ブラームス:クラリネット・ソナタ第1番 第2番 キング(cl) ベンソン(p) (1984) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
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その時の印象を大切に。

秋に聴くブラームス②

ブラームスに秋を感じましょう。これは、ブラームスが最後に作曲したソナタ。今日は、木枯らしの吹いた日。ブラームスの晩秋を重ねます。

【CDについて】

作曲:ブラームス

曲名:クラリネット・ソナタ第1番へ短調 op120-1 (21:45)

   クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調 op120-2 (20:41)

演奏:キング(vn)、ベンソン(p)

録音:1984年9月17-19日

CD:CDA66202(レーベル:Hyperion、販売:Hyperion Records)

 

【曲について】

ブラームスのクラリネット・ソナタは、晩年の一連のクラリネット作品の最後の曲であり、ブラームスの作品は、これ以降は聖書からの歌曲とオルガン曲を残すだけとなります。室内楽としてもソナタとしても、最後の作品となった曲です。初演に先立って、クララ・シューマンとヨアヒムの前で私的な演奏が行われたようですが、第1番の冒頭はクララ・コードのようですね。

 

【演奏について】

このCDを買ったのはいつのことかは忘れたのですが、きっと1990年代だと思います。ヴィオラ・ソナタは聴いたことがあって、けっこう気にいっていたので、本家のクラリネット・ソナタが聴きたかったのだと思います。そして、CDショップ(たぶん石丸電気)で見つけた、ジャケットのエングストレン湖の絵に惹かれて買ったのだと思います。その後このクラリネットのCDが大変気にいって、それ以来ずっと聴き続けているのです。演奏しているのはシア・キングさんで、イギリス室内管弦楽団の首席奏者などを努められた方ですね。

 

時々思い出したように聴いているのですが、今日は、晩秋を思わせる秋の日に聴いてみます。第1番の冒頭は、もちろん何度も聴いた曲で、しっかりしたブラームスの晩年の素晴らしいソナタです。でも、この曲の圧巻は第2楽章で、大変シンプルでかつ美しい音楽だと思います。ブラームスの晩秋ということに思いを馳せれば、あまりにも美しすぎる諦観をここに聞くことができます。第三楽章は一転明るい雰囲気。第二楽章と続けて聴くと、晩年のブラームスの人類への美しいく暖かい応援であり讃歌ではないかと思ってしまいます。そして、第四楽章明るく快活な音楽となって終わります。

 

そして、第2番は明るいメロディで始まります。第1番よりはピアノが活躍する曲だと思います。そのピアノは優しい音で雰囲気を包んでいます。第二楽章はスケルツォ的楽章で、これもピアノが目立ちますが、主部とトリオの対比が鮮やかです。明るく展開しながらも静かに曲を閉じます。最後は第三楽章。ブラームスが最後に書いた器楽曲です。穏やかでもの静かな曲調の主題にによる変奏曲。一歩一歩立ち止まるような変奏もあったかと思えば、思い出したわうに快活なパッセージを奏で、最後は大きく盛り上がって終止符を打ちました。

 

シア・キングさんと、クリフォード・ベンソンさんの演奏は、落ち着いていてとても雰囲気がいいのです。クラリネットの哀感を湛えた音色と枯れた境地を思わせる演奏に、ベンソンさんのサポートが素晴らしいと思います。

 

【録音について】

アナログ録音で、ちょっと音が曇った感じがしますが、それもまた良しという感じです。

 

【まとめ】

秋のブラームスにどっぷり浸かってしまいました(笑)。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/13

 

10月28日(土)に土合から清水峠に登った時の光景。湯檜曽川の清流と紅葉です。