【再発売】シューベルト:交響曲第9番ハ長調 アルヘンタ指揮 セント・ソリo (1957) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
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その時の印象を大切に。

最近リリースされた新譜から ⑭

今回の新譜は、旧譜の復刻版を思わず買ってしまいました。これです(笑)。私はシューベルトのグレイトには目が無いのですが、これはアルヘンタの事故死の2ヶ月前に残されたセッション録音とのこと。特に初CD化とかいう事ではないみたいですね。1957年11月の録音で、オーケストラはパリの名手たちの臨時編成のものです。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:交響曲第9番ハ長調 D944 (49:44)

演奏:アルヘンタ指揮 セント・ソリ管弦楽団

録音:1957年11月、パリ Salle Wagram

CD:LBCDR-1037 CD-R

   (レーベル:LEBHAFT、原盤:Le Club Français Du Disque、

    発売:アインザッツレコード)

原盤LPレコード:Omega Disc、OSL-12

 

【曲と演奏について】

まずは、この録音に関してですが、製作はフランス・ブック・クラブ(Le Club Français Du Livre)のレコード部門である、Le Club Français Du Disqueだと思います。アルヘンタは最晩年に、このレーベルにセント(チェント)・ソリ管(パリ音楽院管弦楽団やラムルー管弦楽団などのメンバーを集めた録音用の団体)にいくつかのステレオ録音を残しています。

 

そしてこのCDは、板起しのCDーRです。元になったLPは、アメリカのOmega Diskのもので、ジャケットもOmega Diskのものが採用されています。このあたりのLPは、ものによっては、探せば入手できないことは無いと思いますが、マニアックな分野ですね。首を突っ込めばドロドロの世界に入りそうなので、とりあえず敬して遠ざけております(笑)。

 

さて、楽しみに聴いてみます(笑)。いきなり、明るい音色のホルンですねぇ。そして、弦も明るめで、細かなニュアンスは少なめです。ちょっとぎこちないですが、あっさりした感じで、全体の流れの中で雰囲気を出していきます。細部まで丁寧に積み上げられた、輪郭がはっきりした演奏に感じます。主部に入っていくと、テンポがとてもいい感じです。そして進むにつれて、だんだんリズムに乗って、颯爽とした演奏になっていきました。第一楽章を最後まで聴くと、爽やかさが感動的です。

 

第二楽章もご機嫌なテンポの、メリハリのある演奏です。ただし、ずっと突っ走る感じなので、ちょっと淡白に感じるところがないではないかな…。第三楽章も同様にテンポ良く、歯切れよく進んでいきます。なかなか、キレのいい演奏ですね。第四楽章は、気持ちじっくり落ち着いて進んでいく感じがしました。その分悠然とした雰囲気もあります。全体的には、見通しがよく、メリハリが効いているところは変わりません。アルヘンタの演奏は、あまりためを作らず、ニュアンスをつけないので、あっさり流れていった感じはありますが、気持ちの良い演奏でした。いにしえの録音といっても、1957年のステレオ録音ですが、めったに聴かない部類の演奏なので、なかなか楽しかったです。

 

録音は、板起しで暖かい感じの音ですが、当時の録音や、当時のレコードの限界を感じるところもありました。特に強奏部は限界を感じます。個々の音の迫力は十分感じますが、厚みという意味ではさすがに…と思いました。

 

たまに、こういう演奏を楽しみたいですね…と思いました(笑)。

 

購入:2023/11/10、鑑賞:2023/11/10