薄桜鬼・現パロ【Love the Spiral】(土方・原田)#3 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


お話の設定などはこちらから → 



設定無視、キャラ崩壊などご注意を。


それでもよろしければどうぞ。



#1 #2













<ヒロイン視点>




日曜。


昨日は実家に帰ってきていきなり甥っ子姪っ子たちを海に連れていかされた。

運動不足だった身体に泳ぐという全身運動はきつかった。


現に今非っ常~に動きたくない。


じわじわと押し寄せるようにきている筋肉痛。


それでも呼ばれる母親の声。


「いつまで寝てんのよー?買い物行くから付き合ってー」


その言葉に盛大に溜め息をついてみた。



「ったく、お母さんといい、優衣といい、昔から私を使うわよね」


重い身体を起こし、リビングへと向かった。










久々の地元だし、狭い田舎だし。


誰か知り合いには会うかなとは思っていた。




スーパーの野菜売り場。


そこで母と買い物をしていると、視界に入ってきた大きなシルエット。



「…っ!」


目の前にいる、久々に見る彼…、左之を前にして私は固まってしまった。


急いで違う方向に視線を向ける。




左之は私が高2になってから付き合い始めた、元彼。

私の色んな初めてを知っている人。


お互いに大学に進み、会えない寂しさから私から別れを切り出した。


私から別れを切り出したはずなのに、私はしばらく左之を引きずって、
他の男の人と付き合っても左之と比べてばかりいた。


それでも別れてから随分と経つ。


もうそんな感情は持ち合わせていないと思っていたのに、
ドクンドクンと胸がうるさく騒ぎ出す。




幸いにもまだ左之は私には気付いていない。


私に話しかけてくる母親の声も上手く聞き取れずに適当に返事をする。


気付かれないようにその野菜売り場から立ち去ろうとしていた時。




「左之助」


「ん?どうした?」


…背中越しに女の人に応える左之の声が耳に届いた。




久々に聞いた声。


この声音を私は知ってる。



気を許してる相手にだけ使う、甘い声。


過去には…私にも向けられていた、甘い声。




ばれないようにそっと左之がいる方向に目を向ける。





左之は髪をかき上げながら、その女の人と話している。


女の人は凄く綺麗で、背も高くて。どちらかと言えば私とは全く違うタイプの人だった。



どこからどう見ても美男美女。絵に、なっていた。


微笑みあう二人に胸がギュッと苦しくなる。





気持ち急ぎ足で母を連れて次の売り場へと向かう私。



彼女、かな?…あ、奥さんかも…。綺麗な人だったな…。



ようやく動き始めた思考。



胸のモヤモヤの正体を私は知っている。



嫉妬、だ…。



元彼に嫉妬って。


しかももう何年も連絡すら取ってないのに。


ましてや自分から終わらせた恋。


何でこんな失恋しちゃったような気分。



私も自分勝手なもんだと思わず苦笑いが零れる。






買い物が終わるまで左之に見つかりませんようにと願いながら、買い物を続ける。



その後、私は一番と言っていいくらい…、会いたくない人に会ってしまった。