"学者への道" in Arizona -5ページ目

哺乳類学者のガチ競馬

おそらくツーソンは今、

地球上で最高の気候かもしれない!

と言えるほど暖かく気持ちがいいのに、

窓のない研究室で暮らしているDr.Tです(ノ_-。)



そこで日曜日である今日の昼、

友達に誘われて、アメリカ初の競馬に行ってきました。

"学者への道" in Arizona

日本では小さい頃に行ったことがあるかもしれないけど、

お金を賭けれる年齢になって競馬に行くのは初めて。

だからなんかドキドキするなーって、

入場ゲートでおばちゃんに年齢確認の免許証を見せると、

「あなた免許証を持っててよかったわねー、13歳に見えるわよ」

って言われました。笑

それはお世辞じゃなく、普通に失礼だろう!

って心の中で若く見られがちなアジア人を代表して言っておきました。



そんなことはさておき、

お金を賭けるからにはこっちもマジです。

馬の名前や年齢、最近の成績、騎手の勝率、相場などデータが載ってる冊子を分析し、

合計で8レースほどあり、単勝、複勝、3連単など日本と同じようなシステムで、チケットは最低2ドルから。

"学者への道" in Arizona

レースの前に馬を近くで見ることができるので、

よく馬を見てみると、大きい馬、小さい馬、筋肉の付き方など、

いろいろな違いに気づくんですが、

哺乳類学者として、動物の健康状態の指標の一つとなるのが、毛並み!



少なくともマウスの健康状態をチェックするのに、自分は毛並みを使います。

ケンカして傷ついた個体や加齢で弱っている個体など、

毛並みが整ってなかったり、つやがなくなります。



それが馬にも当てはまるのかわかりませんが、

毛のツヤ選択法をつかうと、

一番つやの良い馬は、長距離、短距離関わらず2着以内に入る確率が80%でした!!

植物学者、両生・爬虫類学者がいる中、

哺乳類を専門とする自分が一番成績よかったのはネズミのおかげかもしれません(笑)

"学者への道" in Arizona

5レースほどやって、結局儲けたのはビール代ぐらいですけど(^_^;)

ちょっとコツをつかんだので、また今度リベンジします。



最近はあの苦労して捕まえて来たカナダ産のネズミさんの近交系をつくる作業を一任されてしまい、ネズミと格闘し、

たまっている論文を3本(1.マスター時代の種分化の話、2.小プロジェクトでやったヒトと腸内細菌の話、3.卒論第一章のネズミと腸内細菌の話)を今学期中に投稿したくて、英語と格闘し、

この夏ダーウィンで有名なガラパゴス諸島で行われるWorld Summit on Evolution IIIという進化学のサミットに無料で行ける奨学金に応募する資料やナショジオの研究奨学金の資料と格闘し、

春休み前である次の一週間は、研究室のミーティングに、獣医学部のクラブにプレゼン、集団遺伝学の中間テストの採点など、

自分の中のノルマは少し遅れ気味ですが、

競走馬を見て思ったことは、

勝負は第三、第四コーナーから。



多少遅れ気味でも、中盤までくらいついていれば、

最後のラストスパートでどうにでもなる。

逆に言えば、中盤で離されすぎると逆転の余地がなくなる。

春休み前の今はまさに春学期の中盤。

ここはしっかりくらいついて、

後半のラストスパートにつなげてやる。

オリンピック選手との差

「教授になって世界で活躍することはオリンピックで金メダルをとるようなもの」

ってよくアカデミアの厳しさの例えで使っていたんですが、

オリンピック選手に会ったこともないのに、安易に使ってたなって今は思います。



というのも、

昨日、幸運にも北京オリンピックに出場したこともある陸上選手、

小林祐梨子選手とお昼を一緒に食べる機会に恵まれました。

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彼女は、1500mの日本記録、3000mの高校記録をもってるトヨタ自動車の陸上部キャプテン。

会社から成績が評価されアリゾナ大学の有名コーチの元で今月から一人トレーニングに来ている、

スーパーアスリートです(ノ´▽`)ノ



一流の人と話すことはいつも楽しいんだけど、

正直、話を聞いて焦った

だって24歳で自分より2歳も年下なのにすごいレベルで戦っているから。

過酷な高山トレーニングや食事の栄養管理、

3人枠の4番目でオリンピックを逃した話や、

それで走ることが楽しくなくなり引退を考えた話、

それでも今、新たな日本記録を目指し、世界に目を向けて話す姿は、

まだ何も結果を残していない自分にとって、

次元の違う話。

$"学者への道" in Arizona
(http://www.sanspo.com)


小林選手のすごいところは、

大学で学んだスキルを活かしトヨタ内でコンピューター関係の仕事もこなし、

アリゾナに来てから自ら栄養のとれた料理も作り、

英語ができないからと空いている時間は積極的にテレビを見たりや英会話を学び、

手作りのコスプレで仲間を喜ばせるのが趣味など、遊びも本気!笑



20代前半で引退まで考え、それを乗り越え、

陸上も、仕事も、遊びも、全力疾走である話を聞いて、

自分は全然まだまだだって思い知らされた。

ツーソンにもう4年近くいるから何事にも慣れてきちゃって、

プレゼン前の土日に遊んだくせに思い通りのプレゼンができたし、

最近は労力を最小限に、効率よく結果を出すことがうまくなった。



アリゾナに初めて来た時、

明日を生きることで本当に必死だった自分を考えると、

今の自分はだいぶ甘えてる。

世界で通用する学者になりたいって口では言ってるくせに、

今の自分は本当に本当の本気でやってるのかって問いただすと、

Yesとは言えない自分がいて、なんか悔しくなってくる。



だから今日は、大きな白い紙に、

自分が得意とする分野、苦手な分野を書き出して、

分野ごとに何が足りないか、何から勉強すべきか優先順位をつけ、

このセメスターを一週間ごとに区切って、

この先3ヶ月ほどの週間目標をたててみました(笑)

(負けず嫌いというか影響されやすい性格w)



小林選手に写真と実名をブログで公開しても良いかと聞くと、

快くOKしてくれて、「変装が趣味で変人ですでもいいですよ」って答えるぐらい、

明るくおもしろい性格のスーパーアスリート。

良い刺激をもらいました。



最後にもう一人のツーソンのアスリートで、衆議院法制局から留学しているKさんは、

フェニックスのお祭りイベントで阿波踊りをアメリカ人に伝承!!!

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アリゾナだから出会えた貴重なすべての出会いに感謝し、

もう一段階、学者として、人間としてレベルアップしたい、

と思わせてくれる週末でした。

Dr.Tの珍事件簿

ご無沙汰です。

いろいろな珍事件がありブログを書く暇がなかったので、

最近の珍事件簿(ブログネタ帳w)をまとめてみました。



事件1:突然の噴水ショー

先週、研究室の水道管が破裂しました。

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だれも水をつかっておらず、それぞれ席に座っていたのに、突然、

悲鳴とともに天井に届くほどの勢いで水が!!!

メンテナンスのおっさんに電話し、おっさんたちかけつけるも何もできず、

この噴水状態のまま、20分経過(笑)

写真のポスドクP博士のように、もはや笑うしかない。



ようやく建物全体の水を止めて、噴水は止まったが、

研究室外の廊下も水浸し。

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原因は水道管のプラスチック部分の劣化による破裂。

パソコンや実験器具はなんとか無事でしたが、

廊下沿いのオフィス、隣の研究室、下の教室にも水が流れ込み、

建物全体から野次馬が押し寄せ、

"Oh my god" や "What the f○ck"と、賞賛を集め、

とんだ噴水ショー。笑



事件2:巨大スクリーンに自分の変顔

うちのボスがアリゾナ大学のCollege of Science Lecture seriesで、

大学の巨大なホールでツーソンに住む市民や学生2500人へ講演をしまして、

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なんと講演が始まる前のスライドショーに、

口が半開きでネズミを世話している、

なんともまぬけな自分の写真が巨大スクリーンに映し出されてしまったという事件。

残念ながら(幸運ながら?)、その写真はありません。笑

次の日、生徒や友達に昨日の講演でDr.T映ってましたねって言われるたびに、

かなり恥ずかしい想いをしたという。



事件3:ツーソンにテニス超新星現る!

先週末、大事なプレゼンの準備をしないといけないのに遊びまくってしまったという事件。

金曜日の夜はおじさんたちとシングルステニス、

土曜日の夜は日本人男女4人でアットホームな宅飲み、

日曜日の午前中はアリゾナ州のバドミントンチャンピオンである日本人ペアとバドミントン特訓、

日曜日の夕方にはアリゾナ大学卒業生のMくんが日本からツーソンに遊びに来たので新社会人、人生について語り、

日曜日の夜はアリゾナ大学にテニスのスポーツ推薦でやってきた日本人Nくんとテニス。

このNくんは、高校時代オーストラリアでテニス留学、現在19歳で今年1月にほとんどのプレイヤーは海外から集められているという意外に名門だったアリゾナ大学テニス部に入り、すでにダブルス1、シングルス4のレギュラー獲得という超新星。

これは将来大物になる人に出会えてしまった♪

っ興奮してたら、気づけば、日曜夜9時すぎ、、、( ̄Д ̄;;

欲張りすぎて、そのあと死ぬ気でがんばったという事件。



事件4:プレゼン前の表彰式

昨日は、年に一度の学科への発表会で、

遊んだ分を取り返すべく、月曜日と火曜日の朝に、

だれもいない教室にパソコンとプロジェクターを持ち込んで、

気持ち悪いぐらい何度も何度もプレゼンの練習をして臨みました。

せっかくなので友達のMくんやKさんにも、12時半から発表するのでよかったら来てください、

って調子に乗って誘い、舞台は整った。

発表会は大学院生二人一組で、一人30分ずつプレゼンする形式なんだけど、自分が先に発表する段取りだった。

しかーし、二番目に発表するはずの中国人のGくんは学科内で最も名誉な奨学金を獲得したらしく、

急きょGくんが一番目に発表して表彰式までやることに!

奨学金勝者の後にプレゼンする普通の大学院生の気持ちをだれも考慮してくれないという事件(笑)

でも、逆に負けてたまるか魂で、全力をぶつけました。

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(この写真は、自分が最初に発表するからと伝えたために30分以上も待たされたのに、わざわざ写真まで撮ってくれたKさんのものです。本当に感謝です。)

発表後たくさんの人に質問をもらうことができ、

"You hit a home run"という言葉ももらえて、

うまくいったようです。

そのあと睡眠不足で体がふらふらなのに、

夜は大学のテニストーナメントにでなくてはならないという事件つき(笑)

(幸運にも不戦勝で勝ちましたが)



事件5:砂漠に雪

一番の大事件は今日、

ツーソン平地で雪が降ったこと( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚

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窓のない研究室で、音楽をかけてルンルン、たまっていた大量の宿題の採点をしていたら、

教授が走って研究室に入って来て、外にでてみろ!雪が降ってるぞー!

と知らせてくれました。

ツーソンの平地で雪が降ることは滅多になく、自分は初体験。



フェースブックもみんなこの話題でもちきりで

今日行われるはずだったゴルフのPGAツアーも雪のため中止。

$"学者への道" in Arizona

列記とした砂漠で起きた珍事件でした。



良い事件ばっかり起ってほしいけど、

悪い事件も避けられない。

大事なことは、

どんなことが起きても、それを楽しめるかどうかなのかもしれない。



だって明日何が起るかわからないからこそ明日が楽しみだし、

毎日新しいことが起きることは幸せなことだと思うから。

一週間をかえる64個のギョーザ

だれかのためならごはんを作るのは楽しいけど、

自分のためにごはんを作るのは面倒くさい。

みなさんそんな経験ないですか。



最近、三食のメシより、研究とテニスを優先してたら、

ちょっと風邪をひきそうになりました(気合いで今は治ってきている気がするw)。

これはきっと食生活がおろそかなんだと、反省。



そこで自分のためにもちゃんとしたご飯を作るかと思ったんです。

でも、

プレゼンが近いし、毎日家帰って料理作ってたら効率が悪いな、

せっかくの日曜の午前中はゆっくりワンピースでも見たいな、

と考えはじめ(笑)、

どうやったら、最高に効率よくおいしいごはんを食べれるか悩んだ結果、

この先一週間分のギョーザを大量に作ろうという結論に。笑



豚のひき肉に、タマネギ、シイタケ、ネギ、にんにく、しょうが、卵、塩コショウを加え、

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テーブルをよーく拭いてから、小麦粉と卵と少々ダシを加えた特性生地を作る。

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型抜きなんてないから、お椀で代用w

生地を伸ばす棒なんてないから、ボトルで代用w

そして、生地を作りながらしっかりワンピースを見ているというMultiple task★

(生地をテーブルにおもいっきり叩き付けてたら、パソコンが机から落下するハプニングもありましたが、ルフィーは無事でした。笑)



あとは生地に肉をつめて、できあがりです。

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どでかいタッパーにギョーザを詰めて、冷凍保存!

これであと一週間は、いつでも焼き餃子、水餃子が楽しめ、

どんなに夜遅く帰って来てもちょいとつまめるし、

お弁当として学校に持って行くこともできるし、

便利な冷凍ギョーザの完成です。

(アジアンマーケットの冷凍のギョーザは結構値段が高いのでお財布にもやさしい)



できたてのギョーザを焼いて、しめじと白菜の酒蒸しを添えれば、ナイスな昼食。

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(酒蒸しといいながら、酒としょうがを加えて、電子レンジに突っ込んでダシをかけただけですが)

外はパリっと、でももちもちした生地の中に、肉汁たっぷりのMyギョーザ。

最近メキシコ料理とエネルギーバーに頼って生きていたので最高です≧(´▽`)≦



ここまで、効率よく料理したいと思う理由は、

毎日やりたいことで溢れてるから。

$"学者への道" in Arizona

金曜日は食事にカラオケ、土曜日は日本人会のボーリング、日曜日はこれから映画に行ってきます。

研究も少しスランプを脱し、新たなExcitingな結果がでてきて、今分析しているのが楽しくてしょうがない。

やりたいことリストが溢れれば溢れるほど、いかに効率よく全部やってやろうというモチベーションが生まれ、

結果的に一つのことだけをだらだらやってるより効率が上がる気がする。



今日はやることやったし、

あとはしっかり楽しんで、

明日からのプレゼン前の一週間に挑みます(・∀・)/

Learning Curveのマインドセット

相変わらずパソコンと睨み合う日々のDr.Tです。

一週間かけてちょびーーーっとは進展しましたが、

再来週の学科への大切なプレゼンに、

果たして分析は間に合うのか( ̄ー ̄;



プログラミングの「プ」の字も知らない自分にとって、

コンピューター言語はまさに外国語。

単語一つ一つをGoogleを駆使して調べるも、

説明に使われている単語がわからず、

それをまた一つ一つ調べるも、そのまた単語がわからず(笑)

くじけそうになります(@Д@;



でもさすがに26年間いろんなことに挑戦してきたので、

何事にも「Learning curve」というものが存在することを知っています。

$"学者への道" in Arizona

はじめはいくら頑張っても、何度やっても、全然進歩しない(Slow beginning)。

だけどあきらめずに頑張ると、ある時を境に急激に進歩する(Steep acceleration)。

急激に成長したあとは、進歩するのがまた難しくなる(Plateau)。

今自分は、このグラフでSlow beginningの「S」の下あたりだろうけど、せめてbeginningの「g」あたりであることを願う(笑)



だから今たとえ頑張ってる時間と比例した結果が得られなくても、

実はあんまり心配していない

だってこれは避けられないLearning curveの一部だから。



なんでこう言い切れるかというと、いろんなLearning curveを経験してきたから。



例えば、毎週木曜日の夕方は研究室で飼育しているネズミの解剖パーティーがあるんだけど(あやしすぎ。笑)、

自分は研究室の他のメンバーより半分の時間(30分)で解剖、標本がつくれる。

もちろん学部時代、最初は2時間以上かかかってたけど、数百匹という数をこなすうちにこつもつかみ、今はグラフの右端にいる。



スポーツも、テスト勉強も、料理も、アートも、恋愛も、

失敗をくり返して、それでもあきらめなければ、

必ずSteep accelerationは訪れる。



「どうぜ、オレには」

「才能ないし」

「もう年だし」


なんて言い訳を使っていいのは、

Steep accelerationを超えて、

Plateauに達して、

それでも、もがいている人たちだけが使っていい言葉

Slow beginningの途中であきらめてるようなやつが使っていい言葉じゃない。



自分が今Slow beginningの過程にいることを自覚しているなら、

成長するための一番の近道は、逃げずにひたすら立ち向かうこと。

だから結果が出ない一見無駄な作業にも意味がでてくる。

これがラーニングカーブのマインドセット(勝手に命名w)



早くここを超えて、Plateauを迎えて、

コンピューター言語を武器にしたい。

もっともっと高いレベルでPlateauから、

新たなSteep accelerationを探すためにもがきたい。



まぁ少なくとも20代の今は、

人生のLearning Curve

Steep acceleration間っただ中かもしれないですね。