ショスタコーヴィチ:組曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」他 / ガラグリー他指揮 (1964頃) | クラシックCD 感想をひとこと

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ショスタコーヴィチの時代 ⑭

今週は少し停滞して、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の組曲版を聴いてみたいと思います。とは言っても、これはあまり良いCDを持っていなくて、ちょっと不完全な感じのものになりましたが、こういう形の録音もあったということで、ご容赦ください…。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:①交響曲第1番へ短調 op10 (29:38)

   ②組曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 (17:44)

演奏:①ケーゲル指揮 ライプツィヒ放送交響楽団

   ②ガラグリー指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

    フィッシャー(s)

録音:1963年頃①、1964年頃②

CD:0031702BC(レーベル:BERLIN Classics/ETERNA)

 

【曲と演奏について】

さて、このCDのメインは、きっとケーゲルの「交響曲第1番」の方だと思いますが、今日の話題は、組曲の「ムツェンスク郡のマクベス夫人」になります。このオペラの組曲は、Wikiを見ると2つの物があるとのこと。

 

一つは、「交響組曲 作品29a」で、1932年の作曲直後に成立したもので、3曲の間奏曲からなるもの。

1.アレグロ・コン・ブリオ(第2場と第3場の間奏曲)
2.プレスト(第7場と第8場の間奏曲)
3.アレグレット(第7場と第8場の間奏曲)

 

もう一つは、改訂後の「カテリーナ・イズマイロヴァ」より編曲されたもので、「5つの間奏曲  op114a」の全5曲。
1.アレグレット(第1場と第2場の間奏曲)
2.アレグロ・コン・ブリオ(第2場と第3場の間奏曲)
3.ラルゴ(パッサカリア)(第4場と第5場の間奏曲)
4.アレグレット(第6場と第7場の間奏曲)
5.プレスト(第7場と第8場の間奏曲)

この組曲を聴く場合、大は小を兼ねるで、op114aを聴くと十分かと思います。何よりパッサカリアが入っているのがいいですね。

 

で、このCDはというと、

1.アレグロ・コン・ブリオ(第2場と第3場の間奏曲)

2.アリア「もうすぐ夜になる」(第3場)
3.ラルゴ(パッサカリア)(第4場と第5場の間奏曲)
4.アレグレット(第6場と第7場の間奏曲)

 

という感じですね。録音された年代からすると、op114aがベースと思われますが、2曲を省略して、カテリーナの寂しさを嘆くアリアが差しはさまれています。簡単な抜粋盤の趣があります。激しくまた諧謔的な2曲に、緩徐楽章として2曲を差しはさんだ構成になっています。ガラグリーの演奏は、ゆったりめのテンポでダイナミックで迫力のある管弦楽として演奏されていて、音楽の良さを十分伝えるものだと思います。ただし、演奏における激しさや感情の噴出などは、ロストロポーヴィチの全曲盤が上だと思います。歌唱はドイツ語になっています。

 

ところで、話はそれますが、ガラグリーの演奏は当然ケーゲルの交響曲と最初からカプリングされていた訳ではないと思うので、オリジナルを探ってみたところ、1965年に発売されたETERNAのLPで、コダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」との組み合わせでした。ガラグリーだけだとCDが売れないかもしれませんが、これはこれで面白い組み合わせかも…、と思いました。

 

さて、おまけと言っては何ですが、このCDのメインのはずの、ケーゲルの第1番も併せて聴きました。細部にまで細かく気を配ったなかなかいい演奏と思います。ニュアンスもかなり細かくつけられて、メリハリも聴いていて、この曲の面白さをよく出していると思います。少しだけケーゲルのテンポの癖が気になったりしましたが、当時の東独でのショスタコーヴィチの演奏を体験できるという意味で、大変貴重な録音だと思いました。

 

【録音】

優秀な録音だと思いますが、少々ぼやけた感じがするところもあったような気がしますので、リマスターされるとまた感じが変わりそうな気がします。

 

【まとめ】

ムツェンスク郡のマクベス夫人について、連続して堪能しました。この曲はこの時代のショスタコーヴィチの作品の、一つの頂点になっていると思います。さて、これからまだ、プラウダ批判前の諸作品を聴いていきたいと思います。 ~つづく~(笑)。

 

購入:2012/12/01、鑑賞:2023/10/23(再聴)