1月はメンデルスゾーンで ③
今回は、たまたまゲットした、メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲です。メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲は2曲ですので、これが全集ということになりますが、他に元々第1番のために書かれて、差し替えられたメヌエットがあるようですね。メンデルスゾーンの室内楽に耳を傾けて見ましょう。
【CDについて】
作曲:メンデルスゾーン
曲名:弦楽五重奏曲第1番イ長調 op18 (29:21)
弦楽五重奏曲第2番変ロ長調 op87 (29:48)
演奏:パスカル四重奏団、ゲルハルト(va)
録音:1953年 (M)
CD:fr 1241(レーベル:forgotten records)
原盤:Concert Hall Society CHS1172 (板起し:CD-R)
元のLPのジャケットです。ネット上からお借りしました
【曲に関して】
メンデルスゾーンの弦楽五重奏は2曲あります。第一番はメンデルスゾーンが17歳の時に一応完成されますが、6年後に友人の死にあたって作曲された「弦楽五重奏のためのアンダンテ」によって、メヌエットが差し替えられ、最終形となっています。第2番は、円熟期の36歳の時の作品で、過労で静養中のフランクフルトで作曲されています。早すぎる死の2年前のことでした。
【演奏についての感想】
パスカル四重奏団は20世紀の中盤に活躍したフランスの名カルテットで、ORTF四重奏団の名義となって膨大な録音を残しているカルテットです。ベートーヴェンやモーツァルトの全集をはじめ、その録音は枚挙に暇がありません。そんなパスカル四重奏団の演奏は、コンサートホール盤に多く残されていますが、これはその中の1枚をフランスの埋もれた録音を発掘するCD-Rレーベル「forgotten Recoeds」が板起しをしたもの。それも大変状態のいい音で再現されており、これが1950年代のモノラル録音なのかと思うほど、耳を疑うようなものでした。聴けるだけでもありがたいですね。
さて、メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲は聴くのが初めてではないかと思います。雰囲気は、メンデルスゾーンの他の室内楽と同じで、全体的に楽しく暖かなメロディを感じます。第一番の方は、八重奏曲と同じ時期にまず書かれて、数年後に第二楽章が差し替えられたとのことですが、溌剌とした音楽を聴くことができますし、円熟の時代の第2番の方は、更に一回りパワーアップした感じですが、基調はあまり変わらないようです。第一楽章の冒頭は下の動画にあるように颯爽とした音楽、第2楽章にスケルツォがあって、第三楽章のアダージョは低音に支配された感じのする緩徐楽章。これはなかなかですね。第四楽章も厚みのある見事なフィナーレでした。弦楽四重奏にヴィオラが加わった形で、暖かく深みも増した、素晴らしい室内楽を聴くことができました。
パスカル四重奏団の演奏は、尖ったところがなく、大変明るくて暖かく、充実した音色で穏やかな雰囲気の五重奏を聴かせてくれます。激情的な四重奏を演奏する団体もありますが、よく調和してバランスのいい室内楽を聴かせてくれる、往年の名カルテットだと思いました。メンバー間の調和や掛け合いも見事だと思います。数年前ArsNovaから32枚組のCDとか出ましたが、頑張って聴くと、いい演奏で世の弦楽四重奏をかなり網羅できますね…。
テツラフとべルリンフィル団員による弦楽五重奏曲第2番の冒頭。迫力のある演奏です。
【録音に関して】
もともとがしっかりした録音のLPだと思いますが、素晴らしい板起しだと思います。塔所のモノラル録音とは思えないような音質で聴くことができます。
【まとめ】
メンデルスゾーンの室内楽を2週続けて聴きました。第6番には届きませんでしたが、それは出来るだけ早くという課題として、来週からは他の分野を聴きたいと思います。
購入:2023/12/27、鑑賞:2024/01/04
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