ブルックナー:交響曲第4番 クナッパーツブッシュ指揮 ベルリン・フィル (1944) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー③~

第3回:ハンス・クナッパーツブッシュ

クナッパーツブッシュと言えば、戦前から戦後にかけてヨーロッパで活躍した押しも押されぬ伝説の大指揮者ですね。私は、かつて古い録音をあまり聴かなかったのと、クナッパーツブッシュの核心であるワーグナー、ブルックナーをあまり聴いていなかったので、今一つ馴染みが無かったのですが、ブルックナーを聴くようになって、多少聞きかじっております。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第4番変ホ長調 第3稿初版 (60:37)

演奏:クナッパーツブッシュ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1944年3月10日、バーデン=バーデン

   (CD表記は、1944年9月8日で、長らくこの日のものと考えられてきた。)
CD:ARPCD 0044(レーベル:ARCHIPEL)

 

【曲について】

2週連続の登場です。人気曲だけあって録音が多いので、ついこうなりますね。この曲は版がいろいろあって、現在最も頻繁に演奏されるのは第2稿ハース版・ノヴァーク版です。しかし、このハース版の成立は1944年のこと、ここで演奏されている第3稿は、それ以前の演奏の主流で、往年の名指揮者たちは、この第3稿によるものが多く残されています。ブルックナー監修の元、弟子たちが改訂に取り組んだと言われるこの版は、この曲の最初に出版された稿でもあったのです。

 

【演奏について】

クナッパーツブッシュは、まずはロマンチックな表情をつけて、聴かせる指揮者という印象。直観に頼り。楽員の自発性を重視し、その人間的魅力によっても愛された指揮者と言われています。そういった芸風ですので、スタジオでの録音芸術にはあまりなじまず、ライヴでの一期一会の名演奏がたくさん残されています。このCDは1944年という戦時下で、放送局によって録音された無観客の放送用録音で、たくさんの種類のLPやCDが発売されました。クナッパーツブッシュは当時ドイツ国内で活躍していましたが、ナチス政権と迎合していた訳ではなく、あくまでもドイツに深く根差した芸術家であったということです。

 

まずは、1944年という録音年から想像する音質よりは、遥かにいい音が流れてきます。当時のドイツの録音技術の高さがうかがえます。演奏は、これも想像するような、極端に大きなニュアンスをつけたものではなく、ある程度はノーマルなのですが、それでもアゴーギクは各所で力を発揮しており、大きな起伏でダイナミックな音楽が出来上がっています。納得感のある雄大な表現は、放送用録音という状況の中にあって、クナッパーツブッシュの芸術がよく表現されているのではないでしょうか。

 

これまで、数枚のクナッパーツブッシュのブルックナーの演奏を聴いただけなのですが、どれも大変面白いものでした。自身の雄大な芸術を聴かせ、オーケストラと一体となって、観客とともに感動の極みに駆け上がるというイメージかと思います。クナッパーツブッシュは、どちらかというとウィーン・フィルとの繋がりが強いイメージですが、ここではフルトヴェングラー時代のベルリン・フィルを指揮しています。オーケストラも質の高い美しい音で、クナッパーツブッシュの演奏を盛り上げていると思います。

 

【録音について】

戦時中の録音のモノラルですが、素直な音で、鑑賞には問題のない音質と思います。

 

【まとめ】

クナッパーツブッシュの雄大でロマンティックなブルックナーは、数は聴いていないのですが、時々聴いてみたくなります。手元にまだ聴いていないCDも1枚ありますので、近いうちにまた聴いてみようと思います。

 

購入:2013/03/09、鑑賞:2023/09/10(再聴)