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土方√
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番外編 #1
引き戸の向こう側には土方先生がいて。
部室の中の空気が固まる。
きっと、多分、3人とも同じような顔をして目を見開いていたと思う。
いっぺんに冷えていく熱を感じた。
「…ってめぇら!!何してやがる!!!」
鬼のような形相をした土方先生はまだ動けない私たちの元にツカツカと近づいてきて、
左之の頭に思いっきり拳骨を食らわせた。
「----ってぇーーー!!!」
相当痛かったんだろう。
左之は頭を抱えこんだまま動かない。
「原田、とっとと高橋から除けろ!高橋はさっさとシャツを整えろ!とっととまっすぐ家に帰れ!!」
「は、はい!」
私は慌てて身体を起こして先生に背中を向けながら自分のシャツを整えた。
「原田!!!てめぇは今からみっちり説教と稽古だ!覚悟しとけ!!!!」
「さ、左之…。大丈夫?」
「高橋!早く出て行け!」
土方先生の声に身体は震えながらも、先生に訴える。
「…でもっ!先生、私も悪…」
「千亜、大丈夫だ。帰っとけ」
左之の言葉に土方先生の眉間の皺が更に深まった気がする。
「後で連絡する」
「… … うん」
鞄を持った私は左之の前で仁王立ちする先生の背中に「失礼します」と小さく声をかけて、
部室を出た。
夜になってようやく左之からメールが届いて
『今日は悪かった。ごめんな。明日朝迎えに行く』
とだけ書かれていた。
翌朝、迎えに来てくれた左之。
「おはよう」と挨拶を交わして、無言。
通学途中の小さな公園で手を取られて、ベンチの前まで来た。
「千亜…。昨日は本当に悪かった!何だったら殴ってくれたっていい!」
突然大きな声を出して姿勢を正し頭を下げる大きな彼に、私は驚きながらも声をかける。
「左之やめて。それを言うなら私だって悪いよ。もっとちゃんと左之を止めてれば…」
「俺が悪いんだから、千亜がそんな風に思うのは止めてくれ」
「でも」
「土方さんに言われた。自分の惚れた女ぐらい大切にしろってな。あんなとこで盛ってんじゃねぇって。
…ほんとそうだよな。たんまり説教食らったあと、みっちり稽古された」
眉根を寄せて、額に手を当てる左之は反省しきったようで…、私も同罪だというのに心苦しい。
「いつも千亜のこと守ってやるとか大事にしたいとか言ってるくせに、
恥ずかしい思いさせて…情けねぇよな」
「左之…」
「嫌いになったか?」
不安げな表情を浮かべた左之に私は小さく首を振る。
「…嫌いになんかなれないよ。こんなにも左之のこと好きなのに」
「千亜…」
躊躇いがちに伸ばされた腕の中に勢いよく飛び込めば鼻に掠める左之の匂い。
ぎゅっと抱きしめられて小さな安堵したような溜め息が聞こえた。
「…悪かった」
「だから、二人で反省しよ?ね?」
見上げれば左之は仕方なさ気に笑って、額にそっとキスをした。
「学校、行こっか」
「だな」
笑いあった私たちは学校で土方先生が視界に入るまでずっと手を繋いでいた。
あれ以降、私は恥ずかしさからしばらく土方先生を避けて、最低限のことしか話も出来なくて。
それでも土方先生は普通で。
普通でいてくれたから、何ヶ月か後には自然に話出来るようになっていた。
いつだったか「お前に男を見る目はない」と言われて
「あると思います!」って言えば鼻で笑われたり。
土方先生が普通でいてくれたことに気付いたときはやっぱり大人なんだなぁと思ったり。
そんな普通に見えていた土方先生がこの時から私に好意を寄せてくれていたなんて思いもしなかったんだ。
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そんな番外編でした。
ごめんなさいm(_ _ )m
でもさ、高校生って盛るよね。あれ?←
またマイペースにLtS書いて行きたいと思います。
みふゆ