『ゴクドーくん漫遊記３』

大好きな中村うさぎさんのラノベシリーズ第三弾。

毎回、一国の命運をかけた大事件に巻き込まれるチンピラ剣士・ゴクドーくん。前回のパルミット国の大冒険で、王家の宝物庫からくすねた小箱を開けてみたら、煙にまみれて気がついたらヨボヨボのおじいちゃんに変身！で、それを治せる龍神がいるというイナホ国に行ったところ、龍神様のパワーの源、宝玉が何者かによって盗まれていて…。

というストーリーと名前からして想像できるけど、このイナホ国は日本がモデル。土着の龍神族と外来のホトケ族が争ってて、現在はホトケ族が優勢、国民ヤマト一族の大半はホトケ族に帰依…ってなふうに、絶妙にリンクさせててウケる。

で、いろいろすったもんだしたあげく、日本をモデルにしたこのイナホ国の行く末が気になりますよね。これ、目次でほぼ言ってる内容だから書いていいと思うけど「この国は、これから世界有数の罰あたり国となるのじゃ。滅びは、徐々にやってくるであろう。そして……人々が神を忘れ、金や欲望に支配される、神なき時代がやってくるのじゃ」約30年前に書かれたラノベだけど、たしかに他の国と比べると、資本主義が宗教になっちゃってるみたいなとこあるな…。あ、しかもうさぎさんのその後（←買い物依存症エッセイが大人気に）を予言するかのような内容でもある…。予言めいたものは、30年たってから読むと、当たったかどうか、という楽しみもできますな。

今回は種族とキャラがちょっと多いので、心が沈んでいる気分のときはついていくのが大変だったが、行きつ戻りつしながら楽しみました。