中村うさぎさんの、著名人をこき下ろしまくる悪口エッセイ。

まずこの本の顛末からしておもしろい。「夕刊フジ」で連載されたものが単行本化されることになったものの、発売5日前に急遽中止に。その理由は、「悪口が過激すぎる」。えー!?校正して印刷までしたのに?そんなことってある?

で、よくよく聞いたら「うちと取引してる作家の悪口を取り下げれば出版してやる」ということだったらしい…。分野は違えど、大きいもんに忖度する自粛体質って、何も最近はじまったことじゃないのか…。

でも中村さんはエライ。この出版社の要望を突っぱねる。中村さんは何もゴシップ誌のように、個人のプライバシーを暴露したり、アラ探しをしてるわけではない。作品や芸風の批判を、ハッとする切れ味の文章で書いてるんである。

「我々が向き合うべきは自分の中の汚泥であり、他人の恥部ではない!」

「ブスキャラってのはね、存在自体が世の中に対する反逆なのよ!」

悪口は悪口でも、一本筋の通った悪口は、聞いてて気持ちが良いね。

結果、別の出版社から刊行されることになったそうで。いやーよかったよかった!