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設定無視、キャラ崩壊などご注意を。
それでもよろしければどうぞ。
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「千亜さん、僕主将の沖田総司って言います」
「宜しくお願いします。急に押しかけちゃってごめんなさい」
「土方さんに無理やりつれてこられたんでしょ?」
「う、まぁ…。そうかも」
沖田くんのにやりとした表情と言葉に言葉が詰まる。
実際無理やりだしな…。
そんな私の様子をカラカラと笑いながら沖田くんは声を弾ませた。
「うん、でも今回は土方さんを褒めなきゃいけないかな。千亜さんで部員の士気もあがりそう」
「へ?」
「千亜さん、カレシいます?」
いきなり近づき顔を覗き込まれ、私は思わず後ろに身じろいだ。
「い、いないけど…」
「じゃあ、僕、立候補しようかな」
まるで沖田くんはオモチャを見つけたかのようににっこりと笑う。
「総司!」
「総司っ!早速高橋をナンパしてんじゃねぇ!!」
斎藤くんの制する言葉に被さるように、土方さんの怒声が辺りに響き渡る。
「もう戻ってきたんですか、土方さん。ま、いいか。これから一週間宜しく、千亜さん」
「こ、こちらこそ…」
「あ、僕バスの席は千亜さんの隣ね」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!」
ツカツカと歩み寄ってきた土方さんは沖田くんを睨みつけている。
何だか険悪?な雰囲気を変えたくて私は声を上げた。
「あ、私雪村さんの隣がいいな!」
「私も高橋さんの隣がいいです!」
「じゃあ決定!」
応えてくれた雪村さんと笑いあう。
「じゃあ二人は僕と一緒に後ろに…」
「高橋と雪村は俺らと一緒に最前列だ。打ち合わせしなきゃいけねぇこともあるしな。
総司、何ならお前俺の隣に座るか」
沖田くんの言葉に、彼を目を細めて睨みながら口角を上げる土方さん。
「死んでも遠慮しまーす」
それを笑顔で返す沖田くん。
「雪村、荷物の最終確認しよう。俺も手伝う」
「はい!」
斎藤くんと雪村さんは軽く会釈してその場を離れる。
沖田くんも部員に呼ばれてその場から立ち去った。
「賑やかですまねぇな」
「ぃや、楽しいですよ」
溜め息交じりの土方さんの言葉に笑顔で応える。
土方さんの目が優しく細まった。
土方さんが車の中で言ってた生意気な奴って沖田くんのことかな?
沖田くんに手を焼いてるってことか。
そう思えばじわじわと込み上げてきた笑い。
手で口元を押さえていたのに「何笑ってやがる」って土方さんに小突かれた。
「沖田君に手を焼いてんのかなと思って」
「どの代にも生意気な奴ってのはいるもんだよ」
私の言葉に軽く笑いながら、部員達を見守る土方さんの視線は優しい。
「変わらないなー」そんな風に思いながら、土方さんを見ていた。
「おーい、バスが来たぞー」
その声に近づいてきたバスへと皆視線を向けた。