演奏は、テンポなど似ているのですが、何かが突き抜けない感じがします。それは、アバドの晩年の境地ということなのかもしれませんが…。

 

とまぁ、そんなことを気にしながら聴いていたのでした。クラリネットのカルボナーレは好演だと思います。

 

【録音に関して】

オーケストラの音が自然で申し分ないです。

 

【まとめ】

病魔から復活してからのアバドの演奏は、基本的な所は何も変わっていないように思いつつも、受かる感じが変わったかな?と思いました。それはもしかしたら素晴らしい音楽になっているのかもしれませんが、今のところ私はよくわからないでいます。オーケストラの違いはもちろんあると思います。

 

購入:2014年、鑑賞:2023/12/02

最近リリースされた新譜から ㉕

la dolce voltaの新譜です。このレーベルは分厚いブックレットにCDが入っている形なので、ちょっとした豪華本?を入手したイメージで、大好きです。なかなかいいコンセプトだと思います。内容も思わず素晴らしい演奏に出会う事も幾つかありました。今回はフォーレのチェロとピアノの作品集です。

ガブリエル・フォーレ没後100年①

今年は、フォーレの没後100年にあたります。今年がアニバーサリーの作曲家の一人ですね。命日は11月4日です。今年は少しだけ意識して聴いてみましょう。どちらかというと、癒される音楽というイメージです(笑)。

【CDについて】

作曲:フォーレ

曲名:チェロ・ソナタ第1番ニ短調 op109 (18:57)

   エレジーハ短調 op24 (6:48)

   セレナード op98 (3:03)

   シシリエンヌ op78 (3:31)

   子守歌 op16 (3:29)

   ロマンス op69 (3:30)

   蝶々 op77 (2:46)

   チェロ・ソナタ第2番ト短調 op117 (16:47)

   夢のあとに op7-1(カザルス編) (2:58)

演奏:フィリップス (vc)、ティベルギアン(p)

録音:2023年1月2-4日 メス音楽都市 シテ・ミュジカル=メス

CD:LDV 102 (レーベル:la dolce volta、販売:キングインターナショナル)

 

【曲について】

フォーレのチェロ・ソナタは2曲とも、その晩年に作曲されました。とは言っても、フォーレの室内楽曲はかなりの部分が晩年に作曲されていて、ことさらこの曲を取り上げて、晩年の境地云々という言葉で表現するには当たらないかもしれません。室内楽曲はフォーレの器楽曲の中では編成の大きい方になり、規模の大きい純粋な器楽曲という意味では、交響曲や協奏曲は未完に終わっています。管弦楽曲は一部の標題音楽があるくらいなので、ピアノ、声楽、室内楽、劇音楽を中心とした構成がフォーレの作品のイメージとなっていると思います。

 

【演奏について】

フォーレの室内楽は、美しいメロディに満ちているので、いつも聴くのが楽しみです。この演奏は、どちらかと言うと、穏やかな暖かい演奏だと思いました。ブックレットの記載内容から連想すると、かつて演奏者の子供時代の家庭には、いつもフォーレが流れていたという風に書かれていますが、それから考えても、この演奏も普段流れている音楽の雰囲気という風に感じられます。第1番のソナタの第二楽章が美しいことを再認識しました。とてもシンプルな美しさだと思いました。そのあとのエレジーは、逆に濃厚なイメージを持った演奏でした。蝶々は、その花から花へと羽ばたく様子を面白いと思いました。

 

第1番と第2番の間に6曲の小品を挟んでの収録となっています。なかなか面白い趣向だと思いますが、CDで繰り返し聴いていると、真ん中の小品集を聴いているうちにお腹いっぱいになって、なかなか第2番に行きつきません。コンサートなら、こういった配置は面白いかもしれないと思いました。最後は、「夢のあとに」で、これはアンコールということですね。演奏は全体として、チェロの、穏やかによく歌うものだと思います。

 

これらの2曲のチェロ・ソナタや、小品集を聴いていると、フォーレの曲は、第二楽章から構想されているのではないかと感じました。実際この二曲も第二楽章が先に書かれ、最後に第三楽章という順番に書かれたとあります。この2曲の第二楽章は、いずれも美しい歌があり、これらの小品集にも独立した曲として入りそうです。そういうことを感じさせられるのも、このCD構成の面白さかもしれないと思いました。

 

【録音について】

穏やかな感じがする美しい録音です。

 

【まとめ】

今年は、フォーレの没後100年ということで、今まで聴いていたフォーレの音楽のおさらいや、あまり聴かなかったピアノ曲や歌曲への挑戦など、いい機会ではないかな?と思いました。

 

購入:2023/12/06、鑑賞:2024/01/13

 

フォーレ作品の過去記事です。意外と聴いてなかったみたいです。

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:モーツァルト

曲名:レクイエムニ短調 K626 (51:52)

演奏:カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

   トモワ=シントウ(s)、ミュラー=モリナーリ(a)、コウル(t)、ブルシュラーゼ(bs)

   ウィーン楽友協会合唱団

録音:1986年5月26-6月1日 ウィーン ムジークフェラインザール

CD:POCG-1203(レーベル:DG、発売:ポリドール)

 

【曲について】

モーツァルトは自らが死へと向かう病床にあって、匿名の依頼主によるこのレクイエムを作曲し続けていました。モーツァルトは最後まで、ベッドでジュースマイヤーにレクイエムについての作曲指示をし、臨終の際には口でレクイエムのティンパニの音をあらわそうとするかのようだった、とコンスタンツェの妹のゾフィーは書き記しています。

 

【演奏について】

カラヤンのレクイエムです。今でもどんどん趣向をこらした新録音が出てくるこの曲にあって、既に影が薄くなりつつあるかもしれません。勿論発売当時は話題にはなりましたし、今でも聴かれ続けてはいると思います。私も、カラヤンの演奏がレクイエムを聴くのに最適かというと、疑問視するところもありますが、ベルリン・フィルと仲違いをした後の、ウィーン・フィルとのレクイエムの録音。一度は聴いておきたいと思いました。

 

この演奏は、比較的ゆっくりと穏やかにスタートしました。カラヤンですので、演奏自体に加えて録音バランスなども含めて全体を意図して作っていると思います。まず思ったのは、合唱が目立たないことに対して、オーケストラが強く聞こえること。合唱は漂う雲のような感じで、極端に言えば雰囲気づくりみたいな感じで流れています。そして、その前でウィーン・フィルが、比較的強いニュアンスをつけて演奏されています。きっとこれはカラヤンの意図したバランスだと思いました。

 

概ねこういった基調ですが、曲によってそれぞれの個性を強調して演奏されていると思いました。あと、ソロが弱いとも感じます。全体の音作りと意図するレクイエムの表現も含めて、個性の強い歌手を選ばなかったのでは?と思ったりしますが、それにしても…という感じがしました。ラクリモサの入りが意外とあっさりしていて、ちょっと肩透かしだったのも感じたところです。そしてこのあたりから、全体的にスピードが速くなっているなと感じました。

 

一方で、ウィーン・フィルの美しい音を強調した効果はよく出ていますし、ラストも、堂々たる感じにきまっていたと思います。細かなニュアンスなど、いろいろと聴きどころ満載なので、すっかり演奏に聴きいっていた、というのも事実です。さすがカラヤンだと思いました。結果的に、とても楽しく聴かせていただきました。

 

【録音について】
上記のように、合唱がはっきりしない感じがあるとともに、大音量のところなどクリアでない部分があるように思いました。

 

【まとめ】

いろいろと毀誉褒貶はありますが、今となってはカラヤンの演奏も懐かしく感じます。晩年にはウィーン・フィルとの録音が多くなっていますが、この組合せは素晴らしい演奏も多いので、今更ながら、もっと聴いてみたいなと思うところもあるのでした。

 

購入:2023/12/27、鑑賞:2024/01/10

 

レクイエムの過去記事リンクです。

 

 

1月はメンデルスゾーンで ③

今回は、たまたまゲットした、メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲です。メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲は2曲ですので、これが全集ということになりますが、他に元々第1番のために書かれて、差し替えられたメヌエットがあるようですね。メンデルスゾーンの室内楽に耳を傾けて見ましょう。

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:弦楽五重奏曲第1番イ長調 op18 (29:21)

   弦楽五重奏曲第2番変ロ長調 op87 (29:48)

演奏:パスカル四重奏団、ゲルハルト(va)

録音:1953年 (M)

CD:fr 1241(レーベル:forgotten records)

原盤:Concert Hall Society CHS1172 (板起し:CD-R)

 

元のLPのジャケットです。ネット上からお借りしました

 

【曲に関して】

メンデルスゾーンの弦楽五重奏は2曲あります。第一番はメンデルスゾーンが17歳の時に一応完成されますが、6年後に友人の死にあたって作曲された「弦楽五重奏のためのアンダンテ」によって、メヌエットが差し替えられ、最終形となっています。第2番は、円熟期の36歳の時の作品で、過労で静養中のフランクフルトで作曲されています。早すぎる死の2年前のことでした。

 

【演奏についての感想】

パスカル四重奏団は20世紀の中盤に活躍したフランスの名カルテットで、ORTF四重奏団の名義となって膨大な録音を残しているカルテットです。ベートーヴェンやモーツァルトの全集をはじめ、その録音は枚挙に暇がありません。そんなパスカル四重奏団の演奏は、コンサートホール盤に多く残されていますが、これはその中の1枚をフランスの埋もれた録音を発掘するCD-Rレーベル「forgotten Recoeds」が板起しをしたもの。それも大変状態のいい音で再現されており、これが1950年代のモノラル録音なのかと思うほど、耳を疑うようなものでした。聴けるだけでもありがたいですね。

 

さて、メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲は聴くのが初めてではないかと思います。雰囲気は、メンデルスゾーンの他の室内楽と同じで、全体的に楽しく暖かなメロディを感じます。第一番の方は、八重奏曲と同じ時期にまず書かれて、数年後に第二楽章が差し替えられたとのことですが、溌剌とした音楽を聴くことができますし、円熟の時代の第2番の方は、更に一回りパワーアップした感じですが、基調はあまり変わらないようです。第一楽章の冒頭は下の動画にあるように颯爽とした音楽、第2楽章にスケルツォがあって、第三楽章のアダージョは低音に支配された感じのする緩徐楽章。これはなかなかですね。第四楽章も厚みのある見事なフィナーレでした。弦楽四重奏にヴィオラが加わった形で、暖かく深みも増した、素晴らしい室内楽を聴くことができました。

 

パスカル四重奏団の演奏は、尖ったところがなく、大変明るくて暖かく、充実した音色で穏やかな雰囲気の五重奏を聴かせてくれます。激情的な四重奏を演奏する団体もありますが、よく調和してバランスのいい室内楽を聴かせてくれる、往年の名カルテットだと思いました。メンバー間の調和や掛け合いも見事だと思います。数年前ArsNovaから32枚組のCDとか出ましたが、頑張って聴くと、いい演奏で世の弦楽四重奏をかなり網羅できますね…。

 

テツラフとべルリンフィル団員による弦楽五重奏曲第2番の冒頭。迫力のある演奏です。

 

【録音に関して】

もともとがしっかりした録音のLPだと思いますが、素晴らしい板起しだと思います。塔所のモノラル録音とは思えないような音質で聴くことができます。

 

【まとめ】

メンデルスゾーンの室内楽を2週続けて聴きました。第6番には届きませんでしたが、それは出来るだけ早くという課題として、来週からは他の分野を聴きたいと思います。

 

購入:2023/12/27、鑑賞:2024/01/04

 

当ブログからの関連記事です

 

 

 

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:交響曲第9番ハ長調 D944 (61:16)

演奏:グッドマン指揮、ハノーヴァー・バンド

録音:1989年9月11-13日 Tooting All Saints

CD:NI 5222(レーベル:Nimbus Records)

 

【曲に関して】

この「ザ・グレイト」は、繰り返しの多い曲ですね。その繰り返しを、採用するか省略するかは演奏家の考え方にもよるところではありますが、HIPでは当然採用する方向に行くのではないかと思います。採用したときにどういった演奏になるのかも、この曲の演奏の印象を左右するところだと思ったりします。

 

【演奏についての感想】

今年の初グレイトを聴いてみました。いつも聴いている感じなので、新鮮さは少々欠くのですが、やはり年初にあたり一枚聞いておこうとという算段です。今回は、グッドマンの指揮によるハノーヴァー・バンドの演奏。1980年に創設された古楽器オーケストラで、聴くのは初めてではありますが、一時期名前をよく見かけた記憶があります。バロックというよりは、古典派・ロマン派あたりが主なレパートリーなんですかね…。

 

ハノーヴァー・バンドの演奏、最初の序奏は少々ふらふらっとした感じがしたものの、極めてオーソドックスに演奏していっていると思いました。テンポやニュアンスもモダンオーケストラと似た感じで、ただただ響きだけがちょっと違っているというイメージでした。盛り上がるところはしっかり盛り上げて、迫力のある演奏をしています。繰り返しは実行されていますが、盛り上がりの少ない個所は、同じような雰囲気が続いて、少々長さを感じたりしました。音は金管がよく出ていますが、木管楽器が真ん中で残響のせいかぼやけ気味な気がしました。きわめてオーソドックスに演奏されているのですが、一方で、古楽器を使うという大変さはあるのではと思いました。

 

というのが聴いた感想ですが、古楽器の音もなかなか新鮮で楽しめました。ハノーヴァー・バンドは、ベートーヴェンやシューベルトの初の古楽器による交響曲全集を出したオーケストラですかね??その後、J.C.バッハの全曲録音なども手がけているのですね。HIPのオーケストラの基本的精神が、歴史的な考証による学究的なところだとすれば、その方向性をしっかり追求しているということでしょうか。イギリスの古楽器集団はこの傾向が大きいのかな??とか色眼鏡で見つつ、結論はありませんが、改めてこういった録音の意義や、そこに何を聴くべきかなどと考えてみるのでした。

 

【録音に関して】

古楽器の音がよく捉えられていて、面白く聴ける録音だと思います。ただ、残響が多めなのか、ちょっともやっとする部分も感じました。

 

【まとめ】

まずは、とりあえず今年初のグレイトです。HIPなので、どんなのかな?と思ったのですが、意外とスタンダードだったのでした。今後もグレイトはたまに登場しますので、よろしくお願いします。

 

購入:2023/12/23、鑑賞:2024/01/03

 

このブログから、グレイトの記事をリンクしました。もっとありますが、厳選5本(笑)。

 

 

 

 

 

 

ショスタコーヴィチの時代 ㉕

先週は、弦楽四重奏曲第1番の記事をアップしましたが、今週は引き続きその、弦楽四重奏曲第1番の弦楽合奏版です。交響曲第14番の初演者でもあるバルシャイは、ショスタコーヴィチとの親交も深く、5曲の弦楽四重奏曲の合奏版の編曲を行いました。そして、これらは独立した曲としても大変すばらしいものになっています。今回は、2枚組に5曲収められたCDの、op49が入っている方を聴いてみます。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)

曲名:室内交響曲ハ長調 op49a (15:30)

   室内交響曲ハ短調 op110a (21:04)

   弦楽のための交響曲イ長調 op118a (26:31)

演奏:バルシャイ指揮、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団

録音:2005年 ミラノ Auditorium Verdi (ライヴ)

CD:8212(レーベル:Brilliant Classocs) 2/2CD

 

【曲と演奏について】

バルシャイの編曲版のショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は、かつては私の、いわゆるヘビロテでした。といっても、第8番と第10番のDG盤のバルシャイ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のもので聴いていました。今回はその後バルシャイ自身の指揮によって再録された、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の演奏によるものです。この2枚組のCDには、バルシャイの編曲した5曲すべてが収められています。

 

バルシャイの弦楽合奏を中心とした編曲は、弦楽四重奏曲のややもすると先鋭的な響きになりがちで、とっつきにくいところを、角が取れて大変親しみやすくした感じで、これらの曲が、いつでも気軽に楽しめる形になっています。弦楽四重奏が内面表現で、交響曲が外向きのものとするならば、よりわかりやすい形で、内面を紹介した音楽。あるいは、これはショスタコーヴィチの音楽の純音楽的な核になる部分を、広く広めた形になったのかもしれません。そういう意味ではバルシャイはショスタコーヴィチの伝道師ではないかと思ったりします。

 

室内交響曲ハ長調 op49a

弦楽四重奏の響きは固めに感じますが、この演奏は冒頭からとても柔らかな響きで、4つの楽章がコンパクトにまとまった原曲の構成感もよく出ていると思います。弦楽四重奏曲よりも当然演奏するメンバーは多いのですが、音楽はよりシンプルに聴こえます。合奏だと主旋律がより目立つからですかね?この曲を聴きながら、プロコフィエフの古典交響曲を感じました。性格は違うのですが、これはある程度政治的要請によって書かれた交響曲第5番以降の、新しいショスタコーヴィチの始まりの曲なのかもしれません。大変リラックスした古典的な流れを汲んだ音楽になっています。

 

室内交響曲ハ短調 op110a

超名曲弦楽四重奏曲の弦楽合奏版です。私はこの編曲版で親しみつつ、原曲もそのシナジーで聴いていました。交響曲第10番以降と表裏一体というイメージもありますが、この曲についてはまた機会があると思いますので、今回はこの程度で。大変思い出深い曲で、冒頭の音が流れたとたんに、これだ!という感じになる曲なのです。ショスタコーヴィチ自身のテーマである。DEsCHが何度も何度も繰り返されます。

 

この音源から、最も特徴的なop110aの第2楽章をリンクします。

 

弦楽のための交響曲変イ長調 op118a

この曲は、原曲よりもむしろ合奏版をよく聴いていたかもしれません。この時期になると、ショスタコーヴィチの音楽は、弦楽四重奏に傾斜していくようです。この曲にはかつての重要な曲のモチーフや、重要な所で登場してきたパッサカリアなどが登場します。その時期になれば、またじっくりと聴いてみたいと思います。第8番の方は、表現や感情の噴出が圧倒的ですが、音楽的な重厚さは、こちらも負けていないというか、むしろ充実度は高いくらいかもしれません。

 

いよいよ、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏の世界へと本格的に入っていきます。私はどこまでついていけるのか…?

 

購入:2023/12/27、鑑賞:2024/01/08

【CDについて】

作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第3番ニ短調 第3稿初版 (51:49)

演奏:クナッパーツブッシュ指揮、バイエルン国立管弦楽団

録音:1954年10月11日 ミュンヘン Kongresssaal des Deutschen Museums

   (ライヴ:M)

CD:C 576 021 B(レーベル:ORFEO)

 

【曲に関して】

1873年の夏、ブルックナーは交響曲第2番とこの第3番の楽譜を持ってバイロイトのワーグナー宅を訪問しました。楽譜を見たワーグナーは感動し、ブルックナーをベートーヴェンに到達する者と讃え、ブルックナーの献呈を受け入れます。しかし、その夜ワーグナー夫妻と懇談し、すっかり酔ってしまったブルックナーは、ワーグナーがどちらの交響曲の献呈を受け入れてくれたのか判らなくなってしまいました。そして、同席していた人に尋ね、このニ短調の交響曲であることを突き止めると、ワーグナーに再度確認することになったとのことです。

 

【演奏についての感想】

今年は、ブルックナーの生誕200年のアニバーサリーイヤーとなります。きっとたくさんの企画があることと思います。すべての版の録音とかも進行中のようですし、ここを目指した全集録音もあるのではないかと思います。アニバーサリーと言えば、スメタナも生誕200年ですかね。あと、没後100年であれば、フォーレとかプッチーニとか…。アニバーサリーなので、ブルックナーは月に1枚は聴くことにしましょう…。スメタナを月に1枚というのはハードルが高そうですね…(笑)。

 

さて、ブルックナーを聴くのもちょっと間が空いてしまいました。今年初のブルックナー鑑賞です。クナッパーツブッシュなので、勿論面白い演奏を期待します。クナッパーツブッシュはこの年にDECCAにウィーンフィルとのセッション録音を残していますが、これは同じ年のミュンヘンでのライブ録音ですね。第3番の第一楽章。冒頭は一気にニュアンスをつけながら盛り上げていきます。来るぞ、来るぞ、来たぁ~…という感じですかね(笑)。ちょっと早めで寸足らずな感じが無いではないですが、次に何が起こるかワクワクしつつの、アゴーギクとデュナーミクを楽しみながらの第一楽章でした。

 

演奏も後半になると、安定して盛り上がっていきます。きっとライヴならではの、引き締まった迫力が出ているのだと思います。前半は早めに感じたのですが、終楽章になると相対的にゆっくりになっていると感じます。そういえばクナッパーツブッシュで終楽章の遅いブルックナーがあったなぁと思い返しつつ、その醸し出すしっかりとした構築感を感じながらコーダを迎えました。何となく、これで今年の年初めも調ったという感じですかね(笑)…。

 

【録音に関して】

モノラルのライヴ録音なので、決していいとは言えませんが、バランスがよくて大変聴きやすい状態だと思います。特にストレスは感じませんでした。

 

【まとめ】

しばらくぶりのブルックナーな気がして、最初ちょっと戸惑ったのですが、だんだん慣れてきました。今年も折に触れてブルックナーを聴きながら、いろいろ楽しんでいきたいと思います。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2024/01/03

 

 

 

 

 

【CDについて】
作曲:ビゼー

曲名:①アルルの女 組曲第1番 (16:45)

   ②アルルの女 組曲第2番 (18:47)

   ③カルメン 組曲 (8:46)

演奏:カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1983年9月,1984年2月①②、1982年9月③

   ベルリン フィルハーモニー

CD:POCG-20013(レーベル:DG、発売:ポリグラム)

 

【曲について】

ビゼー作曲のアルルの女は、ドーデ原作の「水車小屋だより」の一編をドーデ自身が戯曲化したものにつけられた劇音楽です。劇付随音楽としてはその需要から小編成で作曲され、第1組曲に編成した際に、大編成の管弦楽作品となりました。第2組曲はビゼーの死後ギローによって編成され、有名な第3曲のメヌエットは、「アルルの女」からではなく、ビゼーの歌劇「美しきパースの娘」からとられています。

 

【演奏について】

カルメン組曲とアルルの女組曲のCDを入手したので、聴いてみようと思います。ビゼーこの曲は、このブログの記念すべき最初の曲であり、また私のクラシック歴の中で、2枚目に買ったLP(だと思っている)のがこの曲でした(マルケヴィチ指揮)。1枚目は売却して手元にありません。サージェント指揮の展覧会の絵だったと思います。(実際はこの2枚どちらを先に買ったかについて、記憶がぼやけています…)

 

カラヤンとベルリンフィルの演奏、まずは大変安定していて上手いですね…、というのが正直なところです。きっちりと美しく表現されていて、申し分ありません。ニュアンスはそれほど強くないと感じます。オーソドックスな感じです。ベルリンフィルの素晴らしさもよく出ていますね。

 

このCDはアルルの女に焦点を絞った感じとおもいますが、そうであれば、派手なカルメンの音楽とは違って、ドーデの描くプロヴァンスの世界を楽しみましょう。そう考えて聴いていくと、第二組曲のパストラーレなど、ベルリンフィルではどっしりして重すぎかな?という気もしてきます。このパストラーレはどこの田園のイメージなんでしょう…とか考えてしまった次第。そんな気がし始めると、メヌエットも重く感じました(笑)。でも、これもカラヤンとベルリンフィルの音なんでしょうね。最後は一気に盛り上げてくれました。オーケストラの迫力や、ベルリンフィルの音を聴かせる録音ですね。

 

一方でカルメンの方は、組曲と言いつつ4つの前奏曲で仕立てたスタイルになっています。ハバネラとかは入ってないですね。これはカラヤンの以前の録音のフィルハーモニア管弦楽団のEMI版も同じになっていました。いろいろな構成で録音されているカルメン組曲ですが、前奏曲4つで終わると、終曲的なものがないので、締まらないような気がする…というのがツッコミです。最後は「ジプシーの踊り」で締まってほしいですね。まぁ、前奏曲集として聴けばいいのですが…。

 

【録音について】

ベルリンフィルの音がしっかり伝えられている録音だと思います。

 

【まとめ】

安定のカラヤンの名曲演奏でした。カラヤンとベルリンフィルのスタイルでしっかりと演奏されていると思いました。この曲は、今のちょっと溜まってしまったクラシックCDのスタートなので、いつも感慨深く聴いています(笑)。

 

購入:2023/12/13、鑑賞:2024/01/02

 

 

またまた、新日本フィルハーモニー交響楽団の室内楽シリーズに行ってきました。楽員プロデューサー編ということで、今日はファゴットの首席奏者、河村幹子さんのプロデュースです。40周年と題しているのは、河村さんがファゴットを始めて40周年ということで、これまでの仲間に感謝を込めての企画とのことです。いやしかし、知っている曲が一つもないですねぇ…。さすがファゴット…。

 

「40周年~あっという間の40年。たくさんの感謝とファゴット&弦楽アンサンブルの夕べ。」Produced by 河村幹子(NJP首席ファゴット奏者)

 

◆前半
①P. F. べデッカー(編曲:山口尚人):「ラ・モニカ」によるソナタ
②P. エルサン:アルトとファゴットのための8つの二重奏曲(1995)
③F. ドヴィエンヌ:ファゴット四重奏曲 第1番 ハ長調 op. 73-1
◆後半

④J. W. カリヴォダ(編曲:山口尚人):ファゴットとピアノのためのサロン的小品 op. 230
⑤ストラヴィンスキー:名もなき歌
⑥M. スピサク:アルトとファゴットのための2重協奏交響曲
⑦ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲 イ短調 RV 499

◆アンコール

⑦ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲 イ短調 RV 499より第二楽章

 

演奏:河村幹子(fg)①②③④⑤⑥⑦、伝田正秀(vn)①④⑦、田村安紗美(vn)①③④⑦、

   瀧本麻衣子(va)①②③④⑤⑥⑦、サミュエル・エリクソン(vc)①③④⑦、

   竹田勉(cb)①④⑦

2024年1月12日 すみだトリフォニーホール

 

河村さんのトークは、ファゴットの馴初めと曲紹介。ファゴットの馴初めは、ブラームスの交響曲第3番を聴いて、オーケストラでファゴットを演奏したいと思ったとのことでした。そうなんですね。それでは、ブラームスの第3番聴いてみましょう…。曲紹介はとても丁寧なものでした。さすがに、これらの曲は紹介してもらって大変ありがたかったです。

 

前半の演奏は、べデッカーはバッハ以前のドーリア旋法の音楽。穏やかに連綿と続く感じです。そして、エルサンは現代曲。これがとても面白かった。ファゴットのリードを変えながらいろいろな音色で演奏される曲で、変幻自在。河村さんのテクニックも冴えています。印象に残ったという点では、今日イチかもしれません。ドヴィエンヌはモーツアルトの時代にフランスのモーツァルトと呼ばれた作曲家とのこと。なるほど、モーツァルトですね。いろいろな時代からの三曲。大変面白かったのでした。

 

エルサンの、「アルトとファゴットのための8つの二重奏曲」動画があったので、貼り付けてみました。世界の民俗音楽に着想した小品集で、第5曲は日本(雅楽の雰囲気)になっています。

 

後半は、ロマン派の音楽で始まります。カリヴォダは、シューマンと同時代の多作な人気作曲家だったようですが、初めて聴きます。いかにもロマン派の音楽でした。ストラヴィンスキーは短い曲で、そのままスピサクの二重奏曲に移っていきました。これが後半の聴きものだったと思います。もう少し尖がったところがあると思っていたのですが、意外と普通に聴ける作品でした。でも、面白いと思います。また、じっくり聴いてみたい曲でした。最後はヴィヴァルディでまとまりました。

 

ということで、河村さんのファゴット演奏を堪能した演奏会でした。1650年頃の作品から、1995年の作品まで、まんべんなく配置されたコンサートで、とても楽しかったと思いました。

 

さてこの記事がアップされる頃はHappy Biethday to Me です。チーン

最近リリースされた新譜から ㉔

DGより、「THE LOST TAPES」という新シリーズが始まったようです。未発表録音からのリリースということで、第1回としてルドルフ・ゼルキンの録音が発売されました。いわゆるヒストリカルと同じような性格のシリーズというイメージですが、今後どんな録音が出るのかも楽しみです。

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:①ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 op53 (26:54)

   ②ビアノ・ソナタ第23番へ短調 op57 (28:50)

演奏:R.ゼルキン(p)

録音:1986年3月 ニューヨーク SUNY Purchase Collage, Recital Hall

   1989年5-6月 バーモント Guilford Sound

CD:486 4935 (レーベル:DG)

 

【曲について】

ピアノ・ソナタ第21番は、「ワルトシュタイン」という愛称で親しまれています。これは、この曲がベートーヴェンの後援者の一人であるワルトシュタイン伯爵に献呈されたことに由来するものです。この曲にはもともと長大な第二楽章が用意されましたが、曲全体が聴きばえがしないという友人の指摘により、ベートーヴェンは現行のものに差し替えました。オリジナルの第二楽章は別に「アンダンテ・ファヴォリ」(WoO57)として出版されました。

 

【演奏について】

ここに聴くことのできるベートーヴェンのピアノ・ソナタは、ゼルキンが人生最後に録音した未発表録音ということです。1988年の最後のコンサートのあと、1991年に亡くなるまで闘病生活を送っていたゼルキンですが、この録音はゼルキンの体調悪化により、承認を得られないままとなっていました。今回のリリースは、ルドルフの娘のジュディス・ゼルキンによって承認されたもので、ブックレットの冒頭に「それは完璧ではありません。にもかかわらずこの作品は、人間であることが何を意味するのかについてのベートーヴェンの(そして父の!)深い理解を驚くほど反映しているので、共有に値するものです。そして、この演奏が80代の一人の男から生まれたことを知れば、その力強さはまさに恐るべきものです」とコメントされています。

 

第21番 ワルトシュタイン

やわらかく、ほっこりするような演奏で始まります。音が暖かく、また美しく輝いています。そして、フォルテは鋭く鳴り響き、それ以外は残響が豊かに演奏されていました。この曲は強い演奏のイメージがありましたが、ここでは美しい演奏になっています。ニュアンス豊かで感情のこもった、聴かせるピアノが展開しています。こんな美しい曲だったのかと改めて認識しました。

 

聴き進むうちに、とてもいいものを聴かせてもらっているという気持ちになります。ゼルキンの演奏の至高の境地であり、一つのピアノ演奏の芸術の頂点ともいえるのでしょう。録音も素晴らしいものです。短い第二楽章は、強い音も弱い音も、こういう音を出すという迷いのない境地で演奏されていると思いました。そして第三楽章。強靭なタッチと柔らかな中間部を過ぎ、堂々とした歩みの中からコーダへと進んでいきました。圧倒される演奏でした。

 

第23番 熱情

静かな歩みから、一気に力強く展開する強いニュアンスで、新たな感動を呼びます。ワルトシュタインよりも強いニュアンスがあり、ゼルキンのテクニックと芸術に裏付けられた演奏でした。激情と音の輝くような美しさが両方迫ってきます。人間の到達点はどこにあるのだということをついつい考えてしまいます。

 

第二楽章の主題は抑え気味な行進曲風に感じられ、何故か明るい葬送行進曲と思っているうちに変奏に入っていきました。第二楽章から第三楽章へと進み、どんどん熱量が上がっていきます。音楽あるいはテクニックのというより、感情の熱量です。こうなったら巨匠の魔力に捉われて身じろぎもできません。一つ一つのタッチに魅入られてしまうのです。

 

【録音について】

大変素晴らしい録音です。音を大きくしても安定していて、あの時代の演奏がこの音で聴けることは素晴らしいと思います。ふと、コルトーの演奏がこの音で聴けたらどんな感じだろうと考えてしまいました(笑)。

 

【まとめ】

ルドルフ・ゼルキンの最後の演奏が世に出たことになります。改めて往年の巨匠の凄さを感じるとともに、ジュディス・ゼルキンの巻頭言にも納得しました。これを聴くと自分にとってのクラシックは、1980年代までの録音で終わっていて、あとは繰り返しと確認に過ぎない…と考え込んでしまうのでした。

 

購入:2023/12/06、鑑賞:2024/01/05

 

ベートーヴェンのピアノ・ソナタに関連する過去記事です。