"学者への道" in Arizona

The University of Arizona, Ecology and Evolutionary Biology, PhD program に通う、大学院生のブログ。



2009年6月、22歳で単身渡米。夏休みに2ヶ月の語学学校を卒業し、Master programが始まり、死ぬかと思った授業・宿題・研究と視野を広げるいろんな国の人との新たな出会いであふれた一年目。



2010年、アメリカ初の学会デビュー、アリゾナ大学日本人会の会長に就任しちゃって、「研究・授業」「日本人会」と二足のワラジで、日々欲張り生活な二年目。念願の一時帰国も果たしました。



2011年、初の先生(TA)デビューで学費免除と給料ゲット、教える授業と教わる授業に追われながらも、Master取得。夏休みには素数ゼミ調査学会口頭発表論文投稿準備など大忙し。



2012年、カガクシャネットメルマガ副編集長に就任。初の外部助成金取得。夏休みには日本への二度目の一時帰国カナダを含む2ヶ月間のネズミ捕獲調査。授業をサボって学会に行ったり、研究の一部が地元新聞一面を飾る。



2013年、ニューメキシコの山奥の温泉地で新年を迎え、学者人生第一号の学部時代の論文が出版され、卒業研究も軌道に乗り、初の集団遺伝学のTAに苦戦。二つ学会をこなし、秋からカリフォルニア大学バークレー校に編入




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このブログはこんな内容を含みます。



・アリゾナの日常



・マニアックな生き物日記



・学者になるための心意気



ペタ,コメント待ってますヾ(@^▽^@)ノ




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ありがとうアリゾナ!終わりと始まり。

4年間続けたこのブログには、

学者になることを夢見た日本の学部生が、

アリゾナ大学大学院の留学生活を通し、

夢に向かって奮闘した軌跡が詰ってます。



そして、"学者への道"in Arizonaは、本日の記事をもって終了します。



。。。

。。。

。。。しかーし!

たとえこのブログが終わっても、

あきらめなければ、夢は死ぬまで終わりません!!!



えー、前置きが長くなりましたが、

続編ブログ

"学者への道" in California Berkeley(リンクはこちら)

がいよいよスタートします。



この秋からカリフォルニア州のバークレーのPhDプログラムに編入することになったので、

「....in Arizona」ではブログのタイトル上都合が悪く、

いい機会なので気分転換にブログもお引っ越ししようというのが本音です。



ブログの引っ越しは苦じゃないんですが、

実際の引っ越しは苦でした。゚(T^T)゚。



まず、24ft(7.3メートル)の一番でかいトラックをレンタル。

"学者への道" in Arizona

大学院生4人+ポスドク1人、計5人分の荷物を3日がかりでつめこみます。

ほとんどの人がフィールド調査でいないのでもう大変。

アホみたいにでかいトラックの運転に任命されたのはわたくし、Dr.T。

だから調子にのってバックしてみたら、電線を2本ぶった切るという伝説を残しました(笑)

(そもそも普通免許でこれを運転していい意味がわからない)



そして、3日間(7am~4pm)かけて600匹以上のネズミさんを輸送用ケージへ!

"学者への道" in Arizona

ネズミを捕まえて、輸送用のケージに移すのは比較的簡単ですが、

ラベルを貼ったり、テープで固定したり、ネズミ運送業者と連絡したり、

もう最後の方はふらふらでした。



無事ネズミさんたちを車に乗せ、

"学者への道" in Arizona

業者が一晩でアリゾナからバークレー(13時間ぐらい)へ運びます。

ちなみにこれ、途方も無いぐらいお金かかってます。

でもおかげで一匹のネズミも死ぬこと無く、みな無事にバークレーに着きました。



あとは、お世話になった人たちへあいさつ周り/飲み歩き。

"学者への道" in Arizona

自分の絵を引き取ってくれたSushi Yukariレストラン。

なかなか火のつかないBBQお別れ会を開いてくれたYさん。

ツーソン最終日の夜にテスト勉強を教えてくれというHちゃん。

ボーリング、テニス、爬虫類ウォッチング、ソファーで4泊。。。

最後に時間をつくってくれたみなさん、ありがとう。



そして、最後のネズミを積み終えた当日の夜7時、ツーソン出発!

"学者への道" in Arizona

暗い夜のフリーウェー、

70マイル(112km/h)を超えると車体が揺れだし、

走り出して20分ですでに眠気と格闘(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)

それでもなんとか4時間走り、アリゾナ州とカリフォルニア州の境のモーテルで就寝。

次の日も一人で10時間以上走って、なんとか夜の8時頃にはバークレーに無事到着。

その日は友達の家に泊まり、翌日にすべての荷物を下ろし終え、トラック返却。



荷物を下ろし終えた疲労がピークの夜8時すぎ、なんとか海で夕日が見たいという一心で、チャリを走らす。

"学者への道" in Arizona

この写真の場所は新しい我が家からチャリで5分!

夏でも外はパーカーがないとかなり涼しく、

街はオシャレでにぎわい、どこも緑で溢れ、

湿気が多いからか土や花のいい匂いが立ちこめる、

海の見える街。



魔女の宅急便でも使われた松任谷由実のルージュの伝言なんて聞くと雰囲気でます(笑)

実際にバークレーのキャンパスには時計台もあり魔女宅の舞台と似ていて、

ジブリファンの自分にとっては夢のような街。




ながーーーい運転の間と海辺で一人デートしている時に思ったことは、

アリゾナで過ごしたこの4年間でどれだけ成長したかということ。



4年前は、Subwayというサンドイッチ屋さん(パンや具材を好きに選べる)で注文がよくわからないから店員のいいなりだったのに、

今では、テニスコートのねーちゃんに予約したコートが予約されていないことを自分のせいにされても英語でキレることができる。



4年前は、英語の日本語なまり、英語の文法ミス、英語の使い方のミスでアメリカ人を笑わせることはできたけど、

今では、That's what she said jokes、mom jokes、などアメリカンジョークで正々堂々笑いを狙える。



4年前は、電話の英語が聞き取れず、インターネットつなげるだけでまる一日つかってたのに、

今では、気づくと買い物、住所変更、ビザの書類受け取り、アパート契約、学科の人へのあいさつを一日でこなしていた。



4年前は、何かわからないことがあると、10人ぐらにひたすら聞いて、そのうち1人ぐらい聞き取れるだろう作戦をしてたけど、

今では、1人に自分が理解するまで聞くことができる。



4年前は、ちょっと大事なメールをするたびに研究室の人に文法チェックをしてもらってたけど、

今では、ネイティブの学生の英語を添削/採点したり、アメリカ研究者の英語の言い回しや文章を添削してる。



4年前は、父親からお金を借りて、学費、生活費を払ってもらうという、ただのボンボンとやってることは変わらない親のスネかじりだったけど、

今では、授業を手伝うTAをすることで、学費、家賃、食費などギリギリだけど生活費を自分で稼いでる。



4年前は、一人で海外に行くってだけでめっちゃ不安で緊張してたけど、

今では、世界のどこに放り出されても生きて行く自信がある。



4年前は、苦楽を共にした同年代の部活やサークル、研究室仲間しか信頼できる仲間はできないと思ってたけど、

今では、世界中に、あらゆる年齢の、心から信頼できる、教授、航空自衛隊員、ゲイ、料理人、野球選手、オリンピックランナー、プロゴルファー、エンジニア、OL、サラリーマン、研究者、医学生、弁護士、カメラマン、教師、主婦、バーテンダー、空手家、ネーチャーガイド、宇宙関係者、舞台俳優、特別国家公務員(衆議院法制局で働くHさんあなたです)などすげー仲間がたくさんいる。

"学者への道" in Arizona

自分を育ててくれた、

アリゾナで出会った仲間、

日本で出会った仲間、

うちのじーちゃん、ばあちゃんたち、

そして両親と弟が、

自分が生きてきた中で、

一番の自慢



この人たちがいなかったらここまで戦えなかったし、

この人たちがいるから歯を食いしばってでも前に進める。

本当にありがとう



科学をつかって、この世界をもっと理解して、

大好きな人たちとその子供たちがずっと幸せに暮らせる世界をつくりたい。

きれいごとに聞こえるけど、

これが子供のころからの夢。



そのためにはやっぱり学者になって、大自然に飛び出して、

この世界がどんなルールでつくりあげられているのか

一つでも解明したい。





最後の最後まで、アツ苦しいブログを読んでもらいありがとうございました(^▽^;)

そんな読者の皆さんのおかげか、先日、在日アメリカ大使館からたいそうな手紙をいただき、

今年の9月から一年間「留学中の先輩の声」という199,000人が観覧する留学ブログの公式ブロガーの一人になることが決まりました。



自分に何ができるのかわかりませんが、

日本の外にはいろんな常識があって、

いろんな人たちがいて、

いろんな生き方があるんだ、

ってことを伝えられたらと思ってます。



長くなりましたが、これからも続編ブログ、"学者への道" in California Berkeleyでこんな楽観主義の若僧がどこまで行けるのか見届けてやってくださいm(_ _)m


(これからも"学者への道" in Arizonaへのコメント/メッセージは返すつもりです。)

一人じゃ辿り着けない場所

あこがれのゴードン学会(Microbial Population Biology)を終え、

ニューハンプシャーからアリゾナへの飛行機の中でブログリポート。

未発表データを発表することに焦点を当てた学会なので、

発表内容に関する写真撮影、フェースブック、ブログ公開は一切禁止。

なので雰囲気だけでもどうぞ。



舞台はボストンから車で2時間ほど北にあるど田舎、

ニューハンプシャー、Proctor Academy、セレブの行く高校+宿舎です。

"学者への道" in Arizona

自然に溢れたキャンパスに建つ白い木製の建物は、まるでデスノートにでてくる天才児が集められてくる養護施設のよう(笑)



スケジュールは、一日(9am~9:30pm)7つほどの招かれた学者による口頭発表(20分)とディスカッション(10分)が大ホールで行われ、

"学者への道" in Arizona

長めのコーヒーブレイク、長めの昼休み、ポスター発表が組み込まれています。

9:30pmからはソーシャルな飲み会タイムです★



昼休みには、微生物学者たちとカヤックのツアーに行ったり。

"学者への道" in Arizona

カヤックは初めてでしたが、コツは体とボートを一体化することで、早く漕げます。



カヤックの説明を受けている最中、池の底を泳ぐカメさんを見つけてしまったので、

衝動を抑えられずつい捕獲(笑)

"学者への道" in Arizona

カメさんの生態を自慢げに解説。



他にも二種類のカエルさんを捕まえてみんなに見せててあげました。

"学者への道" in Arizona

もう一種はウシガエルのようなサイズで、両手がカエルでふさがって写真をとれず(笑)



アメリカ代表vs世界代表、微生物学者の昼休みサッカー。

"学者への道" in Arizona

アメリカ代表として出場したDr.Tは、

3-3で迎えた試合終盤ペナルティーエリア外で受けたパスをノータッチで、

ゴールを全く見ずに振り向きながらテキトウに振り抜いたダイレクトシュートが、

相手ゴールになぜか見事に吸い込まれ、アメリカ勝利に大きく貢献(笑)

サッカーでMVP、科学外で知名度をあげました。



あとなんといってもすごいのはごはん!

最終日夕食の伝統として知られるロブスター(一人まるまる一匹w)

"学者への道" in Arizona

朝昼晩+夜食、すべてバッフェ形式。全部参加費に含まれているので5日間の食べ放題!

今まで参加した学会でこれほど贅沢な食事は初めて。



<よかったこと>
・学会参加者の半分とは話したこと。
・昆虫の共生細菌を研究している教授と、人間の膣に住む共生細菌を研究している教授、二人の先生からポスドク(お金をもらって研究する職)のオファーをもらったこと。
・ハーバード大学のフリーの記者に自分の研究に関する記事の依頼を受けたこと。
・朝の3時まで部屋飲みで一緒に盛り上がっていたおもしろいおっさんがかなりの大御所だったこと。
・普段行く学会では自分のボスが有名だから人が集まってくるけど、今回はボスの知名度抜きで自分の研究に興味をもってもらえたこと。


<わるかったこと>
・発表の大半がさっぱり理解できなかったこと。
・英語が問題とかいうレベルじゃなくて、自分の細胞学、微生物学、生化学、免疫学の知識の欠落。自分が勉強して来た分野が違うとはいえ、基本的なことを知らなすぎる(何が基本的なのかはわかりましたが)。
・無知という恥ずかしさのあまり、発表中、質問できたのも一回だけ。
・人の研究を聞くのではなく、自分の研究を売り込むことに必死。人脈を広げるという名目でほぼ24時間話しまくり、発表中になんども居眠り。




野生ネズミの微生物生態学(microbial ecology)でこれから食って行こうと思っている大学院生にとって、

確かな手応えはあったものの、自分の力の無さを痛感。

もっと力をつけて、また明日から再チャレンジを誓います。




一つ自分にとってうれしいニュースが。

フェースブックに自分の弟の進路報告のポストが。

弟:「今年の9月からイギリスに行くことになりました。」

Bournemouth大学のプレマスターコース(大学院準備コース)で一年間、その後、イギリスの大学院でスポーツマネジメントを学ぶ予定らしい。

大学を卒業後、ニートとなり、「大学は人生の夏休みだ」と豪語していた弟が毎日ひたすら勉強していたようです。



弟:「同期は4月から社会人となり、自分が選んだ道なのに、俺は働かないで何してんだと、しかも、今年の9月から行けるかほんと瀬戸際で、ほんと辛い日々でした。笑」

アメリカ社会では、学部卒業後1、2年、旅行したり、ボランティアしたり、好きなことをして経験をつみ、その後に就活したり大学院に行ったりするのが普通(その方が良い場合も多い)。

日本社会では、学部卒業後は二択。新卒で就職するか、大学院に行くかという、one or the other。日本はその二択という常識から外れるとなぜか負い目すら感じる。

自分も大学の卒業式の日、一人だけ進路が決まっていなかったのでその気持ちがよくわかります。



何かにチャレンジするということは、

ものすごい恐怖と戦うということ。

もうダメかもしれないと思うどん底の時、一番力になるのが、

自分を信じてくれる仲間や家族の存在。

弟もその力を自分のものにしているようでした。



弟のポストには、

「将来、父さんや兄ちゃんみたいな人になりたい

…略…

僕の23歳はイギリスでがむしゃらに頑張ってみます!」




とあり、うれしくなっちゃって、フェースブックなんてチェックしていないだろう両親に弟のポスト全文転送(笑)すると、

母から、

「二人が立派に成人し、自分の道を歩んでくれていることに感謝」

父から、

「自分の人生を素晴らしいと自分で思えるように生きて行ってほしい」

という返信が。

自分は親バカならぬ、家族バカかもしれませんが、いつか自分も、自分の子供にやりたいことをやらせてやれるような人間になりたいものです。

本当に家族に仲間に感謝です。



今いる場所は一人じゃ辿り着けなかった場所

だからこそ、ここであきらめちゃいけないと思えるし、

この夢を叶えたいって気持ちが強くなる。



学者になるため、夢を叶えるためには、チャンレンジあるのみ。

この学会で自分の力のなさは明らか。

でも自分の研究の強みも明らか。

微生物学だろうが、生化学だろうが、免疫学だろうが、なんでもこい。

今はまだなんもわからんけど、一つ一つ超えてやります。



ちなみに、弟は留学まで時間があるようで、お金がないからと日本ヒッチハイクの旅をしているようです。

"学者への道" in Arizona

まさにリアル「一人じゃ辿り着けない場所」の旅(笑)

オレも負けてられん。

サソリを食べる肉食ネズミ、ゲットだぜ!

今朝5:00am、朝飯前にネズミを捕ってきました。

世にも珍しい肉食の野ネズミ、ミナミバッタマウス(Onychomys torridus)が、

今回の研究のターゲットです。



動物は腸内のバクテリアに消化を助けてもらう。

腸内のバクテリアは動物(宿主)の食べ物を食べて生活する。

共に利益があるので、相利共生という共進化が起る。



肉食のネズミと、草食のネズミの腸内細菌を比べたら、

バクテリアとホスト(ネズミ)の共進化が学べるだろう、

というのが狙いです。



捕まえたいネズミを決めたら、

まずは博物館でどこで捕れたか調べます。

"学者への道" in Arizona

サソリもタランチュラも食べてしまう捕食者、

ミナミバッタマウス(Onychomys torridus)は、

密度が低く、捕まえるのが難しい。

(ポケモンでいうとケンタロスって感じですw)



だから1950、1960年代の博物館標本を見て、

捕獲地点をGoogle mapに打ち込み、地図をつくり、

行く場所を決めます。



あとは夕日までにトラップをかけまくります。

"学者への道" in Arizona

オレンジ色に見えている柱のような光は雨です。

運転しながら必死に撮影w

車でツーソンから南に走ること45分、

ピーナッツバターとオートミールを練ったエサをトラップに仕掛け、

あとは待つのみ。




明くる日。。。

"学者への道" in Arizona

ポケットマウス(Chaetodipus penicillatus)!

ツーソンで一番多い野ネズミです

(ポケモンでいうと、ポッポって感じです)



"学者への道" in Arizona

カンガルーラット(Dipodomys sp.) !

ツーソンでポケットマウスの次に多い、少し大きめのネズミさん。

(ポケモンで言うと、コラッタって感じです。テキトウです。)



"学者への道" in Arizona

パックラット(Neotoma albigula)!

かなり大型のネズミで、巣材に使用するため、車の断熱材など破壊します。

トラップの中も糞と尿まみれ!

(ポケモンで言うと、どくどく、やどりぎのタネほどやっかい。)



砂漠を歩いていると、サボテンで深手を負ったり、

こんな大蛇に出くわします。

"学者への道" in Arizona

Western Diamond-backed Rattlesnake と思われる、

最大級のガラガラヘビ(Crotalus atrox) !

ちゃんと治療すれば死ぬことは稀ですが、

噛まれれば致命傷になりかねない猛毒を持ちます。

(ポケモンで言う、、、のはもうやめますw)



そして、

ようやくお目当てのミナミバッタマウス(Onychomys torridus)を捕獲!

"学者への道" in Arizona

100トラップに一匹ほどの出現率のネズミが、

なんと80トラップで二匹も捕まりました(´∀`)

これには、砂漠の真ん中で一人ガッツポーズで大はしゃぎ!

(ポケモンで言うと、軽く立ち寄ったサファリパークでケンタロス2匹ゲットだぜ!って感じです!!!)



研究室に持ち帰り、計測し、解剖し、臓器を冷凍し、博物館標本として保存。

"学者への道" in Arizona

あと数匹ほしいので、ツーソン離れる前にもう一回ぐらい捕獲に行くとします。

数十年、数百年後、自分の標本をたどり、だれかが同じように、

砂漠でガッツポーズする日がくるんですかね。笑




ついでに先週末、

うちの研究室を卒業し、今年の秋からオクラホマ州立大学の准教授になるPさんのために、

「Pさん研究室のロゴ」を作成!

下書き。

"学者への道" in Arizona



色付け。

"学者への道" in Arizona

Pさんもすごく喜んでくれて、ウェブサイト、研究室のドア、オフィス、

いろんなところに貼りまくるって大喜びしてくれました。



ちなみに一番右にいる雄叫びをあげているネズミが、

今回捕まえたミナミバッタマウス(Onychomys torridus)なんですよ。

獲物を捕まえた後に吠えたり、満月に向かって吠えるのだそう。

まだまだ謎の多い神秘の肉食ネズミさんです。

オーストラリアからのメール

チキンカツ!

実はポルトガル語らしい。

正確には「チキンカッツゥ!」。笑



南米でのネズミ調査から帰って来たポスドクのブラジル人と、

研究室のメンバーでの夕食時に学びましたw

ブラジルは日本人移民の影響を強く受けているので妙な共通点が多くあるのです。



バークレーではこのブラジル人Fさんと一緒に住む予定なのですが、

今日ようやく住むアパートがほぼ決まりました。

一人家賃700ドルのツーベッドルーム、学校にも近い。

バークレーではルームメートがいて相場が900ドル近いので、これでも安い方。

(ちなみにツーソンなら450ドル出せば普通のアパートに暮らせます)



他にも引っ越し準備は着々と進行してまして、

"学者への道" in Arizona

みんなで歴代の名だたる先輩方のサンプルをポイっ!

うちのボスが初めてDNAを抽出した30年もののサンプルもありました。笑



800匹近いネズミさんのお引っ越しも大きな仕事の一つ。

(輸送用のケージでトラックで3度に分けて移動する予定です)

"学者への道" in Arizona

エサを食べ過ぎてまるまる太ったカナダ産のハツカネズミさん。

同じ飼育環境でも、すごく太る個体とそうでない個体がいるからおもしろいですよね。



数百年後の研究者のために博物館標本として余分なネズミさんを保存します。(計測し、解剖し、綿とワイヤーをつめる)

"学者への道" in Arizona

一度飼育されたネズミは普通は時間のかかる標本にしないで、

ただ殺され、冷凍され、猛禽類(タカなど)などのエサにされてしまうのですが、

うちの研究室では一匹一匹こうして標本にして記録として残します。



こんなにネズミで溢れているのに、まだネズミを捕獲する準備も。

"学者への道" in Arizona

今回の行き先はコスタリカ。

宿、レンタカー、航空券、スペイン語!!!

まだまだ準備すること満載です。(ノ_-。)



そんな引っ越し準備に終われ、

本業の研究はなかなか進まず。。。

しかし、今朝一通のメールに励まされました。



それは、学部時代の研究室が一緒だったCちゃん。

学部卒業後はMR(医薬情報担当者)として働いて、

フロリダのディズニーワールドでワーホリを経て、

一度ツーソンにも遊びに来てくれて、

オーストラリアでネーチャーガイドがやりたいって話してた。

オーストラリアの動物の研究をすることは学部時代からのCちゃんの夢だったこともあり、

まだあきらめてないんだなーって思っていたら、、、




なんと!日本へ帰国後、

ちゃんと就職活動もして内定もとったのにもかかわらず、

平行して調べていたネーチャーガイドの仕事がどうしてもあきらめきれず、

悩みに悩んだすえ、

今オーストラリアでネーチャーガイドの研修をしているという報告でした!



「研修大変だし地道だけど、でもここにいられて本当に幸せだし、楽しい(*^^)v」

$"学者への道" in Arizona
(写真はhttp://evaser.comより)



この世の中で、

今いる場所や、やっている仕事に対して、

心から「幸せで楽しい」って言える人間はどれほどいるんだろう。



だれもが子供の頃からあこがれている場所や仕事はあるはず。

それが成長するうちにいろんな理由(金銭的、能力的、社会的)で阻まれる。

言い訳を思いつくのは得意になっても、

最後まで自分の気持ちにまっすぐでいることは難しい。

それをやってのけた人間が存在すること自体、すごく刺激になり、

今日は朝から勇気づけられました。




やっぱり人生はこうでなくっちゃ。って思わされます。

"学者への道" in Arizona

自分もやりたいことにまっすぐ、

限られた時間内でベストを尽くします。

学者への道は甘くない

二夜連続朝まで飲み明かした後の日曜日の夜。

Epic Cafeというヒッピーなカフェで、

ヘッドフォンから流れる浜省を聞きながら、

アジア人一人ホットコーヒーをすすり、

ローストビーフキッシュを頬張り、

パソコンをかたかたしてます。



ネットの細菌データベースから手作業でデータを自分のコンピュータに入力し続けるという単純作業にもあきてきたのでブログブレイクです。

7月21日からニューハンプシャーで行われる学会(Gordon Conference)で発表するポスターができました。

"学者への道" in Arizona

このゴードン学会はだれでも参加できるEvolution学会と違って、

参加するためには厳重な審査があり、

まだ世にでていない(publishされていない)重要な研究成果を発表し、

他人の研究を外部に漏らさないこと(privileged communication)を約束し、

最先端の科学を議論する、歴史と権威のあることで有名な学会の一つで、

研究者なら一度は参加してみたいあこがれの舞台



だからダメもとで参加申し込みをしたら初めは見事に断られました(笑)

でも数ヶ月後、参加者にキャンセルがでたとのことで自分にも声がかかりました(ギリギリw)。

自分の研究成果には自信があるのでギリギリ参加でも調子にのるわけです。



すると先日、Biology LettersとEvolutionに投稿してた二つの論文が、

見事両方、編集者側からリジェクト(拒否)されました (°Д°;≡°Д°;)

あんなに苦労して、何度も何度も教授と書き直して、自信満々で投稿したのに、リジェクトなんて、、、

ゴードン学会に参加できるいう自信はどこへやら。これにはショック。



幸い編集者、査読者のコメントはポジティブで「re-submission」(再投稿可能)という判断でした。

完璧なリジェクトなら再投稿を拒否されるので最悪の結果は免れたようです。

先輩の話しだと最近は、研究者が論文を投稿してから、出版されるまでの時間が短ければ短いほど雑誌のステータスになるので、

編集者側は、accept(掲載可能)し revision(添削)を求めるよりも、一度reject(拒否)し、re-submission(再投稿)を求めるほうが雑誌にとって都合がいいんだとか。

と自分を慰めてくれました。



査読者のコメントをすべて反映するにはかなり時間がかかります。

ただでさえ、調査の準備やら、研究室の引っ越し関連で忙しいのに、論文二本の再分析、再添削は気が進みません。

なので、今週末は逃げるようにワンピースを見たり、友達とできるだけ飲んで話すようにしてみました。

"学者への道" in Arizona



学者の道は、そう甘くないな。

でも、

たとえ思うように進まなくても、

たとえ誘惑に負けそうになっても、

たとえノルマ達成が絶望的でも、

少しでも前に進んでいると思うなら、

今はそれでいい。



「どんなに遠くても辿り着いてみせる」

家路 by 浜田省吾



ここは地道にやれること一つずつやってみます(。・д・。)
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