【CDについて】
作曲:モーツァルト
曲名:レクイエム ニ短調 K626 (46:19)
キリエ ニ短調 K341 (7:35)
演奏:ガーディナー指揮 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
モンテヴェルディ合唱団
ボニー(s)、オッター(a)、ブロホヴィッツ(t)、ホワイト(bs)
録音:1986年9月①、1986/11② ロンドン
CD:420 197-2(レーベル:PHILIPS)
【曲について】
モーツァルトのレクイエムは、モーツァルト自身の絶筆となった曲で、ラクリモーサの8小説までが書かれたところで、他界しました。ただし、9曲目以降について、モーツァルトが書いていなかったわけではなく、先に作曲された部分もあるので、曲順と絶筆となった部分は合致していないようです。
【演奏について】
いつ聴いても、どういった演奏で聴いても、素晴らしい感動を残す、モーツァルトのレクイエム。気になるCDがあったら、ついつい手を出してしまいます。今日は最近入手した、ガーディナー盤で聴いてみます。
入祭唱、レクイエム・エテルナムが静かに始まります。演奏は、少し明るめの音で、穏やかに進んでいきます。イングリッシュ・バロック・ソロイスツとモンテヴェルディ合唱団の奏でる音色は、とても柔らかで穏やかです。キリエは激しい音楽ですが、素晴らしいアンサンブルが聴かれました。管楽器のアクセントが効果的です。続唱にはいって、ディエス・イレは、弦楽器を中心とした、古楽器らしい演奏がとても効果的で素晴らしいと思いました。
トゥーバ・ミルム、トロンボーンのソロと歌手たちの競演です。このレクイエムは、一つ一つの曲に、いろんな見せ場が作られています。ソロの歌手陣の静かな名唱が楽しめる場面のレコルダーレを過ぎると、この曲のドラティックな核心部ともいうべき、コンフターティスからラクリモサへ。極端な誇張はなく穏やかに演奏されて、絶筆となったラクリモサが始まりました。合唱が大きく盛り上がっていく、大変感動的な部分です。ガーディナーの演奏は、穏やかな中でもしっかりと構築して盛り上がり、続唱を締めくくりました。
さてここからは、オッフェルトリウムに入り、雰囲気が変わり、聴いていると、いつもここから気分が変わります。ドミネ・イエスは、ポリフォニックで、快活な雰囲気で進む好きな部分です。オスティアスに入ると静かな曲に変わり、再び後半でドミネ・イエスのメロディが戻ってきます。続くサンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュスデイと続いていくあたりは、続唱部分のようなドラマティックさは薄れて、宗教曲的な雰囲気が強くなり、ガーディナーの演奏も大変穏やかなものでした。ベネディクトゥスは、重唱がとても美しい曲で、ソロの歌手たちのパフォーマンスも聴きどころです。
最後にコムニオで冒頭の曲が戻って締められます。これで全体的な統一されて、聴き終わります。ガーディナーの演奏は美しい音で包まれ、名歌手の歌唱も素晴らしく、穏やかではありますが、大変彫りの深い音楽となっていました。そして全体の構成感もしっかりした、素晴らしい演奏でした。この曲の正統的で理想的な演奏の一つだと思います。
キリエニ短調は、なかなか劇的な音楽でした。短い中にパワーのある合唱や管弦楽が詰まっていますね。
【録音について】
美しく優しい感じの音を良く捉えた優秀録音です。
【まとめ】
モーツァルトのレクイエム。やはりいつ聴いても穏やかな気持ちになれるいい音楽だと思います。まだまだ、いろいろと聴いてみたいと思います。
購入:2023/10/02、鑑賞:2023/10/18