【CDについて】
作曲:モーツァルト
曲名:①クラリネット協奏曲イ長調 K622 (26:42)
②フルート協奏曲第2番ニ長調 K314 (18:45)
③ファゴット協奏曲変ロ長調 K191 (16:41)
演奏:カルボナーレ(cl)、ズーン(fl)、サンタナ(fg)
アバド指揮、モーツァルト管弦楽曲
録音:2006年5月 ボローニャ Teatro Manzoni①
2006年9月 ボルツァーノ Auditorium②
2009年6月 ボローニャ Teatro Manzoni③
CD:477 9331(レーベル:DG)
【曲に関して】
モーツァルトのクラリネット協奏曲は、モーツァルトの最晩年に、友人でクラリネットの名手であったシュタードラーのために書かれました。モーツァルトは、当時はまだ新しい楽器であったクラリネットの、低音域、中音域、高音域で音色の変わる特徴を捉えて効果的に鳴り響かせ、美しい作品に仕上げています。
【演奏についての感想】
モーツァルトのクラリネット協奏曲は、晩年の作品ということで、そういった雰囲気を求めてしまいますが、35歳という年齢からは晩年と言えるかどうか…。そして、実際のところモーツアルトの死について決定的な結論に至っていないのが実情のようです。実際この曲を聴いても、そういった事の関連性よりは、高い次元に発展していたモーツァルトの最後の協奏曲という見方かな?という気がしています。
アバドのこのCDについて思い出すのは、アバドの死が伝えられてすぐに、残された録音ということで発売になったような記憶があるのですが、それはたまたまリリース時期と重なったという事ですよね、きっと。アバドはベルリン・フィル退任以降は、このモーツアルト管など自身が創設した若手中心のオーケストラを中心にして活動していました。
そんなCDなのですが、私はずっと、この演奏に今一つ馴染めないでいます。アバドは協奏曲の指揮に立った時に、名だたる独奏者のパートナーとして数々の名演を残しています。モーツァルトではグルダやピリスがまず思い浮かびます。クラリネットではマイヤーですね。そのオーケストラの序奏は、これから始まる音楽に対する期待を最高潮に引き上げるような、颯爽として覇気のある演奏だったと記憶しています。このアバドの演奏は、テンポなど似ているのですが、何かが突き抜けない感じがします。それは、アバドの晩年の境地ということなのかもしれませんが…。
とまぁ、そんなことを気にしながら聴いていたのでした。クラリネットのカルボナーレは好演だと思います。
【録音に関して】
オーケストラの音が自然で申し分ないです。
【まとめ】
病魔から復活してからのアバドの演奏は、基本的な所は何も変わっていないように思いつつも、受かる感じが変わったかな?と思いました。それはもしかしたら素晴らしい音楽になっているのかもしれませんが、今のところ私はよくわからないでいます。オーケストラの違いはもちろんあると思います。
購入:2014年、鑑賞:2023/12/02