学者に必要な意外なスキル | "学者への道" in Arizona

学者に必要な意外なスキル

どうも、お久しぶりです。

ネズミ調査カナダ編。

長身でおちゃめなブラジル人、F博士と、

同じPhD2年生の台湾人、Dちゃん、

と合流し、朝8時から深夜まで働き続けるという、

一日16時間労働生活を一週間ほど続けました( ̄ー ̄;



全員、夢にまでネズミが出現するという,

(このイメージトレーニングを含めると実質24時間労働。笑)

危ない感じになってきたので今日の午前中は休憩です。

キャンプ場のネットはイマイチなので朝のスタバから、

さわやかにブログをお届け!



今日はこの調査で気づいた、

意外に知られていない、

学者になるためのスキルをご紹介!



1. 愛嬌

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「ネズミを捕まえさせてください」

と家を訪ねてまわるので愛嬌は大事。

愛嬌があれば、たとえネズミを捕まえられなくても写真のようにビールを手に入れたり、

コーヒー、水、お菓子、ディナーへご招待なんてこともありました(笑)



2.ポーカーフェイス

愛嬌ではどうにもならない、お固い人も多く、

そういう時はポーカーフェイス(Wood Face)( ・(ェ)・)

例えば、競馬場の馬小屋にネズミトラップを仕掛けたい時は、

いくつものゲートや警備員を突破する必要がある。

カナダ政府のネズミ捕獲許可書はもっているものの、私有地に入るにはその所有者に許可をもらわないといけない。

「マネージメントの責任者とアポイントがある」

とか堂々とした顔して適当に言うと駐車代を免れることができたりする(笑)

ようは、度胸と頭脳。



3.プライドを捨てる勇気

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キャンプ場では電子レンジが受付の中にしかないので、

いちいちスタッフに温めてもらわないといけない。

この3ドルちょっとの冷凍食品(Hungry Man笑)は、

4分30秒温め、ブラウニーを取り出し

さらに3分温めるという複雑なもの(笑)

だから受付のお姉さんにこれを全部やってもらうには、

それなりの恥を覚悟で頼む勇気が必要。

ブラジル人F氏と二人分頼んだので、受付で30分ほど気まずい感じで待ちました(笑)




4. オフィススキル

今までの調査地と違って、

生きたネズミをカナダからアリゾナに輸送しないといけないので、

カナダ政府、アメリカ政府、輸送会社にたくさんの書類が必要。

地元の大学と地元の博物館の協力を受けているとはいえ、

時間外と土日はスキャナーやコピー機は使えない。

そんな時はコピー屋さんに走って、ネットの使えるカフェに走って、ていうのをくり返す。

コピー屋閉店時には、電気屋の店頭に並ぶスキャナーを使わせてもらうよう、

店の人に頼み込んだりもしました(笑)



5. モノへの愛

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調査中ずっと履いて来たスニーカーは、

底に穴が空き、水が浸入してくる。

それでもモノへの愛を忘れず、テープで補強(あまり機能しませんが)!

汚れるのをわかっているのに新しい靴を買う気がしないので、

ただの貧乏性をモノへの愛という言葉にすり替えて乗り切る、

ポジティブ思考。



6. 気象学の知識

調査地全域にトルネード警報が発令された時には、

トラップを仕掛けながら、空を見て、車で走る方角を考えないといけない。

空が暗く、低くなって、もし渦を巻きはじめたら、本気で避けないと空に巻き上げられて、そのまま天国へ。



7. 情け無用

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こんなにかわいい猫がボンネットの上でゴロゴロしていても、

走り出さないといけない、

戦場。



8. 運転技術

クマ→避けろ!!

シカ→避けろ!

スカンク→ひいてもかまわない!

リスなどの小動物→ひけ!

クマやシカに高速でぶつかれば車が大破します。

中小動物はかわいそうですが、時速120km近くで走っている場合、

急ブレーキや急な方向転換は命取り。大事故へつながります。

リスの命を助けるために、あなたのお子さんを殺してしまいました、

では冗談にもならない。



9. プライドを捨てる勇気パート2

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水と電子レンジでつくるマカロニチーズです。

夜に博物館の実験室でネズミの解剖を行います。

夕食は10時以降になることがしょっちゅうなのでお腹が空きます。

警備の人に電子レンジを使わせてもらい、

実験室にもどるとフォークがないことに気づく。

あたりを見渡しフォークになりそうなものを探す。

目についたのは滅菌シャーレ

。。。。

これにはさすがの二人もどん引き。笑

生きるためにはなんでもします。



10. カラスの行水

キャンプ場のシャワーは、5分、1ドル

高速でシャワーをする技術を磨けば、お金も、お水も節約!



11. 会話力

ネズミを捕まえたいというと、まずなんで?って聞かれる。

そこから研究の面白さに引き込む楽しさがある。

でも、なぜ?どんなことに役立つのか?人間社会にどうやって貢献するのか?

聞いて当たり前な質問だけど、

簡単に答えるのってすごく難しい。

でもうまく伝えることができると、

私にも協力させてくれだとか、

いろんなところを旅できていいねとか、

もっと話を聞かせてくれって後で電話がかかってきたり。



毎日牧場で力仕事してる人たちを見てると、

本とか論文読んで、たまに授業して、研究でいろんなところをまわるだけで、

お金がもらえるなんて、学者って幸せな職業だな

ってつくづく思う。



12. 気合いと情熱

朝、どんなに眠くて、台風でテントが濡れてても、気合いで起きる。

昼、どんなに調査の許可を断られても、次から次へのドアを叩きまくる。

夜、どんなにネズミから出てくる寄生虫が気持ち悪くても、ピンセットでつまみだす。

深夜、どんなに疲れていても、警備員に名札を返す時には笑顔でおやすみ。

それができるのは、やっぱり科学が好きだから。

今やってる研究を成功させたいから。

このチャンスをものにしたいから。




目標は32匹の生きたネズミと、32匹のネズミの標本。

今ようやく半分ぐらい。

3人で力を合わせて頑張ります( ・д・)/