中村うさぎさんの文春エッセイシリーズ。


ますます冴え渡る、自意識に対する観察眼!いちばんおもしろかったのが、熱血自己陶酔世代~シラケ世代に至るまでの世代間における「客観性」の違いからの、少女漫画家の自画像の考察。


いわく、中村さんが小学生の頃、少女漫画家の自画像といえばキラキラと可愛く描かれていたものが、中村さんが思春期の頃になると、それはギャグっぽいタッチになり(萩尾望都、山岸凉子、大島弓子、名香央智子など)、それは自分を可愛く描くことに対するツッコミ的行為だったのではないか。いっぽう、同時代に自画像をややかわいく描いていたのが、一条ゆかりや竹宮惠子。それは自意識をセーブすることを知らなかったのか、それとも少年マンガ的リアリズムの潮流なのか。時代的にも、70年代というのは自分のナルシシズムに対する客観性を持ち始めていたのでは、という話、めっちゃ興味深い…!!


で、次におもしろかったのが、「連合赤軍事件」で、自意識がどのように作用したのか、という考察。「自分を裁くだけの精神力を持たないツッコミ小人は、他者を裁き攻撃する独善の暗黒神に変わる」は~、なるほど!!中村さんは、自意識の犯行と思われる事件の分析が鋭すぎて、もうライフワークにしてほしい。そこらへんのコメンテーターの解説よりもよっぽど腑に落ちるもの。


…というわけで少女マンガ、私はあんまり読んでこなくて、最近BLから逆行する形で少女マンガに興味が出てきたので、これから読むだけじゃなくて、自画像比較という楽しみができてうれしい。


 

 






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