中村うさぎさんのエッセイ。
中村さんといえば、買い物依存症、ホスト狂い、整形などの実体験をネタに笑かしエッセイを書きまくる文筆芸人のような方……というイメージだった。
それが、『あとは死ぬだけ』という名エッセイを読んだ瞬間に、こ、こんなに頭のいい人だったのか!と驚愕したんであった。
心理学者ですか?っていうくらいの冷徹な自己分析で、言動の発端になった自意識をカミソリのごとくズバズバ切っていく。
……というのを期待して、買い物依存症についてじゃなさそうなこの本を手に取ったら、これがウンコだ検便だ生理だと、バカみたいな初体験はずかし物語(笑)。
かと思ったら後半は、ガラリと路線変更。「同じ人が書いてるの?」っていうくらい、中村さんの心に残った犯罪事件の犯人を、プロファイリングし始めます。
あの冷徹な分析が他人に向くとまた、そのへんのテレビのコメンテーターの話なんかよりよっぽど面白いんです。
愚者になれるのは、ほんとの愚者かほんとの天才のどちらかしかないと思う。それで、天才って中村さんみたいな人のことを言うんだろうな。
あとは死ぬだけなんて言わず、ぜひとも長生きして、まだまだ書いてほしい!
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●面白かったエッセイ(隠居の本棚より)
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●文庫出ました