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<原田視点>
俺は先にバスに乗り込み最前列に座っていた。
運転手に集合場所を案内しながら、ぼんやりとその方向へと視線を向ける。
近づく集合場所には20数名の男子生徒とマネージャーの雪村と土方さんと…、
この場所にいるはずのない千亜がいた。
目は見開き、真っ白になる脳内。
一昨日、海で見かけた時のようにざわつき始める胸。
「マジかよ…何も聞いてねぇぞ」
思わず額に手を当てる。
座席に身体を預けた。
…どういうつもりだ、土方さん。
俺らの関係をあの人も知っている。
…何でいるんだ…?
それぞれの荷物をバスに乗せ、部員たちが座席にいる俺に挨拶しながら乗り込んでくる。
生返事のような挨拶をしながら、落ち着かない胸の内に心の中で舌打ちした。
今更どんな顔して会えばいい?
途中乗り込んできた総司の奴は俺を見下ろしながらニヤニヤと笑っている。
「おはよ、左之さん」
「…おはよ。何だよ、総司。ニヤニヤして」
「左之さん、千亜さんには手出さないでね」
目を細めた総司はバスの後部に歩いていく。
何で総司が千亜のこと名前呼びしてんだ。
つーか、…とっくの昔に手ぇ出してんだよ。
総司の様子にこの先が思い遣られた俺は小さく息を吐いた。
「おはようございます!原田先生!」
部員の最後に乗り込んできた雪村が俺に向かって笑いながら元気よく挨拶をする。
「ああ、おはよ」
雪村は通路を挟んだ隣の座席に腰かける。
そしてテンポよく数段の階段を昇ってきた千亜と絡む視線。
「左…之…?」
目を真ん丸く見開いた千亜。
互いに息を飲むのがわかった。
咽がなる。
ドクドクと煩く打ち鳴り出す心臓。
俺達だけが時が止まったかのような錯覚。
互いが視線を逸らせずにいた。
正直、土曜にコイツの姿を見てからというものの、頭から離れなかった。
今朝なんて夢にまで出てくる始末で。
どんだけなんだと寝起きに自嘲したばかりだった。
そんな夢にまで出てきた千亜が目の前にいる。
手を伸ばせば届く距離に。
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久々の左之さん視点です。
いつもより少し短いんですよ。
ごめんなさい。