最近リリースされた新譜から ㉕
la dolce voltaの新譜です。このレーベルは分厚いブックレットにCDが入っている形なので、ちょっとした豪華本?を入手したイメージで、大好きです。なかなかいいコンセプトだと思います。内容も思わず素晴らしい演奏に出会う事も幾つかありました。今回はフォーレのチェロとピアノの作品集です。
ガブリエル・フォーレ没後100年①
今年は、フォーレの没後100年にあたります。今年がアニバーサリーの作曲家の一人ですね。命日は11月4日です。今年は少しだけ意識して聴いてみましょう。どちらかというと、癒される音楽というイメージです(笑)。
【CDについて】
作曲:フォーレ
曲名:チェロ・ソナタ第1番ニ短調 op109 (18:57)
エレジーハ短調 op24 (6:48)
セレナード op98 (3:03)
シシリエンヌ op78 (3:31)
子守歌 op16 (3:29)
ロマンス op69 (3:30)
蝶々 op77 (2:46)
チェロ・ソナタ第2番ト短調 op117 (16:47)
夢のあとに op7-1(カザルス編) (2:58)
演奏:フィリップス (vc)、ティベルギアン(p)
録音:2023年1月2-4日 メス音楽都市 シテ・ミュジカル=メス
CD:LDV 102 (レーベル:la dolce volta、販売:キングインターナショナル)
【曲について】
フォーレのチェロ・ソナタは2曲とも、その晩年に作曲されました。とは言っても、フォーレの室内楽曲はかなりの部分が晩年に作曲されていて、ことさらこの曲を取り上げて、晩年の境地云々という言葉で表現するには当たらないかもしれません。室内楽曲はフォーレの器楽曲の中では編成の大きい方になり、規模の大きい純粋な器楽曲という意味では、交響曲や協奏曲は未完に終わっています。管弦楽曲は一部の標題音楽があるくらいなので、ピアノ、声楽、室内楽、劇音楽を中心とした構成がフォーレの作品のイメージとなっていると思います。
【演奏について】
フォーレの室内楽は、美しいメロディに満ちているので、いつも聴くのが楽しみです。この演奏は、どちらかと言うと、穏やかな暖かい演奏だと思いました。ブックレットの記載内容から連想すると、かつて演奏者の子供時代の家庭には、いつもフォーレが流れていたという風に書かれていますが、それから考えても、この演奏も普段流れている音楽の雰囲気という風に感じられます。第1番のソナタの第二楽章が美しいことを再認識しました。とてもシンプルな美しさだと思いました。そのあとのエレジーは、逆に濃厚なイメージを持った演奏でした。蝶々は、その花から花へと羽ばたく様子を面白いと思いました。
第1番と第2番の間に6曲の小品を挟んでの収録となっています。なかなか面白い趣向だと思いますが、CDで繰り返し聴いていると、真ん中の小品集を聴いているうちにお腹いっぱいになって、なかなか第2番に行きつきません。コンサートなら、こういった配置は面白いかもしれないと思いました。最後は、「夢のあとに」で、これはアンコールということですね。演奏は全体として、チェロの、穏やかによく歌うものだと思います。
これらの2曲のチェロ・ソナタや、小品集を聴いていると、フォーレの曲は、第二楽章から構想されているのではないかと感じました。実際この二曲も第二楽章が先に書かれ、最後に第三楽章という順番に書かれたとあります。この2曲の第二楽章は、いずれも美しい歌があり、これらの小品集にも独立した曲として入りそうです。そういうことを感じさせられるのも、このCD構成の面白さかもしれないと思いました。
【録音について】
穏やかな感じがする美しい録音です。
【まとめ】
今年は、フォーレの没後100年ということで、今まで聴いていたフォーレの音楽のおさらいや、あまり聴かなかったピアノ曲や歌曲への挑戦など、いい機会ではないかな?と思いました。
購入:2023/12/06、鑑賞:2024/01/13
フォーレ作品の過去記事です。意外と聴いてなかったみたいです。