サソリを食べる肉食ネズミ、ゲットだぜ! | "学者への道" in Arizona

サソリを食べる肉食ネズミ、ゲットだぜ!

今朝5:00am、朝飯前にネズミを捕ってきました。

世にも珍しい肉食の野ネズミ、ミナミバッタマウス(Onychomys torridus)が、

今回の研究のターゲットです。



動物は腸内のバクテリアに消化を助けてもらう。

腸内のバクテリアは動物(宿主)の食べ物を食べて生活する。

共に利益があるので、相利共生という共進化が起る。



肉食のネズミと、草食のネズミの腸内細菌を比べたら、

バクテリアとホスト(ネズミ)の共進化が学べるだろう、

というのが狙いです。



捕まえたいネズミを決めたら、

まずは博物館でどこで捕れたか調べます。

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サソリもタランチュラも食べてしまう捕食者、

ミナミバッタマウス(Onychomys torridus)は、

密度が低く、捕まえるのが難しい。

(ポケモンでいうとケンタロスって感じですw)



だから1950、1960年代の博物館標本を見て、

捕獲地点をGoogle mapに打ち込み、地図をつくり、

行く場所を決めます。



あとは夕日までにトラップをかけまくります。

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オレンジ色に見えている柱のような光は雨です。

運転しながら必死に撮影w

車でツーソンから南に走ること45分、

ピーナッツバターとオートミールを練ったエサをトラップに仕掛け、

あとは待つのみ。




明くる日。。。

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ポケットマウス(Chaetodipus penicillatus)!

ツーソンで一番多い野ネズミです

(ポケモンでいうと、ポッポって感じです)



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カンガルーラット(Dipodomys sp.) !

ツーソンでポケットマウスの次に多い、少し大きめのネズミさん。

(ポケモンで言うと、コラッタって感じです。テキトウです。)



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パックラット(Neotoma albigula)!

かなり大型のネズミで、巣材に使用するため、車の断熱材など破壊します。

トラップの中も糞と尿まみれ!

(ポケモンで言うと、どくどく、やどりぎのタネほどやっかい。)



砂漠を歩いていると、サボテンで深手を負ったり、

こんな大蛇に出くわします。

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Western Diamond-backed Rattlesnake と思われる、

最大級のガラガラヘビ(Crotalus atrox) !

ちゃんと治療すれば死ぬことは稀ですが、

噛まれれば致命傷になりかねない猛毒を持ちます。

(ポケモンで言う、、、のはもうやめますw)



そして、

ようやくお目当てのミナミバッタマウス(Onychomys torridus)を捕獲!

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100トラップに一匹ほどの出現率のネズミが、

なんと80トラップで二匹も捕まりました(´∀`)

これには、砂漠の真ん中で一人ガッツポーズで大はしゃぎ!

(ポケモンで言うと、軽く立ち寄ったサファリパークでケンタロス2匹ゲットだぜ!って感じです!!!)



研究室に持ち帰り、計測し、解剖し、臓器を冷凍し、博物館標本として保存。

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あと数匹ほしいので、ツーソン離れる前にもう一回ぐらい捕獲に行くとします。

数十年、数百年後、自分の標本をたどり、だれかが同じように、

砂漠でガッツポーズする日がくるんですかね。笑




ついでに先週末、

うちの研究室を卒業し、今年の秋からオクラホマ州立大学の准教授になるPさんのために、

「Pさん研究室のロゴ」を作成!

下書き。

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色付け。

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Pさんもすごく喜んでくれて、ウェブサイト、研究室のドア、オフィス、

いろんなところに貼りまくるって大喜びしてくれました。



ちなみに一番右にいる雄叫びをあげているネズミが、

今回捕まえたミナミバッタマウス(Onychomys torridus)なんですよ。

獲物を捕まえた後に吠えたり、満月に向かって吠えるのだそう。

まだまだ謎の多い神秘の肉食ネズミさんです。